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第318話
「おい、祐一。起きろって、着いたぞ。真琴君も起きてくれ」
後ろで寝ていた2人を起こす。
祐一が真琴君の膝枕で寝ていたが、真琴君も寝てしまったようだ。
「ん~、着いた?」
目を擦る真琴君は幼い感じで可愛い。
「マコ、化粧落ちるよ」
「えっ。あっ、そうだった~」
「祐一を起こしてくれ」
祐一の肩を揺すり
「祐さん.祐さんって。起きてって、着いたよ」
「ん、マコ?どこ着いたって~」
ふあぁ~と欠伸をし、目を開け真琴君を見て
「どうした?マコ。今日はいつにも増して可愛いな~」
ニタニタ笑ってだらし無い顔で話す祐一に、暫く見てるか揶揄うか迷ってると
「祐さん! 皆んな見てるし~、待ってるから起きて~」
可愛いって言われて照れて話す真琴君は、今日の姿からも恋する乙女って感じだ、そんな2人をニタニタした目で見ていた。
「はあ?誰が見てるって?」
起きてから、まだ、状況を把握して無い祐一と目が合った。
「伊織! そのだらし無い顔何とかしろ!」
「だらし無くもなるさ。今日はいつにも増して可愛いな~とか聞かされたからな」
「はあ?言ってね~し」
「聞きました!」
わざと敬語で話す。
「お前、目も悪いが耳もか?1度、病院行け!」
パンッ.パンッ。
手を叩かれ、沙織が「仲良いのも結構だけど。もう富士急に入りましょう。時間が勿体無いわ」
兄弟喧嘩の母親の様に話す沙織にバツが悪くなり「降りるか?」「そうだな」と車を降りた。
当日フリ-パス券を購入し園内に入る。
「へえ~、結構広いな~」
「なあ、絶叫系が多くね~か?」
「何だ?怖いのか?祐一」
「誰が怖いって?マコが大丈夫かと思って」
そう言えば、ミキも大丈夫だろうか?
ミキを見ると俺から離れ、真琴君と沙織と矢嶋君とでパンフレットやスマホを見ながら何乗るか相談していた。
祐一となんか話してられ無いと、ミキの元に近寄るとキャッ.キャッと楽しそうにして本当の女の子みたいだ
祐一も来て矢嶋君に「何だか、本当にトリプルデ-トみたいだな」って今更の事を言っていたが
「本当に女子3.男3の組合せって感じで、誰もあの中に男が2人いるとは思わないでしょうね」
矢嶋君も祐一に合わせて話していた。
「おい、こんな所いても仕方無いから、どれかに乗ろうぜ」
「伊織さんは、どれ乗りたいですか?」
「ん~、取り敢えずフジヤマ?フジって名前付いてる位だからな」
「単純~」
沙織の嫌味を無視して、決まらなかったらしいから俺の1言でフジヤマに決まった。
20分程待ち俺達6人も乗り込んだ。
もちろん俺の隣はミキだ、それぞれカップルで座りスタートした。
普通のジェットコースターの長い版かとタカをくくってると登ってる時は何とも無かったが、下りとの急な落差.左右の振り.速度.180度Uタ-ンするなど思ったより全然凄かった。
ジェットコースターなんて何年振りに乗ったか解らない位で、昔のイメージしかなかったから衝撃的だった
ゴ-ルすると少しフラつくのを何とも無い顔をする。
乗ってる間は、ミキを気遣う事も出来なかったと思い「ミキ、大丈夫か?」隣を見ると「うん、楽しかった~。もう1回乗りたい!」と目がルンルンしていた。
結構、絶叫系は得意なんだなぁ~と改めて新しい1面を知ったが、正直俺は2度乗りたく無いがあんな目をされたら‘嫌だ’とは言えない。
「そうだな。少し開けてからな。まだ、乗り物は他にもあるし」
「そうですね」
フジヤマを降りて階段を下りながらそんな話をした。
沙織達と祐一達と下で合流すると直ぐに女子(?)3人は固まり次何に乗るか話し、直ぐに「ドドンパにいくわよ」と沙織に言われ3人の後を着いて行く。
少しの待ち時間で乗り、暗闇を抜けると一気に時速が増し速さで言うとフジヤマより凄かった。
体が置いてかれそうな感覚になる程の速さと掛かるG何だか解らないうちにゴ-ルした。
フラフラする頭に「凄かった~」と楽しそうなミキの声に「そうだな」と言うのが精一杯だった。
また、下で合流すると3人は固まり、次の話をしてる横で俺達はゲンナリしていた。
「はあ~、疲れた~」
「伊織、これが後2つも凄いのがあるみたいだぜ。俺、体持つか心配だ」
「俺もだ」
「成宮さんも桐生さんも、まだまだこれからですよ。沙織さんは大好きですから」
「ゲッ、マジかよ~」
「絶叫系じゃ無いやつを挟もうぜ」
「そうだな、体持たない」
楽しそうに元気な女子(?)に情け無いと思われたく無い俺達はヒソヒソと小声で話していた。
「沙織~、一気に絶叫系ばっか乗ると後の楽しみ無くなるぞ。違う系の物も乗ろうぜ」
絶叫系が嫌だと噯(おくび)にも出さず、それと無く話した。
「そうねぇ~、初めから飛ばしてもね。楽しみ無くなるわね。じゃあ、次はこれに行きましょう」
「うん、いいね♪」
「楽しそう♪」
何に決まったか解らないが絶叫系では無いらしいとホッとして、3人の後を俺達は黙って着いて行った。
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