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第319話

着いたのは‘スカイサイクル’だった。 自転車に乗り園内を空中散歩するアトラクションだ。 ああ~、少し休憩できるなとホッと一息つくと俺の後ろで、祐一も同じ事をしていた。 ミキと2人並び自転車を漕いで出発。 高さは結構あったが、見晴らしも良く園内のあっちこっちを見ながら話せて俺的には楽しかった。 「伊織さん、楽しいね♪」 「そうだな」 余裕も出てきて、たまに早く漕いだりとキャッ.キャッ言ってるミキと楽しいひと時だった、皆んなでもいるのも良いが、やはりミキと2人になりたいとこの時思った。 階段を下りて合流し皆んな揃った所で 「なあ~、皆んなでも楽しいがミキと2人っきりで回りたい」 「何言ってんの?それじゃトリプルデ-トの意味無いじゃないの!」 やはり沙織が言ってくると思ったが、俺も譲らないと話そうとした時 「沙織さん! 俺も少しだけ2人っきりで回りたいです。たぶん、桐生さんもそう思ってますよ。少しだけ恋人同士で回っても良いんじゃ無いですか?折角、頑張って女装までしてるんですから」 「大ちゃんがそう言うなら……2時間後に‘高飛車’の前で、待ち合わせしましょう?」 「良し、解った」 「それなら、マコ行こう」 直ぐに真琴君と手を繋ぎ歩き出した祐一に嬉しそうな横顔の真琴君の後ろ姿を見て、来て良かったなと思った。 「大ちゃん、私達も行きましょう。じゃあ、ヨシ君、2時間後に」 「お先に、成宮さん」 沙織に腕を引っ張られて立ち去って行った。 「ミキ、俺達も行くか?少し園内を歩いて良さそうな乗り物あったら乗るか?」 「はい! 」 元気良く笑顔で返事をするミキの手を取り握って歩き出す。 「い、伊織さん」 「ん、今は女の子なんだろ?」 「あっ」 「じゃあ、遠慮しないでイチャイチャ出来るな」 クスクスクスクス…… 「そうでした」 手を繋ぎ園内を歩き、グッズ売り場を発見し店に入る事にした。 店の中には、オリジナルグッズや山梨の名産品など数多くあった。 「ミキ、今は見るだけにしろよ。荷物になるからな、どうせ、帰りに沙織達も見るだろうし」 「はい」 2人で見て歩くと周りから「キャ~。あの子、可愛い」「めっちゃ可愛い」「彼氏持ちか~」小声で話してる声が聞こえる。 そうだろ.そうだろ。 俺のミキは可愛いんだと自慢の彼女(?)を見せびらかしたい気分と片時も離れるとマズイと言う気持ちが交差する。 店を出ても振り向かれたり小声で「可愛い~」「綺麗~」と声が聞こえる。 どんな格好しても、やはりミキはモテるんだなっと改めて思った。 伊織さんと園内を歩いていると振り向かれたりして、女の子の視線がいつもある。 今日は俺の彼氏って大っぴらに出来るんだと思い、手を繋いでいた伊織さんの腕に体をピトッとくっつけて肩に頭を寄せ繋いだ腕にもう片方の手を絡めて、伊織さんは歩き辛いかも知れないけど普段出来ない事をしてみたかった。 「ん、どうした?」 「えっと、普段履き慣れて無いブ-ツで…歩き辛いですか?」 「いや、構わない。捕まってろ」 頭をぽんぽんされ、嬉しくって益々くっ付いた。 その光景を周りの人が見て「キャッ、可愛い~」 「あんな甘えられたら…俺にも甘えて欲しい」 「素敵なカップル」とか言われていたのは、全然気付かず伊織さんだけを見ていた。 歩いているとミキが履き慣れて無いブ-ツで疲れたのか?繋いだ手を腕を絡めて甘えてきた。 確かに、高さは然程(さほど)無いが編み上げの膝位まである黒のブ-ツは、男は履く事は無いからなと納得しつつ体も寄せ甘えるミキが可愛い。 顔には、どうにか出さなかったがデレデレモ-ドだ。 周りを気にせず甘えるミキとイチャイチャ出来るから女装するミキは良い。 2人っきりの時に甘えモ-ドのミキも良いが、こう言うミキもまた良い。 やはり女装デ-トは良いな~。 今回は予想外の展開でこう言う事になったが、沙織が味を占めて諦める筈は無いし、また、こう言う機会は必ずある、無ければ作ればいいんだと甘えるミキを見て良からぬ事を考えていた。

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