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第322話
俺達6人は、アトラクションの‘絶凶・戦慄迷宮~収容病棟篇~の前に来ていた。
外観でも不気味な雰囲気の施設。
誰から行くか話し合って、沙織組・祐一組・俺達と順番が決まり、その間もミキと真琴君は「やだ~」「絶対行きたく無い」と駄々を捏ねていたが、俺達に「どうしてもダメなら途中リタイアすれば出られるから」と説得され渋々行く事になった。
2人共、始めから顔が引きつって心なしか?顔色も悪い様な気もする。
俺も入る前から少しドキドキしていた。
外観の不気味な感じと病棟って言う施設が色々想像させるが、ミキの前では平静を装っていた。
沙織組・祐一組と順番に入って行き、今度は俺達の番だ。
入場口でミキが手を握り、腕を組んでピトッと体を寄せて来た。
入る前から既に怖がっていた。
「大丈夫だ、俺がついてる」
頭をぽんぽんし、微笑んで安心させてやる。
「伊織さん……どうしてもダメな時は、リタイアしますからね」
涙目で上目遣いで話すミキが超絶に可愛い~。
この姿を見れただけでも、ここに来た甲斐があったな
「解ってる。ほら、行くぞ」
「……はい」
施設の中は、薄暗く病院独特の消毒液の匂い.叫び声.実験室.鉄格子と身の毛もよだつ恐ろしさだった。
人体実験にあった患者の亡霊の姿に驚き.叫び声に驚き.音にも驚きと何度驚いたか解らない。
「キャ-」「やだ~、来ないで~」と何度も叫んで腕に縋りついていただけだったが、進むにつれ殆ど俺に抱き着く感じで歩いていた。
何とか半分程来たが、俺も驚き過ぎて心臓はバクバクするしでヘトヘトに疲れていた。
「もう、だめ。進め無い。リタイアしたい」
俺に抱き着き目を瞑って歩くミキが可哀想になり、俺もこれ以上は無理だと判断した。
途中のリタイアの為の脱出口まで進み外に出た。
「ミキ。もう外だから目を開けて良いぞ」
抱き着いたまま目を開け涙目で話す。
「怖かった~よ~。京都のお化け屋敷より全然こっちの方が怖い~」
「俺もここまで怖いとは思わなかったな。やはり病院と言うのが怖さを倍増させるな」
「皆んなの所に行く前に……」
「ん、何だ?」
「今日、伊織さんの所に泊まっていい?」
涙目で可愛くお願いされ大歓迎だ、あわよくば怖いから泊まりたいと言うんじゃ無いかと密かに思ってた位だ。
「泊まって良いに決まってるだろ。夜中、トイレに起きたらついても行くし。安心しろ」
「お願いします。後、ギュッと抱いて寝てね」
可愛い~、ギュッと抱いて寝てねって、マジ、可愛い過ぎだろ。
「解った。ミキが苦しいって言う位、強く抱きしめて寝てやる」
「お願い」
余りの可愛さにさっきの恐怖は、何処かに飛んでいった、其れ位ミキの可愛さは威力があった。
「じゃあ、皆んな待ってるから行くか?」
「はい」
恐怖で歩くのもおぼつかないミキを抱え、待ち合わせ場所に移動した。
「ヨシ君、大丈夫?」
「ミキ~」
俺達を見つけ直ぐにミキに近寄る真琴君と沙織に少し任せ、祐一と矢嶋君の所に向かう。
「よっ、どうだった?」
「思ったより凄ぇ~、怖かった。俺でも怖いんだからミキは半泣き状態だった。真琴君は?沙織は余裕か?」
「マコもキャ-.キャ-叫んで怖がってな。やはり半泣きでリタイアだ。俺も驚き過ぎて疲れた」
「沙織さん、あ~見えてお化け屋敷とかダメなんですよ。皆さんの前では意地張ちゃって、中では縋りついてキャ-.キャ-言ってましたよ。俺もここまで凄いとは思いませんでした。結局、俺達もリタイアです」
「大体、最後まで行ける人いるのか?」
「「居ませんね」」
ミキ達を見ると、涙目のミキを一生懸命に慰めてる真琴君と沙織の姿があった。
自分達も怖かっただろうに。
ミキも良い友達を持ったと感謝した。
慰め終わったのか、沙織が「時間が無いから次が最後よ」と言われ、急いでミキの手を繋ぎ最後のアトラクションに向かった。
シャイニング・フラワー所謂(いわゆる)観覧車だ。
観覧車の鉄骨は30種類のイルミネーションで点灯され巨大な花が咲いてる様な景観で綺麗だった。
「綺麗ですね」
観覧車を仰ぎ見て感想を述べるミキの顔にもイルミネーションが注がれ綺麗だった。
「そうだな」
「観覧車をバックに写メ撮りましょう。マコに頼みます」
真琴君に頼んで写メを数枚撮り、今度はミキが祐一達の写メを撮ってやり、沙織も便乗して沙織達も写メを撮りそれから並んだ。
暫く並んでると順番で沙織達.祐一達.俺達と順番に乗り込み、これから11分の2人だけの空間を楽しむ。
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