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第323話
空中.壁.床と四方をスケルトンタイプの限定のゴンドラでは無く、普通のゴンドラタイプに乗り込む。
スケルトンタイプは全てを見渡せるが、逆にこちらも見られるって事だと考え、普通のゴンドラで誰にも邪魔されず2人の世界を楽しみたかったのが本音だ。
ゴンドラ内にイルミネーションの灯りがキラキラと差し込み、ロマンチックな演出とミキの姿にもキラキラと降り注いで輝いて1枚の絵のように見えた。
「綺麗だ」
見惚れて呟くとミキは景色と勘違いし
「本当に綺麗ですね。どんどん小さくなっていきますね。昼は富士山も見えるんでしょうね」
「近いからな」
向かい合わせからミキの隣に移動する。
「伊織さん、あれがFUJIYAMAですよ~。あれに乗ったんですね。遠くから見ると速いですね」
「そうだな。あんまり乗り出して見るな、危ないぞ」
窓枠に手を掛けガラスに顔を近づけて見るから危ない
「は~い」
可愛いな。
ミキの手を繋ぎ近づき景色を2人で眺める。
そろそろ頂上だ、頂上に着いた所で呼ぶ。
「ミキ」
振り向いた所で頬に手を添え、軽めのキスをチュっとする。
「伊織さん」
「口を開けろ」
素直に口を開けるミキの咥内に舌を入れクチュクチュ……音をさせ絡めて、少しの間ミキの咥内を堪能した。
「‘観覧車の頂上でキスしたカップルは、永遠に別れない’ そうだ」
照れてるミキも可愛い。
「伊織さんがそんなにロマンチックだと思わなかったです。でも、嬉しい」
「まあな。縁結びでもそんなジンクスでも何でもミキと離れないならやる。ま、俺達が別れる事は無いがやって置いて損は無い」
「はい、俺も別れる事なんて考えてません。伊織さんは俺の家族でもありますから。ふふ…伊織さん、口紅付いてますよ」
ハンカチで口を拭いてくれるミキ。
「良く気がつく奥さんだ」
それから抱きしめたり、俺の肩に頭を乗せたり地上に降りるまでイチャイチャが続いた。
俺がこんな照れるようなロマンチックな事をする奴じゃ無い事は1番自分が知ってるし、事実今までそんな事したことが無い。
その俺がミキが喜ぶ事なら何でも出来るし、してやりたいと心から思う。
地上に降りると真琴君.沙織が待っていて、2人は直ぐにミキに近寄る。
俺は少し離れた所にいる祐一と矢嶋君の側に行く。
「よお!」
手を挙げ近寄ると
「おう! あれ、お前手の甲に口紅付いてるぞ」
祐一に言われ一瞬慌てたがそんなわけ無い、ミキがハンカチで唇を拭いてくれたはずだ。
祐一の揶揄いに気づきお返しをする。
「はあ! お前こそ唇の端に口紅付いてるぞ」
言い返すと、慌てて手の甲で拭いてる祐一に
「嘘.嘘だよ」
ニヤニヤして話すと矢嶋君もその光景を見てニヤニヤしていた。
「桐生さん、頂上でキスですか?ロマンチックなんですね」
「こいつ、顔に似合わずそういう所しっかりするんだよな~。で、普段のギャップで祐さん、カッコいい~って言われるんだよ。好感度上げてるんだよな。騙されるな矢嶋君、こいつはそういう奴なんだ」
「何だと~。お前こそ、そんな事言ってしっかりキスして来たんだろうが。解ってるんだぞ」
「そんなのキスするに決まってんだろう」
「俺だってした」
「実は……俺もしました」
3人顔を見合わせやってる事が一緒で笑い出した。
ミキ達も合流し、閉館時間が近づいたので富士急を出る事にし、車に戻る事にした。
車に乗る前に祐一が「帰りは俺が運転する。俺以外は明日、朝から仕事だろ?俺は明日は休みだし」「じゃあ、頼む。眠くなったり疲れたりしたら代わるから言えよ」って言って、祐一の運転で帰る事に決まった。
車中では、富士急での楽しかった話や面白話しをして賑やかだった。
「ねえ、今度はDLシィ-に行かない?」
「「行きた~」」
沙織の提案にミキと真琴君は直ぐに返事をする。
「ミキ、行くのは良いが沙織の事だ。また、女装だぞそれでも良いのか?」
俺は行きたく無いのとミキの女装が見たいのと半々だった。
「マコもだぞ」
祐一も透かさず話す。
こいつ真琴君の女装姿に味しめたな、ムッツリスケベが。
「もう、2回も3回も一緒だし~。シィ-行きたいから女装でも良い」
ミキが開き直り話すと真琴君も開き直ったようだ。
「僕も1回したら気が楽になったし、ミキがするなら別にしてもいいから行きたい。祐さん、一緒に行けるかな?」
「マコが良いならな。今回もだが行くなら、俺に合わせて貰うしか無いが」
なんだか良い雰囲気の2人だ、祐一はしっかり真琴君の手を握っていた。
「あら、別に良いじゃない。桐生さんに合わせましょう。日曜日か祭日の月曜日で良いんでしょう。先だけどクリスマスシ-ズンは混むから、その前のハロウィンとか良いかもね」
「だいぶ先だな」
「その前に海にも行きたいし、バ-べキュ-も良いわね~」
「海行きた~い」「バ-べキュ-もした~い」
喜び騒ぐミキと真琴君。
「海はダメだ。ミキの裸は見せたく無い。どうしても行くなら上着を着る事!」
「マコもな」
「沙織さんもです」
3人で話すと
「誰も俺の裸見ないですよ~。でも、伊織さんが言うなら着ますよ」
「え~、海なのに~。暑いよ~」
「大ちゃんったら~」
3者三様の反応だ。
そんな感じで次の遊びの話しをし、途中で夕飯をとり車の中では、はしゃぎ過ぎたのと腹がいっぱいになったからか1人.2人と眠りについていく。
後ろでは、沙織が矢嶋君の肩に凭れ掛かり矢嶋君も頭を寄せ寝ていた。
真琴君も祐一と手を繋いだまま寝ている。
ミキも俺に肩を乗せ寝ていた。
俺は祐一と代わるつもりだったから起きていたが
「伊織、寝て良いぞ。この分なら思ったより早く着きそうだしな」
「ん、悪い。じゃあ、代わるようなら起こしてくれ」
ミキの頭にキスし手を繋ぎ頭を寄せ、俺も車の心地良い揺れで眠りについた。
こうして初めてのトリプルデ-トは終わった。
何やかんやで楽しかった。
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