323 / 858

第323話

空中.壁.床と四方をスケルトンタイプの限定のゴンドラでは無く、普通のゴンドラタイプに乗り込む。 スケルトンタイプは全てを見渡せるが、逆にこちらも見られるって事だと考え、普通のゴンドラで誰にも邪魔されず2人の世界を楽しみたかったのが本音だ。 ゴンドラ内にイルミネーションの灯りがキラキラと差し込み、ロマンチックな演出とミキの姿にもキラキラと降り注いで輝いて1枚の絵のように見えた。 「綺麗だ」 見惚れて呟くとミキは景色と勘違いし 「本当に綺麗ですね。どんどん小さくなっていきますね。昼は富士山も見えるんでしょうね」 「近いからな」 向かい合わせからミキの隣に移動する。 「伊織さん、あれがFUJIYAMAですよ~。あれに乗ったんですね。遠くから見ると速いですね」 「そうだな。あんまり乗り出して見るな、危ないぞ」 窓枠に手を掛けガラスに顔を近づけて見るから危ない 「は~い」 可愛いな。 ミキの手を繋ぎ近づき景色を2人で眺める。 そろそろ頂上だ、頂上に着いた所で呼ぶ。 「ミキ」 振り向いた所で頬に手を添え、軽めのキスをチュっとする。 「伊織さん」 「口を開けろ」 素直に口を開けるミキの咥内に舌を入れクチュクチュ……音をさせ絡めて、少しの間ミキの咥内を堪能した。 「‘観覧車の頂上でキスしたカップルは、永遠に別れない’ そうだ」 照れてるミキも可愛い。 「伊織さんがそんなにロマンチックだと思わなかったです。でも、嬉しい」 「まあな。縁結びでもそんなジンクスでも何でもミキと離れないならやる。ま、俺達が別れる事は無いがやって置いて損は無い」 「はい、俺も別れる事なんて考えてません。伊織さんは俺の家族でもありますから。ふふ…伊織さん、口紅付いてますよ」 ハンカチで口を拭いてくれるミキ。 「良く気がつく奥さんだ」 それから抱きしめたり、俺の肩に頭を乗せたり地上に降りるまでイチャイチャが続いた。 俺がこんな照れるようなロマンチックな事をする奴じゃ無い事は1番自分が知ってるし、事実今までそんな事したことが無い。 その俺がミキが喜ぶ事なら何でも出来るし、してやりたいと心から思う。 地上に降りると真琴君.沙織が待っていて、2人は直ぐにミキに近寄る。 俺は少し離れた所にいる祐一と矢嶋君の側に行く。 「よお!」 手を挙げ近寄ると 「おう! あれ、お前手の甲に口紅付いてるぞ」 祐一に言われ一瞬慌てたがそんなわけ無い、ミキがハンカチで唇を拭いてくれたはずだ。 祐一の揶揄いに気づきお返しをする。 「はあ! お前こそ唇の端に口紅付いてるぞ」 言い返すと、慌てて手の甲で拭いてる祐一に 「嘘.嘘だよ」 ニヤニヤして話すと矢嶋君もその光景を見てニヤニヤしていた。 「桐生さん、頂上でキスですか?ロマンチックなんですね」 「こいつ、顔に似合わずそういう所しっかりするんだよな~。で、普段のギャップで祐さん、カッコいい~って言われるんだよ。好感度上げてるんだよな。騙されるな矢嶋君、こいつはそういう奴なんだ」 「何だと~。お前こそ、そんな事言ってしっかりキスして来たんだろうが。解ってるんだぞ」 「そんなのキスするに決まってんだろう」 「俺だってした」 「実は……俺もしました」 3人顔を見合わせやってる事が一緒で笑い出した。 ミキ達も合流し、閉館時間が近づいたので富士急を出る事にし、車に戻る事にした。 車に乗る前に祐一が「帰りは俺が運転する。俺以外は明日、朝から仕事だろ?俺は明日は休みだし」「じゃあ、頼む。眠くなったり疲れたりしたら代わるから言えよ」って言って、祐一の運転で帰る事に決まった。 車中では、富士急での楽しかった話や面白話しをして賑やかだった。 「ねえ、今度はDLシィ-に行かない?」 「「行きた~」」 沙織の提案にミキと真琴君は直ぐに返事をする。 「ミキ、行くのは良いが沙織の事だ。また、女装だぞそれでも良いのか?」 俺は行きたく無いのとミキの女装が見たいのと半々だった。 「マコもだぞ」 祐一も透かさず話す。 こいつ真琴君の女装姿に味しめたな、ムッツリスケベが。 「もう、2回も3回も一緒だし~。シィ-行きたいから女装でも良い」 ミキが開き直り話すと真琴君も開き直ったようだ。 「僕も1回したら気が楽になったし、ミキがするなら別にしてもいいから行きたい。祐さん、一緒に行けるかな?」 「マコが良いならな。今回もだが行くなら、俺に合わせて貰うしか無いが」 なんだか良い雰囲気の2人だ、祐一はしっかり真琴君の手を握っていた。 「あら、別に良いじゃない。桐生さんに合わせましょう。日曜日か祭日の月曜日で良いんでしょう。先だけどクリスマスシ-ズンは混むから、その前のハロウィンとか良いかもね」 「だいぶ先だな」 「その前に海にも行きたいし、バ-べキュ-も良いわね~」 「海行きた~い」「バ-べキュ-もした~い」 喜び騒ぐミキと真琴君。 「海はダメだ。ミキの裸は見せたく無い。どうしても行くなら上着を着る事!」 「マコもな」 「沙織さんもです」 3人で話すと 「誰も俺の裸見ないですよ~。でも、伊織さんが言うなら着ますよ」 「え~、海なのに~。暑いよ~」 「大ちゃんったら~」 3者三様の反応だ。 そんな感じで次の遊びの話しをし、途中で夕飯をとり車の中では、はしゃぎ過ぎたのと腹がいっぱいになったからか1人.2人と眠りについていく。 後ろでは、沙織が矢嶋君の肩に凭れ掛かり矢嶋君も頭を寄せ寝ていた。 真琴君も祐一と手を繋いだまま寝ている。 ミキも俺に肩を乗せ寝ていた。 俺は祐一と代わるつもりだったから起きていたが 「伊織、寝て良いぞ。この分なら思ったより早く着きそうだしな」 「ん、悪い。じゃあ、代わるようなら起こしてくれ」 ミキの頭にキスし手を繋ぎ頭を寄せ、俺も車の心地良い揺れで眠りについた。 こうして初めてのトリプルデ-トは終わった。 何やかんやで楽しかった。

ともだちにシェアしよう!