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第335話

昨日の夜の残りのおでんを昼食に食べ、‘体を動かしたい’と話すミキを連れて、散歩がてらス-パ-までゆっくり歩く。 「気持ち良い~。お天気も良いし散歩日和ですね」 手を繋いでくるミキにいつもは周りを気にするのにどうしたのか?と思った。 「良いのか?手繋いで」 帽子を深く被りマスクしている姿だからか。 「これなら、女装しなくっても、男か女か解んないかなって」 「そうだな。大丈夫だろ。何、作るんだ?」 「ん~、おでん少しあるし、煮魚とサラダでいいかな?」 「充分だ。余り無理しなくていいからな。でも、ミキの手料理食べられるのは嬉しい」 ス-パ-までの道を話しながら、手をギュっと繋ぎ離さないと伝えゆっくり歩く。 ス-パ-でいつも通り手際良く籠に入れ清算も済まし、帰り道もミキの体調を考えゆっくり.ゆっくり歩いて部屋まで戻る。 「ミキ、少し休め。疲れただろう」 食材を冷蔵庫に入れてるミキの後ろ姿に声を掛ける。 「はい。もう終わります」 俺にはコ-ヒ-を自分には温めた牛乳を持って、ラグに座ってる俺の前に陣取る。 背後から抱きしめ、やっとこの体勢で話せる事にホッと息を吐く。 「やはり、この体勢で腕の中にいるミキを抱きしめるのが1番落ち着くな」 「俺もそうです」 「外に行って疲れなかったか?少し寝ろ」 「ゆっくり歩いたから大丈夫。伊織さん……」 「何?何か必要なものとかやって欲しい事あるのか?何でも言え」 「1つだけ」 「何?言い難い事か?」 「……キスしたい」 ミキのして欲しい事が‘キス’と言われ、可愛いお願いに俺の方から頼みたい位だった。 ミキが寝込んでから、ずっとキスしたいのを我慢していたのは俺の方だ。 ミキも同じ気持ちだった事が嬉しかったと思うのと同時に、キスだけで止められるか不安がある。 病み上がりだキスだけで止める、それも軽めのキスにしようと心に決め 「俺もずっと我慢してた」 「朝のおはようのキスもしてくれないし…玄関でも……待ってたのに……」 「病み上がりだから自重してた」 背後から頬にキスし、顔を向けさせ頬に手を宛て唇に軽めのキスをチュッ.チュッ.チュと唇を落とす。 目をゆっくり開きジッと見つめられ、拗ねるように話す。 「……もっと…きちんとキスして。風邪移るから?だめ?」 青味掛かった漆黒の瞳で見られ、頭をコテッと横に倒し話す姿は天使か小悪魔か? 「風邪が移るのは構わんし、俺は丈夫だから移らないと断言出来るが……良いのか?」 俺は深いキスをすると止められるか自信が無いから止めておいたんだが、こんな可愛くお願いされたらしないわけが無い。 くそぉ~。俺の気も知らないで。 「うん。良いからお願い」 もう1度ミキの頬に手を宛て唇を重ね舌を入れクチュクチュ…ヌチャヌチャ…音をさせ舌を絡め吸い、何度も角度を変え舌を絡め濃厚なキスをした。 最後に唇を1舐めし離す。 「はぁはぁ…」 「悪い。大丈夫か?」 キスだけで息が上がってるミキを見て、シツコクし過ぎたかと失笑する。 俺の方も久し振りのミキとのキスに反応の兆しが見え落ち着け.落ち着け.病み上がり.病み上がりと頭の中で唱えていた。 そんな俺の気も知らず可愛い小悪魔が俺の方に体事向きを変え、俺の太腿に跨り首に手を巻き付け、俺の肩に頭を乗せ甘えてくる。 可愛い行動にデレデレの俺に可愛い小悪魔が話し始めた。 「伊織さんの匂い。ふふふ…大好き」 「こら、余りくっつくな」 「伊織さん……シタイ」 小さい声で話され聞き間違いかと思い 「えっ、今、何て言った?」 「シタイ……何度も言わせないで」 俺もシタイのは同じだが、まだ病み上がりで本調子じゃないミキに無理をさせる事は出来ないと考えた。 「無理するな。体が本調子じゃない。無理して振り返しても困るだろ?」 「もう、大丈夫。病み上がりの俺は抱けない?」 「そんな事は無い。俺はいつでもミキを欲してるが……無理をさせたく無い」 「無理してるんじゃないから。俺がシタイ…… だめ?」 こんなに可愛くお願いされたら……くそぉ~、俺の忍耐が……無理はさせたくない気持ちとミキを抱きたい気持ちが鬩ぎ合う。 「……こんなにお願いしてもだめ?やはり病み上がりじゃ抱けないかな?」 俺の葛藤も知らず……あ~だめだ。 ミキの頬に両手を宛て額を合わせ 「シタイのはミキだけじゃ無い俺もだ。俺はどんなミキでも抱ける、ただ無理をさせたく無いだけだ。……解った。その代わり今日から来週の日曜までこの部屋に泊まる事。セックスして体調崩しても困る、病み上がりのミキを1人で置いておけない。いいか?」 「……泊まるのは構わないけど。……伊織さん、決算期で忙しいでしょ?俺が泊まる事で無理して仕事終わらせて早く帰ろうとしたりしない?」 自分の事より俺の事を考えてくれるミキが愛おしい。 「しないから大丈夫だ。遅くなる日もあるが毎晩じゃないし、仕事の捗り具合で臨機応変にするから。ここに泊まって欲しい」 「……解った」 「商談成立だな」 クスクス…… 「流石、アメリカ帰りですね。商談上手ですね」 「上手いのは商談だけじゃ無いぞ。その体に嫌って程教え込んだつもりだが、まだまだ解って無いか?」 くっくっくっくっ……笑いながら兆しを示してる俺のモノを押し付ける。 「わあっ、その気になってるじゃ無いですか?」 腰を押し付け振り、ミキの股間と擦れ気持ち良い。 「本音と建て前だな。病み上がりだから早めに終わらせるが優しく抱く。風呂場でしよう。何度も風呂に入ると疲れるだろ?後は、飯食って寝るだけだ。一石二鳥だ」 「ん。じゃあ、連れてって」 甘えモ-ドのミキにメロメロだ。 そのままミキを駅弁スタイルで持ち上げ、どぉやってミキを優しく抱くか?ニヤニヤしながら考えて浴室に歩き出した。

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