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第294話
カフェを出て歩きながら、絵美ちゃんに食べたいものあるか?を聞くと
「近くのデパ-トの中に、美味しいパスタ屋さんがあるから、そこ行きた~い」
絵美ちゃんの案内で行く事にした。
パスタは確かに美味しかったが、絵美ちゃんはさっきまで悩んでいたのが嘘のように、元気になり楽しそうに話していた。
俺は伊織さんにこっそりLINEをした。
*♪すみません。昼ご飯食べてきます*♪
*♪解った。待ってる*♪
短い文章の遣り取りをした。
その間も、どこの何が美味しかったとか遊びに行って楽しかった話や映画の話しなど女友達にするような話をずっと聞いていた。
本当は女友達欲しいんだろうなと聞いてて思った。
もう元気になったし帰ろうと思い
「絵美ちゃん、そろそろ出ようか?」
「はい。先輩、ご馳走様でした。美味しかったです」
きちんとお礼を言う所は、好感持てる。
これが男を惹きつけるのかな?って、ちょっと思った
パスタ屋さんを出てデパ-トを出ようとエスカレ-タ-に乗ると
「先輩、ちょっと見たい服があるから付き合って下さい」
ほんの少しなら良いかと思い「うん、良いよ」と言ったのがマズかった。
次から次と店を変え付き合わされる羽目になった。
絵美ちゃんは楽しそうにしてるが、俺は伊織さんの所に行くのが遅くなると心の中でジリジリしていた。
何軒か回って、絵美ちゃんは結局1枚の可愛らしいワンピ-スを買った。
試着して見せてくれた時「凄く、似合ってるよ」と話すと照れていた所に、店員さんが「彼氏さんの言う通りで、凄く、良くお似合いですよ」と横から言われ、益々頬を染めて照れていた。
その姿は、可愛いと思った。
その店を出た時に、絵美ちゃんが「あの店員さん、先輩の事、彼氏だってぇ」
間違えられた事に迷惑だったかな?と思って
「勘違いされたね」って話すと「………」無言だったのは、気になった。
やっぱり、迷惑だったんだな。
その後、アクセサリ-売場を見てデパートを出てからも気になるお店があるらしく連れ回され、やっと最寄り駅に着く。
「先輩。今日は相談乗ってくれて、ありがとうございました。聞いて貰ったら、少しスッキリしました。お店も回ったりして、気分転換出来ました」
散々連れ回され疲れたが、素直に話しにっこり笑う絵美ちゃんはやはり可愛い後輩だ。
「良かったね、気分転換になって。相談事は解決できな無かったけど、また、話し位なら聞くよ」
「はい。その時は、宜しくお願いします」
「じゃあ、またね」
やっと解放され、駅の改札口で分かれた。
伊織さんのマンションに向かう電車の中で
*♪今から、行きます*♪
*♪解った*♪
短い返信に、大幅に遅れた事に怒ってるか?気になり、早く着かないか気持ちだけ焦る。
電車の中で、景色の流れを見ながら
「あ~、疲れた」
思わず、溜息と独り言が出た。
早く、伊織さんに会いたい。
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