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第321話
待ち合わせ場所には、沙織達と祐一達は既に着いていた。
「悪い、遅くなった」
「大丈夫よ。私達もマコちゃん達も、今、来た所だから」
「良かった~」
祐一を見ると疲れた顔をしていたが、しっかり手を繋いでいた。
祐一も真琴君に付き合って、大変な目にあったんだなと悟った。
「さて、皆んな揃ったし高飛車でも乗りましよう」
「わぁい♪」「行きた~い」
まだまだ、元気なミキと真琴君に目の前のアトラクションを見てゾッとして申し出た。
「沙織、俺疲れたから下で待ってる」
「俺も少し休憩」
透かさず祐一も申し出た。
「んもう、ダラシ無いわねえ~。いいわよ。少し休んでなさい」
沙織の言葉に、これで休めるとホッとした。
「沙織さん、俺も成宮さんと桐生さんと一緒に下で待っます」
「大ちゃんも?疲れちゃったの?じゃあ、ゆっくり休憩してね」
「はい、下から沙織の事見てますから」
良い子.良い子と矢嶋君の頭を撫で矢嶋君も嬉しそうにしている。
まるで飼い主の帰りをしっぽ振って待ってる大型犬に見えた。
沙織の奴、俺達と矢嶋君に対しての違う態度にムカつくが、休憩出来るから良しとした。
「じゃあ、行ってきま~す」
「祐さん、ゆっくりして下さいね」
「伊織さん、疲れ取って下さいね」
それぞれの恋人に言葉を掛け手を振って‘高飛車’に並びに飛び跳ねるように行った。
「ミキ! あまり飛び跳ねるな!」
「マコも!」
「「は~い」」
元気の良い返事をしていたが、可愛い猫が戯れてるように行く後ろ姿を見て、やれやれと疲れがドッと出た
全く、ミキは楽しいんだろうが、ぴょんぴょん跳ねるように行くから、巻きスカートの裾がヒラヒラしてるのに気付いていない。
本人はアトラクションに夢中で全然気にしてないのが困る。
幾ら、キュロットになってるからと言っても、少しは気にして欲しいもんだ。
祐一も同じ気持ちで真琴君に注意したんだろう。
俺と祐一と矢嶋君は、並んで近くのベンチに座り
「「はあ~」」
俺と祐一は揃って溜息をついた。
「疲れた~」
「俺もだ。何で?ここは、こんなに絶叫系ばっかりなんだ?」
「知らねぇ~よ。ミキがあんなに絶叫系好きだとは思わなかった」
「ああ、マコとミキは遊園地とか好きだからな~。俺は待ち時間とか混んでるのが苦手だから、余り連れてってやらないから、今日ははしゃいでるな」
「もっと、連れてってやれよ。さっきお前に手を繋がれて嬉しそうだったぞ」
「普段は出来ねぇ~からな。今日は気兼ね無く出来るし」
「そうだな。初めて見た真琴君の女装の感想は?」
ニヤニヤして話す。
「予想より実物の方が可愛いかったな~」
「そうか.そうか」
「そんな事より、まだ乗るんだろ?」
「そうだろうな~。矢嶋君、どう思う?」
「沙織さんも絶叫系が大好きですから、さっきも時間が足りないわって言ってました」
何か他に無いかパンフレットを見て
「おい、祐一。これとこれ良くねぇ~か?」
覗き込み
「ん、いいな~。絶対に行こうぜ。矢嶋君も行きたいだろ?」
「これは、俺も気になってたし富士急ではフジヤマと同じ位有名ですからね。ここでしか味わえませんよ」
「決まりだな。祐一、上手くすればイチャイチャ出来るぞ」
「だな」
2人で顔を見合わせニヤッと笑った。
グルグルと回転し急旋回するジェットコースターを見上げ、良く乗るなぁ~と感心し、これじゃミキがどこに乗ってるか解んねぇなぁ~と思っていた。
暫くすると、ぞろぞろと階段を降りて来る人の中からミキ達を見つけ、俺達もベンチから立ち上がり近くに行こうとした時だ。
一緒に降りて来た外国人の男3人と何か話していた。
真琴君は英語が話せないのか?話に加わって無いが、ミキと沙織が相手をしていた。
数分程で終わり、最後に外国特有の頬と頬を合わせるチ-クキスをされていた。
沙織もミキも外国に滞在した事がある所為か?余り戸惑いが無いが、真琴君は少し引き気味だった。
それぞれがチ-クキスをし、手を振って去って行った外国人を睨みつけ駆け寄る。
「ミキ!」「マコ!」
「あっ、伊織さん」「祐さん」
「何なんだ?あの外国人!」
「一緒に乗った人達です。日本語で解らない事があったらしく困ってたので、通訳したりしたので」
「それにしては、馴れ馴れしい挨拶してたが」
「お礼とお別れの挨拶ですよ。チ-クキスは、稀ですけどね。大体はハグが多いですけど、フランス人だったからかなぁ~?慣れてましたよね?」
ミキの天然とヨ-ロッパでの生活してた所為なのか?余り抵抗は無いようだ。
これはこれで問題だよなぁ~、外国人を抵抗無く受け入れるってのも。
ミキが言うようにヨ-ロッパでは、親しい人にはチ-クキスする事もあるが、アメリカではチ-クキスは滅多にしないハグが多いからだ。
その親しい人にしかしないチ-クキスをして行きやがってぇ~。
「まあ.まあ。伊織、そんな事で目くじら立てないの。さて、時間も無いから後2つ位しか乗れないわよ。何、乗りたいヨシ君.マコちゃん」
先に乗り物を決められる前に話そう。
「沙織。その事だが、これとこれに行こうって俺達で話してたんだが」
パンフレットを見せ話すと沙織の頬がピクッと動いた様な気がしたが、いつもの沙織の話振りで気の所為と思った。
「大ちゃんも行きたいの?」
「そうですね。それに成宮さんと桐生さんの行きたい所も行ってあげて良いんじゃないかと。ずっと沙織さん達が行きたい所だけでしたから」
少し考えて「解ったわ。行きましょう」沙織の1言で決まり、それぞれ手を繋ぎ目的地まで急いだ。
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