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第304話
沙織さん達と中華屋さんの個室で遅い昼食を食べる事になり、丸いテ-ブルに伊織さん.俺、沙織さん.矢嶋さんという感じで座って、頼んだ中華料理を食べ始めた
「ん~、美味しい。ヨシ君、これ美味しいよ」
俺の皿に取り分けてくれる沙織さん。
「本当だ~。ピリ辛で美味しい~」
1口食べて余りの美味しさに笑顔になる。
「や~ん、大ちゃん。見た.見た?可愛い~」
「はい、見ましたよ。とても可愛いかったですが成宮さんが睨んでますからね、ヨシ君フリ-クは、程々にお願いしますよ」
「だってぇ~。我慢出来ないし~。こんなに綺麗で可愛いんだもん、それに性格も良いし~。ああ、本当に伊織には勿体無いわ」
「お前、会う度にそれ言うな~。耳にタコ。それに余りミキを見るな.構うな」
「ふん、相変わらず独占欲の塊ね。ヨシ君、息苦しくなったら、いつでも避難しに来てね」
「俺、伊織さんの独占欲って、凄く嬉しいんです」
ハニカミながらも本当の事を話す。
「や~ん、大ちゃん。見た.見た?健気で可愛い~」
「はい、確かに可愛いですがいい加減にしましょうね~。成宮さんが本気で怒る前に」
「良いのよ~。今日は伊織に何も言わせないから」
「……今日だけだぞ」
くそぉ~、沙織の奴。
頼み事をしたこっちの弱味に漬け込みやがって。
「大ちゃん~、許可下りたわ。可愛いヨシ君を撫で撫でしようっと」
勝ち誇ったように、ミキの頭を撫でる姿にムカつく。
「すみません、成宮さん。沙織さん、少し遊んでるんですよ」
横から申し訳無いって顔をで話す矢嶋君に「今日は、本当に沙織に助かったからな。好きにさせるよ」大人の対応で誤魔化す。
それからは旨い料理を食べ、絵美ちゃんの事が無かったように日常の楽しい話をし笑いが起きる。
粗方食べ終わりそろそろ帰ろうかと思い切り出そうと口を開く前に、沙織が話し始めた。
「ねえ、伊織。協力する代わりに私のお願いって言うか条件を忘れて無いでしょうね~」
「何の事ですか?」
俺は解らずに聞くと沙織さんが彼女役で絵美ちゃんに話す代わりに、伊織さんに条件を突きつけてきたと伊織さんが仕方無いって顔で教えてくれた。
伊織さんにその条件は何か?聞くと、伊織さんもまだ聞いて無いって話した。
伊織さんに負担掛けて申し訳無く思い、顔に出てたらしい。
「や~ね~、ヨシ君。そんな顔しないでよ。大した事じゃ無いのよ。ちょっとしたお願いだから」
「何だよ?勿体ぶらないで早く言え。バックか服か?」
「ん~、そんなの自分で買えるし~」
「沙織さん、俺に出来る事でお願いします。伊織さんには……」
その先を言えずにいると「良し.良し。良い子ね、ヨシ君は」俺の頭を撫でた。
「ミキは関係無い。俺が勝手に頼んだんだから。早く言えよ、欲しい物は何だ?」
「もう、せっかちね~。物でも無いしヨシ君に出来る事よ」
「「「?」」」
俺とミキは顔を見合わせてたが、矢嶋君も聞いて無かったらしく何の事か解って無いようだ。
そんな中、沙織がとんでもない事を言い出した。
「私、前々からトリプルデ-トしたかったのよね~。何でも聞いてくれるなら、是非、ヨシ君達とマコちゃん達とトリプルデ-トしたいわ」
沙織がにっこり微笑み話す。
「「「トリプルデ-ト!」」」
俺とミキ.矢嶋君は、思わず声を揃えた。
「やだ~、息ピッタリね」
とんちんかんな事言ってる沙織に「何で?トリプルデ-トなんだよ。訳わかんねぇ~」と話す。
沙織が説明してくれた理由が、おやじの店でミキと真琴君と集まった時に京都旅行の話になり「3組で旅行に行こうよ」って言ったが、矢嶋君に止められ、それならデ-トしたいと思った事がこのトリプルデ-トの発端らしい。
真琴君の旅行の件も先延ばしにしてる。
忘れてくれれば良いが……また、面倒臭ぇ~事になりそうだ。
何で?皆んな俺とミキと一緒に居たいんだ?いや、ミキと過ごしたいんだな。
俺はミキと2人っきりで居たいんだと沙織の説明を聞いて思っていた。
「それで運良く来週、家の両親が出掛けて居ないから、8時頃、ヨシ君とマコちゃん家に来て~」
「はあ、何で?沙織の家に行かなきゃなんね~んだよ。現地で待ち合わせすれば良いじゃね~かよ。大体、トリプルデ-トってどこ行くんだよ」
「デ-トの場所は考えて連絡するわ。日曜ならマコちゃんの彼氏も休みでしょ?」
「祐さん、前の日朝まで仕事だから、どうかな?」
「それは伊織が説得しなさいよ」
「聞いてみるが……。で、何で沙織の家なんだ?」
にっこり嬉しそうに微笑む沙織の顔を見て嫌な予感がした。
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