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第271話
「おはよ」
「「「おはようございます」」」
「上野さん、おはようございます。今年も宜しくお願いします」
「おはようございます。こちらこそ、宜しくお願いします」
皆んなに挨拶し席に着く。
パソコンを立ち上げメ-ルチェックとアメリカ支社の売上状況を朝一で確認する。
画面を見てニヤっと薄く笑う。
ほぼ思った通りだな。
始業時間になり、今年初めての朝礼を行う。
「改めて、おはよう」
「「「おはようございます」」」
「皆んな風邪も引かず、無事に全員揃ったな。其々、休暇を楽しんだと思うが今日から仕事だ、気持ちを切り替えてくれよ」
「「「はい」」」
「今日は仕事始めだ。内勤で業者や工場などに電話で挨拶等々するように。後、アメリカ支社からのメ-ルではkawaiiシリーズは、好調な売上で追加で送って欲しいそうだ。売上状況確認しても上々だった。明日か明後日には、商品を送るつもりで各自業者や工場にその旨連絡して、出荷可能数を連絡くれ」
「「「はい」」」
「後、田口。午後から、雑誌掲載について少し話がある。そうだな、3時から打ち合わせル-ムで」
「はい」
「朝礼は終わり。今年も宜しく頼む」
「「「はい」」」
各自、席に着き早速受話器を持ち出す。
それを見て、ミキとの楽しかった正月休みも終わったなと様々思い、俺も仕事モ-ドに切り替えるかとパソコンに向かう。
昼休みを皆んなで、いつもの定食屋で昼食を摂る事になり、其々頼んだ定食を食べながら話す。
「課長は、正月休みは、どうされたんですか?」
「ああ、俺か?友人と会ったり恋人と過ごした」
「いいっすね~。羨ましいっす。田口さんもでしょ?」
「まあな。近場の温泉に1泊して、後はダラダラと過ごしたな」
「彼女と温泉なんて羨ましい~。いいな~。露天風呂で夜空を見ながら……羨ましい~」
羨ましいがってる佐藤の話を聞いて、チラっとミキを見ると京都旅行の露天風呂を思い出しのか?頬が薄っすらと赤い。
可愛い奴だ。
「お前、変な事想像するなよな。キモッ」
「変な事って?」
ニタニタ笑う佐藤の頭を小突く田口。
「香坂は?」
「えっと、友達と会ったりしてました」
「良かった~。香坂まで彼女と…なんて言われたら俺、立ち直れなかった。香坂、彼女作るのは先輩が出来てからだぞ。俺も田口さんができるまで待ってたんだからな。先輩差し置いては、無しな」
変な力説をしている佐藤に笑いが起き、田口も呆れ顔で話す。
「はっ、誰が中々彼女出来ないって言ってんだ?お前に出来ないのは、俺の所為かよ。お前合コンばっかしてっからダメなんだよ。そんなのに来る女は、遊びなんだからよ」
「いいっす。俺は合コンに彼女求めて無いんで。あれはアレで楽しいんで」
「香坂、気にせず直ぐに彼女作れ。こいつ待ってると少なく見積もっても、後5年は、彼女作れ無いぞ」
ミキは苦笑いで遣り過す。
「まあ、いい。ほら、早く食わないと時間無くなるぞ」
ミキに矛先が向かう前に水をさす。
それからもガヤガヤと話し食べ、久し振りに皆んなで過ごす昼休みは終わった。
「田口。そろそろ、打ち合わせするか?」
「はい、大丈夫です」
打ち合わせル-ムで、早速切り出す。
「年末に言ってた、雑誌掲載の件だが、海外向けと国内向けに掲載する方向で出版社と打ち合わせしてくれただ、国内での読者から問い合わせあった場合のネット販売する予定って掲載は、見送りにする」
「どうしてですか?売上良い雑誌に掲載される予定でネット販売しても売上はそこそこいくと思いますが」
「確かに、俺も国内はネット販売の売上もあると考え年末はネットでの提案したが、予想以上にアメリカで今回売上が良かった」
「じゃあ、尚更」
「たぶん、アメリカで人気と言う事で、国内で雑誌掲載されると問い合わせは殺到するかも知れ無い、そうなると会社での国内担当が黙っていないだろう」
「あっ、成る程」
「そうなると折角のネット販売で下地を作っても無駄になる。国内からの圧力が掛かりネット販売は出来ない」
「じゃあ、どうします?」
ニヤっと笑い。
「何もしない。当初の予定通りに海外向けと国内向けの雑誌掲載する。国内ではアメリカで人気沸騰と見出しをつけて掲載しろ」
「そのつもりですが……」
俺の意図するところが解らず困惑している。
「どうせネット販売は、中止させられる。それだったら初めからしない方が良い。雑誌掲載されたら、国内担当から打診がくると睨んでる。そこで国内に貸しを作り、ある程度こちらも条件をつけるつもりだ。今後の事も考え貸しを作って置くのが得策だ」
「成る程。目先の売上より今後を見越してですね。流石ですね。じゃあ、出版社の方はその方向で進めます」
「宜しく頼む。それと、アジア担当の方からも打診があるかも知れないからな。‘手拭い洗顔’の件もあるしな」
「可能性はありますね。旧正月で海外に行くだろうし、今回少し多めに商品送って置きます」
「頼む」
打ち合わせを終わり、自席に戻り仕事を再開する。
田口も頼もしくなった、ある程度任せられるなと部下の成長を嬉しく感じた。
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