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第269話
ミキをベットに置いて軽くシャワ-を浴び、リビングで見もしないテレビをつけ、ソファに座っていた。
テレビからは、お笑い番組が流れ笑い声がするが、俺は、考え事をしていて耳に入ってこなかった。
あのDVDで上手くすれば、ミキがその気になってくれるんじゃ無いかと思い、昔1度見てセックスシ-ンが過激な事を知っていて借りたが、思わぬ方向で考えさせられる事になったと改めて考えていた。
昔は、ただセックスシ-ンの過激さだけが印象にあり、何も考えていなかった。
ミキとの会話で、浮気について考えさせられる事になるとはな。
ミキは、絶対浮気は許さない.1度浮気されると疑心暗鬼になり信用できないと言っていた。
それは、早かれ遅かれ別れると言う事だろう。
ミキには「そうだな」と同調したが、ミキと出会う前の俺は、浮気は当たり前だし、相手がしていても大して気にならなかった。
その考えは、ミキと出会ってからは改めたが、ミキとは少し違うな。
俺も浮気はしないのは、前提の話だが、万が一も無いとは思うが、ミキが浮気もしくは、他の奴に目移りする様な事があっても、1度位なら本心は、凄え~嫌だが、ミキが俺の所に帰ってくるなら、俺はたぶん許してしまうだろう。
この先の長い人生を、ミキと共に過ごし歩んでいくこれからの人生を考えると、一時の間違いでミキを失いたく無い。
長い未来を考えてるからこそだ。
それ程ミキを愛している。
そんな事を考えさせられた映画だったな。
こんな事を思うとは、俺も年をとったのかも知れないと感じた。
ミキが思っていたように、俺もミキの心も体も俺の虜にしたいと思い、今日も激しく攻めてしまった。
その点では、俺達は、似た者同士なのかも知れないと同じ考えに嬉しく思った。
本気の恋をすると、色々と教える事や思う事が多くなる。
愛した人は、ミキが初めてだったから困惑する事も多い。
これまでは、体優先の経験だけは多くあるが、精神的な経験や相手の事を優先に考える事も、殆ど初めてと言っていい、その都度、顔には出さないが、戸惑ったり自分の感情を巧くコントロ-ルする事が出来ない事が多い。
今まで、いい加減な恋愛擬きをして、真剣に考えた事も無かったツケだな。
だが、愛する人の事で頭をいっぱいにするのもいいもんだ。
らしくも無く、そんな事を暫く1人で思いに耽っていると寝室のドアが開き、ミキが顔を出した。
「伊織さん?」
「ここだ、起きたか?」
上の服だけを着てヒョコ.ヒョコと歩き、俺に抱き着く
「隣に居なかったから、寂しかったです」
「悪い。シャワ-浴びて、そのままこっちに居たからなミキもシャワ-浴びて来い。髪も洗えよ」
俺の首元に顔を埋めクンクンと匂いを嗅ぐ。
「本当だ。ボディ-ソ-プの匂いがする。髪も洗ったんですか?どうして?1人で入ったの?」
「髪も洗った。別に意味は無いが一緒入ったら、もう1回ヤルぞ。その方が良かったか?明日から仕事だからな、俺なりにセ-ブしたんだが」
体を離し慌てて手を振り
「そんな意味で聞いたわけじゃ無いんです。伊織さんの気遣いは、凄く嬉しいです」
くっくっくっくっ……
慌てる仕草が可愛く、頭をぽんぽんし
「冗談だ。ほら、シャワ-浴びて来い。髪は、乾かしてやるからな」
「はい」
立ち上がり、浴室に向かい上着だけ着たミキの後ろ姿を、ダラシ無い顔で眺めていた。
「彼シャツか?可愛いな」
ニヤニヤが止まらない。
さっきまで物想いに耽っていたが、ミキの姿を見ただけで気持ちが軽くなり癒される。
俺の人生には、欠かせない存在だと改めて思った。
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