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第286話

合流した絵美ちゃんのお勧めの居酒屋に入って、4人席に座る時「先輩、絵美の隣に座ってぇ~」と腕を取られ絵美ちゃんの隣の席に座らされ、マコは俺の目の前の席に座った。 マコは俺に甘える絵美ちゃんが気に要らないようで、ムッとした顔をしてたから、目でそんな顔しちゃダメって訴えたら解ったらしく、どうにか抑えていた。 適当にツマミとビ-ルを頼み、直ぐにビ-ルがきて取り敢えず乾杯する事になった。 「「「乾杯~」」」 直ぐに口を開いたのは、絵美ちゃんで 「先輩、どうして?そんな格好してるんですか?この間会った時と全然違うじゃ無いですか~。絵美、直ぐには、解らなかったです~」 「会社ではこの格好なんだ。自分で仕事とプライベ-トを分ける意味でも、この方が仕事し易いしね」 仕事帰りなので、前髪は目元まで垂らし眼鏡を掛けて髪は弄らないで成る可く自然にしていた。 「そうなんですか~。元は綺麗で素敵なのに勿体無い~」 「別に、ミキは顔で仕事するわけじゃ無いから、どんな格好だって良いんだよ」 チクリと嫌味を言うマコに対して、絵美ちゃんは聞き流し 「絵美~、絶対に、先輩はモデルか何かの仕事するんじゃないかな?って思ってたけど…。先輩、大学の時もスカウトとかされてましたよね~。先輩ならモデルでもイケたのに~」 絵美ちゃんの話しに苦笑し 「ん~、確かにスカウトされた事もあるけど…。 服には興味あったけど、モデルは興味無いしね。それに、身長もモデルにしては少し足りないかな。今の仕事も好きだし」 「そうなの?勿体無いなぁ~」 「ミキの事は、ミキが決めるの!」 「さっきから、園田先輩トゲトゲしてません?久し振りに会ったのに~。先輩~、園田先輩が恐い~」 抱き着く絵美ちゃんをジロっと睨み。 「ミキから、離れろ」 険悪なム-ドに、あ~、始めっからこうだと思いやられる。 絵美ちゃんを離し「絵美ちゃん、マコは怒ってもいないし恐く無いからね。久し振り過ぎて、照れてるんだよ」今度は、マコの方を向き「マコ、絵美ちゃんとは大学卒業以来なんだから、楽しく飲もうね」 2人に言い聞かせ、絵美ちゃんに話しを振る。 「大学の時も可愛いかったけど、綺麗になってたからこの間会った時は、直ぐに解らん無かったよ。今、仕事は?」 すかさず前から「化粧が上手くなっただけじゃん」と聞こえるか聞こえないかの声でマコが呟く。 マコをキッと睨み「園田先輩も相変わらず小さくって可愛いですね」負けずに嫌味を話す絵美ちゃん。 また、始まった~。 「気にしてる事を……」 言い返そうとするマコを遮り 「まあ.まあ。2人共、仲良く飲もうよ。ほら、食べて、飲もう。ね」 渋々口を閉ざす2人に、やれやれと既に疲れを感じていた。 食べて、飲んで少し落ち着いた所で、3人共通の大学時代の話しを振り、絵美ちゃんもマコも気を取り直し、どうにか場は盛り上がりつつあった。 少し、ボディ-タッチが多くなり始めた絵美ちゃんが気になったが、学生時代から甘えてくるのを思い出し、そう言う子だったなと懐かしい光景だなと感じた。 粗方食べ程良く飲み、時間も丁度良いから締めに入ろうとした時に、絵美ちゃんから 「香坂先輩は、今、付き合ってる人いるんですかぁ~」 「いるよ」 「ミキを狙ってもダメだからね。ミキにはラブラブな恋人がいるんだから」 「マコ! 変な事言わないの。絵美ちゃんだって彼氏いるんだから、そんな事無いよ」 「絵美~、彼氏いませんよぉ~」 「だって、この間会った時に」 「あっ、あの人ね。あの人は会社の人で、どうしても1回デ-トして欲しいって言うから、まだ付き合って無いんですぅ~」 「そうなの?てっきり、付き合ってる人かと」 「付き合って欲しいとか言われて無いしぃ~。デ-トしてみて、どうしようか迷い中です」 「まだ、そんな事してんの?それで、どうせ思わせぶりに、ご飯食べに行ったりデ-トもしてんだろ?」 また、マコの嫌味。 「そんな事して無いもん」 「どうだか」 今日、何度目かの間に入り「まあ、まあ。絵美ちゃんは、そんなつもり無いんだから、マコ!」 「せんぱ~い」 また、抱き着く絵美ちゃんの頭を撫で体を離す。 その時、絵美ちゃんが陰でマコに舌を出して居たのは知らなかった。 「ふん!」 そっぽを向くマコ。 「園田先輩こそ、1人で寂しいから、香坂先輩の側にいつまでもずっと居るんですか~」 今度は、絵美ちゃんの嫌味。 いい加減にして欲しい~。 「はあ?僕にも恋人居ますけど~」 勝ち誇った様に話すマコ。 「そうなんですか~。てっきり、恋人も友達も居ないから、香坂先輩と居るのかと思ってました」 「絵美ちゃん、それ違うから。友達少ないのは俺の方だよ。マコは友達多いけど俺と一緒に居てくれるの。俺の方がマコと居たいんだよ」 諭す様に話していると 「ミキ~。大好き~」 マコは機嫌が良くなり絵美ちゃんは不機嫌になり、あっちを立てればこっちを立たずで疲れる~。 そんな飲み会も、時間と共に終わりを告げた。 駅で方向が違う絵美ちゃんと分かれ、マコと帰りの電車に乗るとマコから愚痴攻撃が始まり「うん.うん」「ごめんね」相槌を打つのに忙しい。 マコの鬱憤が無くなるまで話され、正直聞いてるのも嫌になった。 最後に「もう、絵美ちゃんから誘われても断った方が良いよ」と言われ、もう、マコと3人で飲むのも疲れて嫌だったし、マコを誘えないなら必然的に断る事になる。 「うん。なんか気疲れしちゃったから、もう断るよ。マコもごめんね」と言ったら、もう鬱憤は発散されたのか?普通に戻って居た。 飲み会も電車の中も神経使って、早く部屋に帰りたいと電車の風景を眺めながら思った。

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