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第329話
寝室に寝かせ、俺は部屋着に着替え薬を確認する。
「咳き止め.解熱剤か。何か口にさせないと飲ませられ無いな」
ミキの為に買って来たゼリーを食べさせ薬を飲ませる
「これで少しは、熱が下がればいいが……。早く良くなってくれよ」
冷えピタを貼ってる額にキスをし、そぉっと寝室を出てリビングのソファ-に座る。
あの状態だと明日も熱が下がらないかもしれないな
明日さえ乗り越えれば、土日は俺が側に居られるが……どうするか?真琴君も仕事だろうし沙織もだな。
祐一か~、ダメだ。
祐一に頼むなんてダメだ、怠そうな赤い顔が火照ってるようにも見えるし辛そうにしてても綺麗な顔は損なわない、むしろ気怠さで色香が増してるようにすら思う。
そんなミキを見て、祐一がグラッとくる可能性も考え万が一って事もある。
やはりダメだな。
暫く考え、ある人に電話した。
「済まない。明日、悪いが7時頃に俺のマンションに来てくれるように頼む。よろしく」
電話を切り、取り敢えず明日は大丈夫だなと一安心した。
「よし、カップラーメンでも食べて風呂入るか」
シャワ-浴びる前に寝室を覗くとゼイ.ゼイと荒い息遣いが聞こえるが、寝ている事に安心し浴室に向かった
軽くシャワ-を浴び、温かいタオルを持って寝室に行き寝汗を掻いてるミキの首.背中.胸と拭き、上半身だけ着替えさせた。
その間も混濁してるのかゼイ.ゼイと息を吐き、俺の成すがままされていた。
体がさっぱりしたお陰か、また眠りについた。
どうするか?ソファ-で寝るか?それだとミキの様子が解らないと判断し、マスクを着けミキの隣に寝る事にした。
ゼイ.ゼイと荒い息と熱い体を抱きしめ俺も眠りについた。
それから1時間程経っただろうか?
ミキの唸り声が微かに聞こえ始めた。
「あ~」「うぅ~」「熱い」混濁する意識の中でうわ言を言う。
そのうち夢を見たのか?目を閉じたまま手を挙げ何かを捕まえようとする仕草をしたかと思うと、急に「嫌、行かないで。置いて行かないで~。いやあ~」と叫んだ。
俺は慌ててミキの手を握り、熱い体を強く抱きしめた
「ミキ、しっかりしろ」
目を閉じたまま混濁した意識に声を掛けた。
俺の声が聞こえ、ゆっくりと目を開け
「皆んな、俺を置いて居なくなる」
目に涙を溜め話すミキに俺の想いを伝える。
「俺はミキの側にずっといる。絶対に離れない。安心しろ。愛してる」
やっと俺を見て
「伊織さん?」
「そうだ。俺はミキを置いてどこにも行かない。ずっと離れず側にいる」
「ありがと……」
安心したのか?また意識を失うように眠りについた。
熱い体を抱きしめ背中を撫で「まだ、潜在意識の奥底にあるんだな。もっと.もっと寂しく無いように愛してやらねば…」と俺の誓いも新たにした。
ミキの潜在意識の奥底にある家族を失った悲しみを垣間見た。
それからも何度も唸されて、ゴホッ.ゴホッと咳込み辛そうにしていた、その度に俺はミキの背中を安心するまで撫でた。
寝たか寝ないか解らない朝を迎え、そぉっとベットから抜けリビングに行き、コ-ヒ-をセットし会社に行く準備を始めた。
「ミキ?」
寝室のドアを開け、声を掛けたが反応が無い。
まだ、辛そうな顔でゼイ.ゼイと息をしていた。
可哀想だが起こし昨日と同じ様にゼリーに混ぜ薬を飲ませ、寝汗を温かいタオルで拭いてやるとまた目を閉じ寝てしまった。
熱を測ると「38度6分か。まだ、熱あるな」
本当に良くなるのか心配になる。
ピンポン♪~
「来たか、思ったより早く来てくれたな」
待ち人を迎え入れる為に玄関に向かった。
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