291 / 858

第291話

ツ-.ツ-.ツ-………ツ-.ツ-…… さっきから何度、電話掛けても話し中だ。 「誰と電話してんだ?沙織か?」 週の半ばに、いつも通りミキにおやすみLINEをしたが既読も付か無いし連絡も無い。 変だなと思い、さっきから何度か電話しているがずっと話し中だ。 何かあったのか?と心配になり、ミキの部屋に行くかどうか迷って、もう少しだけ待とうと時計を眺めていた。 暫く経ち、やっとミキから電話が掛かってきた。 ♪♪♪♪~ 「伊織さん、連絡遅くなってごめんなさい」 「いや、それは良いが心配した。電話もしたがずっと話し中だったが、沙織か?」 「沙織さんじゃなく、絵美ちゃんです」 「絵美ちゃんって、前に電話して断った子だろ?」 「はい。あの時飲みに誘われたけど、今週忙しいからって断ったんですが、電話掛かってきて1時間近く話してました」 「はあ?良く話す事あるな」 「俺は話して無いですよ。聞いていただけです。大学時代の懐かしい話から始まって、その内に会社の愚痴とかになっちゃって」 「ふ~ん。それで」 「それでって?それだけです。話ただけです」 「そうか」 「女の子って話があっちこっち飛ぶし、同じような事話すから疲れました」 「もう、余り相手にするな」 「ん~、でも……」 可愛い後輩なのは解るし、ミキが人との繋がりを大切に思ってる事も解るが、ミキが疲れるなら少し距離を取るのも必要だと思うが。 「ミキの気持ちも解るが、自分が疲れるんじゃ本末転倒だぞ。程々にするんだな」 「……はい」 「ま、何も無いなら安心した。疲れただろ?ゆっくり休め」 「はい、ごめんなさい。伊織さんもゆっくり休んで下さいね。おやすみなさい」 「ん、解った。おやすみ」 まあ、取り敢えず、何も無い事を確認したから一安心だ。 それにしてもこんな時間まで。 それに、ミキは恋人がいると言ってるのにも関わらず電話してきたりと本当に空気が読めないようだと、その時はそれで終わった。 その週の金曜日、午後から外回りのミキは直帰だった 今週も終わり、やっと待ちに待った週末だ。 明日、何時に来るか?それとも出掛けるか?ミキに相談しようと電話するとツ-.ツ-.ツ-……ツ-.ツ-またか。 デジャブだ。 何度か電話しても、やはり話し中。 「また、絵美ちゃんか?」 こうなると暫くは、話し中だ。 ♪*電話終わったら、連絡くれ♪* LINEを入れて待つ事にした。 それから20分程で電話が掛かってきた。 ♪♪♪♪~ 「長かったな。また、絵美ちゃんか?」 「……はい。何か悩みがあるらしく、聞いても教えてくれないんですけど……たぶん、会社の事だと思うんですけど……会社の愚痴を話してましたから」 「そうか。たが、何でミキに電話するんだ?会社の事なら同じ会社の友達がいるだろう?ミキに相談する事じゃないと思うが」 「俺もそう言ったんですけど……。会社の女の子達とどうも上手くいって無いみたいで、本人はその事は言わないんですけど、会社の人には相談出来ないって話すだけで……。相談事もはっきり言わないから、何が原因なのか解らないので、何て応えてあげれば良いか困りました」 「そうか。そういう事は、ただ聞いてほしいって言う子も居るし、取り敢えず、肝心な事言わないなら相談にもならないだろ?聞いてほしいだけなんだろ。余り真剣に考えるな。案外、本人は真剣に考えて無いかもしれ知れないしな」 「……はい。取り敢えず、良く解らないので愚痴だけ聞きました」 ミキも疲れているようだし俺も腹の底ではイライラしていたが、ミキに八つ当たりするのも酷だと早めに電話を切る事にした。 「ミキ、明日は何時頃来る?それとも迎え行ってどこか行くか?」 「ん~、明日、10時頃行っても良いですか?」 「俺は全然構わない」 「じゃあ、明日行きますね。起きてて下さいね。寝てたら、寝込み襲っちゃいますよ~」 ミキらしくなってきたな。 「大歓迎だ。寝た振りして待つかな?」 クスクスクス…… 「じゃあ、明日。おやすみなさい」 「待ってる。おやすみ」 電話を切り、さっき感じてたイライラがミキの冗談で少し軽くなった。 それにしてもどう言うつもりだ、恋人がいるってはっきり言ってるのに関わらず、何度も長電話してくる神経が信じられない。 ミキも優しいのは解るが、余り相手にすると変な誤解され兼ねない。 大学時代からの知り合いだ、ミキの性格も知ってて優しさに漬け込んでるんだろう。 考えるとまたイライラしてくる、気持ちを切り替え、明日、ミキとどう過ごすか?考えるか。 先週の猫カフェは、喜んでたしな。 ん~、ミキが喜びそうな事を検索する為に、書斎に行きパソコンに電源を入れた。 ミキとの週末を楽しくどんな事して過ごすか考えるのも楽しい。

ともだちにシェアしよう!