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第295話

昼過ぎに来ると思っていた俺は、LINEを見てガッカリした。 だが、相談事なら長くなる事もあると気を取り直し、昼はカップラ-メンを食べ、それから待てど暮らせど、なかなか連絡も無いし来る気配も無い。 その内に、段々とイライラし始めた、ミキにじゃない ミキを、今、独り占めにしている絵美ちゃんにだ。 ミキの性格は良く解ってる、たぶん絵美ちゃんもだ。 ミキの優しさを利用して、独占してるに違いない。 相談事で、こんな時間まで掛かるか? 多く見積もっても、昼込みで3時間もあれば充分だろ?かれこれ5時間は経ってるぞ。 ミキが来るのを、まだか未だかとイライラ.ジリジリと頭の中で色んな考えがグルグルとまわって待っていた ♪♪♪♪ピンポ~ン 「やっと来たか?」 出迎えの為に、玄関に向かう。 やっと会える喜びとなかなか来なかったジリジリとした感情が鬩(せめ)ぎ合い、どう出迎えるか迷っていた。 ドアを開けると、直ぐに抱き着いて来た。 先手を打たれたか? 「伊織さんに早く会いたかった~。ごめんね。時間掛かって」 胸に埋めた顔をチロリと上目遣いで見られ、もう、こうして来た事だし遅れた事は、可愛いから許す事にした。 俺もチョロいな。 「俺も会いたかった。話は、部屋で聞く」 ミキが抱き着いた時に、化粧の匂いがしたのが気になった、それ位長く一緒に居たんだと思うと絵美ちゃんに対して、またイラつくが普段通りの顔で、ミキと一緒に部屋に入るとテ-ブルには置きっ放しにしていたカップラ-メンを見つけられ 「伊織さん、昼はカップラ-メンですか?」 「ああ」 「ごめんなさい。お腹空いたでしょ?直ぐに、鍋の用意しますね」 来る途中で買って来たらしいス-パ-の手提げを持ってキッチンに向かう姿に声を掛ける。 「ミキ、鍋は明日にしよう。今日は、ピザか出前を取る。冷蔵庫に入れて、こっちに来い。話を聞きたい」 俺の言う事を素直に聞き冷蔵庫に食材を入れて、俺が座ってるソファの横に座る。 「まず、どんな相談だったんだ」 「えっと、会社の同じ課で仲良かった先輩の彼氏とは知らず何回か誘われてデ-トしたらしく、他の子にその先輩の彼氏だよって教えてくれた人が居たらしいですけど、聞いた後にも誘われてデ-トに行ったのがバレて今、会社の女の子達に影で悪口言われてるらしいです」 「それで、本人は反省して何とか前みたいに仲良くしたいって事か?」 「ん~、絵美ちゃんは自分は悪く無いって言うんですよ。先輩の彼氏だと知らなかった事や誘って来たのは向こうなのに、何で自分がこんな目に合うのかって。その人だけじゃなく他の男性社員にも誘われるとデ-トしたりで、またまた悪く言われたみたいです」 ミキは簡潔に話してるが、絵美ちゃんからはもっと言われたんだろうな。 「そうか、全然反省して無いじゃないか?そんな事だから言われるんだろう?」 「まあ、大学時代もそう言う事あったから成長して無いなって」 「そうか。昔からそうなら治らないかもな。それで、何でミキに相談するんだ?」 「それは、俺にも解りませんが、大学時代からこの手の相談良くされてたからかな?後は、会社の人には相談出来ないって言ってました」 相談出来ないじゃなく相談出来る人が居ないの間違えだろ、自業自得だ。 「それで?」 「解決は出来ませんけど、俺からはアドバイスとして先輩にきちんと話して謝る事や男友達より女友達作るのが先だよって話はしました。後は、絵美ちゃん次第です」 「本人が色々自覚しないと今後も同じ事を繰り返すだろうからな。それで、昼飯食べてから時間掛かったようだが?」 心の中では悶々としていたが、淡々と話すように心掛けミキが話し易いようにした。 「確かにカフェで会った時は、目が赤くて悩んでたと解りました。話してる途中も泣いて困ったので、場所を変える為に昼ご飯食べに行きました。それで、少し元気になったんですが、帰る時に洋服を見たいと何軒も見て回りアクセサリ-売場にも付き合わされ、絵美ちゃんは気晴らしができたみたいです」 「ふ~ん、何で服を見る事になったんだ?」 「えっと、ご飯食べた所がデパ-トだったから、帰ろうとエスカレ-タ-に乗った時に、寄りたいって言うから1軒だけかと思ってたら……疲れました」 本当に疲れたんだろう。 ゲンナリした顔をしたが俺からしてみれば、それはデ-トなんじゃないのか?って聞きたいくらいだ。 ミキはそう思って無いとは思うが、絵美ちゃんはどうだろう?勘違いしなかったのか? 口に出せないがグルグルと考えていた。 「そうか、疲れたな。それで、今後も相談乗るのか?」 「解りません。一応、俺からはアドバイスしましたし後は、愚痴を聞く事ぐらいしか出来ませんから。絵美ちゃんは、話を聞いて貰ってスッキリしたって言ってましたし」 それで、絵美ちゃんが納得してくれればいいが。 「そうか。こう言う事は、本人が考えてどう行動するかだ。いくらミキが気に病んでも仕方ない事だ。少し距離置いてやるのも自分できちんと考えるだろう」 「ん~、そうかも」 はっきり返事をしないミキを見て、たぶん、これからも電話でなら愚痴ぐらいは聞くんだろうと予想がついたが、強く言う事は止めた。 「まあ、大まかな話しは解った。また、何かあったら連絡しろよ。さて、飯食うか?出前、取ろう。何?食いたい」 「ん~、昼はパスタだったからご飯もの~」 そうか、昼はパスタを2人で食ったのか、本当にデ-トみたいだ。 「それなら、天丼とカツ丼の2つ取って分けて食べよう」 「それ良いですね~。2つ美味しいものが食べれるぅ~」 こんな事で喜ぶミキが可愛い。 それから出前を取って2人で仲良く半分ずつ食べた。

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