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第317話
ドアから恐る恐る恥ずかしそうに入って来たミキと真琴君を見て、一瞬息が止まった。
こんな事は、ミキと初めて会った時.クリスマスの時.今回で3度めだ。
あ~、何度惚れ直せば良いんだ。
「「可愛い~! 」」
思わず叫んだ。
祐一と声が揃ってしまった。
「ん、祐一。まさか、ミキを見て可愛い~とか言ってんじゃねぇ~だろうな」
睨んで話すと祐一も顔を顰(しか)め
「はあ? 何言ってんだ。てめぇ~こそ、マコを見て言ったんじゃね~のか?可愛いって言ったらマコの方だろうが?ミキは綺麗系だろ!」
「はあ?ミキは綺麗でもあるが可愛いんだよ。目が悪いのか?」
「バカか?可愛いのはマコだっつ-の。目が悪いのは、てめぇ~だよ」
俺と祐一が歪み合ってると、ミキと真琴君はオロオロし沙織が見兼ねて口を開こうとした時、俺達の間に入って来たのは予想外の矢嶋君だった。
「まあ~.まあ~。確かにヨシ君も真琴君もどちらも可愛いですが、やはり沙織さんが1番綺麗で可愛いです」
「もう、大ちゃんったら~」
イチャイチャ始めた沙織達にバカらしくなり、歪み合うのは止めてミキ達の側に行く。
近くで見ると本当に綺麗で可愛い。
ミキは髪は前髪を横に流しサイドを少し垂らしお団子ヘア~にし、化粧のアイメイクで目が印象的で眉も綺麗に描かれ、唇には濃いピンクで彩っていた。
服装もVネックの白ニットで、後ろもかなり開いて大きめの黒リボンが付き、下は巻きスカ-ト風だが、後ろから見るとショ-トパンツのピンクで小悪魔風で可愛いかった。
「あまり見ないで下さい」
恥ずかしいらしく、俯き加減で目を向け上目遣いになって話すのは逆効果だ。
思わず「可愛い~.可愛い~」と言って、抱きしめていた
「伊織さん.伊織さん」
背中を叩かれてハッとなった。
しまった~。
ここは沙織の家だったと思ったが、皆んな俺達を呆れた目で見ていたが、祐一もしっかり真琴君の事を抱き寄せていた。
真琴君は髪型はサイドを垂らしシュシュでポニテ-ルし、化粧は薄化粧で唇も薄いピンクで全体的に可愛らしく纏めてあった。
服装もピンクの薄手の大きめのパーカーに、黒と白のチェックの2段フリルキュロットを着ていた。
沙織が言ってた通り元気な女の子って感じだ。
祐一も女装姿の真琴君を愛しい目で見ていた。
真琴君も可愛く出来上がっていたが、ミキには負けるとミキをまたジッと見つめた。
「何か、変ですか?」
不安そうに聞かれ
「いや、とても似合ってる。クリスマスの時とまた違って、これも良い! 」
ミキの開いた胸元にペアのネックレスが見え隠れてしていた。
ネックレスを手に持ちながら耳元で囁く。
「昨日、キスマ-クつけるのを加減して良かった。こんなに開いてたら見えていたかもな」
念の為、キスマ-クは鎖骨辺りには付かなかった、胸から腹.腿の内側といつもより少なく残した。
「こんな開いてるとは思いませんでしたけど、前より後ろの方がス-.ス-します。でも、念の為にチュ-ブトップ下に着てますから、大丈夫です」
「そうか。寒かったら言えよ、上着貸すから。ん、そうだ。写メ撮らせてくれ」
スマホを取り出し写メを何枚か撮ってると、祐一も撮り始めた。
撮影会となる中、沙織が「もう、可愛いのは解ったから。いい加減、出発しましょう」
それを合図に沙織の家を出る。
「沙織さん、さっき話してたんだが、俺の車で皆んな乗って行きましょう。俺の車ワンボックスカ-なんで。たまに仕入れしたりするから大きめの車が必要で」
「じゃあ、お願いしようかしら」
祐一の車で行く事に決定し、乗り込む時に祐一に「お前、余り寝て無いんだろう?俺が運転するから寝てろ」
「そうか、悪い。事故っても洒落になんねぇ~からな」
鍵を渡されミキを助手席に乗せ、沙織.矢嶋君、1番後ろには祐一と真琴君が乗ってるのを確認し富士急まで車を走らせた。
数分した所で、祐一が真琴君の肩に頭を乗せ眠っているのをバックミラー越しに見て、疲れているのに真琴君の為に無理してんだろうなって、祐一なりの真琴君への愛を感じていた。
ミキもそう思ったらしく「祐さん、疲れてるのに……。でも、マコ嬉しそう」と自分の事の様に喜んでいた。
祐一達は放っておいて、沙織達と4人で富士急の乗り物を検索したり途中のサービスエリアを検索したり、道中はなかなか賑やかだった。
2時間近く高速を飛ばし、大きめのサ-ビスエリアでトイレ休憩に入るが、まだ祐一は気持ち良さそうに真琴君の膝枕で寝ていた。
「マコ、行く?」
「僕は良いよ。皆んなで行って来て」
祐一を起こさない様に気遣う真琴君に「じゃあ、何か食い物と飲み物買ってくる。祐一も起きた時に腹減ってると思うからな」
「お願いします」
祐一と真琴君を残しトイレに行き館内に入り、俺達だけ食べるのも悪いと車の中で食べられる物と飲み物を買い、少しだけ店を回り車に戻る。
次は矢嶋君が運転すると申し出てくれたので、甘えて祐一達の前席に座った。
「はい、マコ。祐さんの分は残しておいて、マコも一緒に食べよう」
唐揚げ.ポテトとホットドッグを手渡し、俺達も食べ始めた。
前では、沙織が運転中の矢嶋君に唐揚げを「あ~ん」と言って食べさせていたが、沙織がすると餌付けだ。
それから1時間半位で富士急に到着した。
道も空いてたのもあり4時間弱で来れた。
その間ずっと祐一は寝ていたが、真琴君は嬉しそうだった。
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