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第283話
片付けを済ませ、コ-ヒ-を2つ手に持ちミキの元へ向かう。
ソファで横になってるミキの頭を上げ、そこに座り膝枕をし腰を摩ってやる。
「まだ、痛いか?」
「ありがとうございます。でも、最初より大分、楽になりました。もう少し、横になってれば大丈夫ですよ」
「そうか。欲しい物とかやって欲しい事は、言ってくれよ」
「今は、膝枕で充分です」
コ-ヒ-を飲もうと手を伸ばすと下に置きっぱなしのプレゼントのネクタイがあった。
そのネクタイを拾い箱に入れていると
「あっ、そう言えば。紳士服売場でネクタイ探してる時に、懐かしい人に会ったんですよ」
「へえ~、誰?」
「大学の後輩です。俺が大学出てから会ってなかったから、もう3~4年は経つかなぁ。女の子って変わりますよね?直ぐには、解りませんでした」
「女の子?後輩って男じゃないのか?紳士服売場で会ったんだろ?」
「彼氏と来てたみたいですよ。懐かしくって、少しだけ立ち話してたら、行くぞって呼んでましたから。時間が無かったので、今度、マコと3人で飲もうって話して終わりました」
飲みに行く?ん~、まあ、真琴君と一緒なら安心か、真琴君は小さいがミキの事を守ってくれる騎士(ナイト)だからな。
「サ-クルの後輩か?仲良かったのか?」
「サ-クルの後輩では無いんですけど。たぶんサ-クルの打ち上げの時に、誰か連れて来たのかな?うちのサ-クル結構オ-プンだったから。良く解んないけど、いつの間にか仲良くなって良く先輩.先輩って懐いて来て可愛い後輩です」
「そうか」
「大学の時も可愛いかったけど、社会人になって大人になったのか綺麗になって解りませんでした。大学の時から男子に人気があってモテてたからなぁ。良く彼氏の相談を受けました」
彼氏の相談?ミキに対して恋愛感情がその女には無いって事か?
「そんなにモテる程可愛いのか?」
「ん~、顔は正直すっごい可愛いって感じじゃないんですけど、あっ、確かに可愛いんですけど、……なんて言うか、人懐っこく誰とでもニコニコ話してる感じで雰囲気とか仕草が可愛いんですよ」
「まさか、ミキの方は恋愛感情あったのか?」
手をブンブン振って違うアピ-ルをし
「ありませんよ。先輩.先輩って懐いてくるから、妹みたいな可愛い後輩ですよ。それに、俺だけじゃなく他の人にもそんな感じでしたし」
「そうか、それを聞いて安心した。一応、3人で飲む時は、連絡くれよ」
「はい。でも、社交辞令かもしれないから、連絡来たら行くって感じですね。飲みに行くこと自体無いかも知れません」
「飲まないなら、その方が安心だ」
「心配性ですね」
頭をぽんぽんし「ミキに関してだけだ」
「俺の事で、いつも伊織さんの頭の中がいっぱいだと嬉しい」
「常に、ミキの事しか考えて無い」
「俺も伊織さんの事で、頭がいっぱいです」
「ほんとか~?嘘ついたら、お仕置きするぞ」
「やだ.やだ。伊織さんのお仕置きってHなんですもん」
「心外だな。それじゃ、こちょ.こちょ攻めでいくか?」
「何?それ」
手をミキの脇腹に入れ、こちょ.こちょとこちょがす。
身を捩(よじ)りキャハハハ……と笑うミキ。
「も、キブ。キブ。腰痛い~」
「悪かった。そう言えば、腰痛かったのを忘れてた」
「んもう、伊織さん、忘れてたの?酷い」
「悪い.悪い。ミキ、コ-ヒ-飲むか?冷めてるけど」
「飲む~」
コ-ヒ-を口に含み、横になってるミキの口に上から流し込みチュッ.チュッとキスし唇を離す。
「お代わりは?」
「……要ります」
また、口に含み流し込みそのまんま咥内で舌を絡めてミキの舌を吸いまた絡めとりクチュクチュ……厭らしい音が出る。
唇を離し「今日は、ここまでな。これ以上すると抑えが効かなくなる」
薄っすら頬を染め「……明日も動けなくなるのは、勘弁です」
「解ってる。明日は仕事だからな。帰りは送るから、ゆっくりしよう」
「はい」
暫くするとミキがウトウトしていた。
ラグに下ろし俺も横になりミキを抱きしめ、少し寝る事にした。
「ん、寝ちゃたんだ?」
伊織さんの腕の中で辺りを見るともう暗くなっていた
「夕飯の支度しなきゃ」
腕の中から、そぉっと抜け出し体を動かすと少しギシギシとするが、動けるようになった。
キッチンまで、ゆっくりとした足取りで行き冷蔵庫から食材を取り出し料理を始めた。
ジュ-.ジュ-.ジュ………ジュ-.ジュ……
フライパンで炒めてる良い匂いで起きた。
「ふあ~。良い匂いがする」
「あっ、起きました?もう直ぐ出来ます。焼うどんとス-プですけど、それだけで良いですか?」
キッチンから顔だけ向け、手元はフライパンを煽っていた。
器用だなぁと思いながら返事をする。
「ああ、充分だ」
それから10分程で出来上がり食卓を囲む。
野菜たっぷり焼うどんとワカメと卵のス-プを美味しく頂き、ミキの帰る時間までゆっくりと過ごし、車でマンション前まで送る。
「伊織さん、ありがとうございます。また、明日」
「ああ、明日な。ゆっくり休め。ミキがマンションに入るまで見てるから」
「過保護?」
クスクスクス……
「過保護にもなるさ。こんな可愛い恋人を持つとな」
「ありがとうございます。おやすみなさい」
クスクスクス……
「おやすみ」
チュッと軽くキスし車から降り、足早にマンションに入って行く寸前で振り返り手を振り、それからマンションに入って行った。
「可愛い奴」
微笑み、ミキがマンションに入るのを見届け、自宅に車を走らせた。
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