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第315話

俺が道案内をし沙織の家に着いた。 敷地内に車を置き車から降りると 「沙織さんのお家って大きい」 「専務の家だからな。それなりにデカイんだろ。勿体無いよな、3人しか住んで無いんだから」 「本当ですね。お家の中も凄いのかな?」 「俺も小学生の頃以来だからな。変わってるかも知れない、それに偉くなって建て替えてるしな」 「伊織、行こうぜ」 「おう」 玄関前でインタ-フォンを押すと直ぐに出て 「今、開けるわ」 沙織の声がし玄関ドアを開けて蔓延の笑みで微笑み「いらっしゃい、どうぞ」ぞろぞろと入り応接間に通された。 ソファに4人で座り、沙織がコ-ヒ-を出して来た。 「どうぞ」 「どうした?矢嶋君は?」 「今、朝マック買って来て貰ってるの。お腹空いてると思って」 「そうか。こき使われてるな」 「あら~。こき使ってるんじゃなく、大ちゃんが言い出したのよ~。それよりマコちゃんの彼氏を早く紹介してよ」 「ああ、こいつが真琴君の彼氏の桐生祐一だ。俺の高校からの同級生だ。店経営してる」 「初めまして、桐生祐一です。いつもマコと仲良くして貰ってありがとうございます」 祐一の外行きの顔をして挨拶するの見て、俺は何カッコつけやがってと思っていたが、真琴君はポ-と見惚れて沙織は礼儀正しいと感激していた。 「こちらこそ、マコちゃんと仲良くさせて貰って嬉しいのよ。神崎沙織です。伊織とは、親同士が仲良かったから幼馴染って所かしら」 沙織も外面の顔で挨拶しやがって、あ~気持ち悪い。 「マコちゃん! とてもカッコいいじゃないの。伊織は外見だけは西洋的な男前だけど、祐一さんは東洋的な日本の武士って感じで寡黙で精悍な感じねぇ。例えで言うと新撰組の沖田総司って感じかしら」 勝手な分析と感想を話す沙織に真琴君は照れて 「褒めすぎですよ。でも、カッコいいのは認めます」 何、地味に褒めてんだ?何だか面白く無い。 「もう、祐一の事は良い。それより、どこ行くんだ?」 俺が聞くタイミングで矢嶋君が戻って来た。 「沙織さん、お待たせしました」 「大ちゃん、お疲れ様。あっ、祐一さん、こちらが私の彼氏で矢嶋大輔君よ。大ちゃん、マコちゃんの彼氏の桐生祐一さん、伊織の高校の同級生なんですって。カッコいいわよね~」 「初めまして、矢嶋大輔です。マコちゃんには、お世話になってます」 「ん、マコちゃん?」 「あっ、いやいや、真琴君です。すみません」 あ~あ、これで矢嶋君もマコちゃんから真琴君呼びに決まりだな、女の沙織は良くって男の矢嶋君はダメって事か、嫉妬深い奴。 「初めまして、桐生祐一です。これからもマコ同様宜しくお願いします」 お互い頭を下げ挨拶してる。 祐一を紹介し終わった所で、沙織との話しが進まないとまた切り出す。 「んで、どこ行くんだ?」 「食べながら、話しましょう。さっ、食べて」 ハンバ-ガ-と飲み物やその他を広げ、それぞれ手に取り食べ始めた。 「ん、迷ってるんだけど。ねぇ、ヨシ君とマコちゃんはどっち行きたい?お天気も良いし富士急ハイランドパークかディズニーシィ-か。どっち行きたい?」 「「富士急!」」 ミキと真琴君は声を揃えて言った。 「じゃあ、富士急で決まりね。ここからだと高速で4〜5時間かしら?早く出発しないとね、すぐに用意しましょう?目標は8時出発ね。それまで、男性陣はここで待っててね。さあ、ヨシ君、マコちゃん行きましょう」 目をキラキラし張り切る沙織だ。 沙織は化粧もし、後は着替えるだけらしい。 別室に移動したミキ達が居なくなると応接間は静かになる。 やはり俺が仲を取り持た無いといけないか。 「祐一、矢嶋君は会社を経営してるんだ。この若さで偉いよな」 祐一に話題を振ると、祐一も会社経営では無いが店を経営してる事から大変さが解るんだろう感心し話し始めた。 「凄いな、若いのに」 「いいえ、大学の同級生と始めた小さな会社です。まだ、従業員は俺も含めて5人だけなんで、ネットやホ-ムぺ-ジやパソコンの修理やプログラミングもしますし、ま、パソコン関連なら何でもします」 「頑張ってるな。それでも起業するのは、並大抵じゃない」 「大学の時から自分で起業するって決めてたんで……今は、沙織さんも会社辞めて手伝ってくれてます」 大学の時から考えてたと言う所も祐一との接点があり、祐一も矢嶋君の生き方と話をして好青年と感じたようだ。 「……俺、その……そういうセクシャルな事に関して偏見無いと思ってました。沙織さんは元から偏見無い人だし、そういう人もいるんだ位で自分には関係無い世界だと思ってました。……正直、男同士の恋愛は成り立たないんじゃ無いかと、心のどこかで思ってたのも本当です。体の関係だけって言うか性欲が満たされればいいんじゃないかって……すみません。でも、成宮さんとヨシ君を見てて男同士の恋愛も変わらないんだなって、本当に好きな人には男も女も関係無いんだって。成宮さんはヨシ君を本当に大切にしてるし、ヨシ君も成宮さんを本当に信頼してるのが見てて解りました。それにヨシ君もマコちゃ.…えっと真琴君が2人の事幸せそうな顔で話すんですよ」 俺は素直に話す矢嶋君に納得し、俺達がそんな風に見られていた事やミキが幸せそうに俺の事を話すって言われて嬉しかった。 「ありがとう。矢嶋君が思ってた事はそうでもあり違う事でもある。実際、俺も祐一も学生の時は恋愛感情なんて無しで、性欲優先で体の関係だけの時もあったし。でも、今は祐一は真琴君と出会って俺もミキと出会って本当に愛する人ができると変わった。守ってずっと側にいて欲しいと思ってるのは、相手が男でも女でも変わらない。俺も祐一もミキ達が幸せそうに笑ってる事が1番なんだ。矢嶋君が正直に話してくれて嬉しかった、ありがとう」 「全部、伊織に言われたな。俺もマコが側にいれば、どんな辛い事でも乗り越えられる。俺もマコの元気で明るい所に救われてるしマコが笑って居られれば、それだけでいいんだ」 「お2人の気持ち凄く解ります。俺も沙織さんには全然身合わないですけど、沙織さんが側に居てくれるだけで頑張れますから」 正直に話す矢嶋君を祐一も好感持ったようだ。 矢嶋君の唐突な話しから俺達は打ち解けた。 そんな話しもしたお陰か、話しは尽きず仕事の話しでは真剣に話し、ミキ達の話しをしては笑い合った。

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