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第339話

折角、ミキが今週ずっと泊まるって言うのに、来週の半ばには、決算.来期の売上計画の会議があり、通常業務とその会議の資料作りに追われ早く帰れても9時過ぎてしまい、ミキの方は残業する時もあったが、それでも毎日、朝食と夕飯は作ってくれた。 おやすみLINEじゃ無く帰るLINEを毎日し、9時頃帰れる時は俺を待って夕飯を一緒に食べたり、遅くなるような時はラップしてベッドで寝ていたりと、少しずつお互いのリズムで生活スタイルも出来上がりつつあった。 長期休暇の時も殆ど毎日一緒だが、仕事がある生活の中で毎日一緒に過ごすのとは、やはりちょっと違う。 長期休暇は次の日を考えずただ一緒に居られればそれで良いが、仕事がある生活ではお互いの仕事を尊重し会社とプライベートの割り切りと平日と休日との過ごし方と、いずれミキとの同居を考えてる俺にとっては良いシュミレ-ションになった。 同居しても上手くいくと自信がついた1週間になった。 俺の仕事が忙しい時期と重なった同居は、部屋で一緒に過ごす時間が余り無かったが、ミキが居る部屋に帰れる喜び、それだけで充分だった。 ミキも食欲と体調も戻り、日曜日までの期限付き同居も終わりを迎えそうな金曜日には、仕事帰りにどこかで外食して帰ろうと話し、今はミキの希望でマンション近くの焼き鳥屋にいた。 「お疲れ」 「お疲れ様です」 「「乾杯」」 グビッ.グビッ.グビッ…… 「う~、旨い。仕事帰りのビ-ルは、旨いな」 「本当ですね。でも、忙しいのに良いですか?」 「ほら、食え。ミキが食べたかった焼き鳥だぞ。仕事か?まあ、大体の目処が付いたしな。ミキが折角居てくれたのに、殆ど帰りが遅くなってたしな。今日位は良いだろう」 「俺の事は気にしないで下さいって言ってたのに」 「気にしてない。だから、残業もしたし。俺がミキと出掛けたかったんだ。会社帰りに2人で外食して、同じ家に帰るのもしたかったし」 「ありがとうございます。ここの店、前に散歩してる時、見つけて気になってたから来れて嬉しいです」 「はい、お待ちどうさま。鳥の唐揚げ.焼き鳥盛り合わせ.サラダです」 店員が料理を運んで去って行った。 「うわぁ~、美味しそう。食べよ.食べよ」 焼き鳥を食べ「う~、美味しい。伊織さんも食べて」美味しそうに食べるミキを見て、連れて来て良かったと思った。 本当は焼肉かステ-キでもと思ったが、正解だったな。 「うん、旨いな。ビ-ルも進む」 「ですよね~。飲み過ぎても近いから歩いて帰れるし、良い所見つけましたね」 「そうだな。ミキの食欲も戻ったし、だが、病み上がりなんだから、酒は程々にしろよ」 「は~い。でも、飲み過ぎても伊織さんが連れて帰ってくれるでしょ?」 上目遣いの可愛い顔で話され、可愛いなと思いながら 「当たり前だ。俺の他に誰が居るんだ?」 「いませ~ん」 クスクスクス…… 「ほら、飲んでばかり居ないで食べろ」 「は~い」 古い赤提灯の店で、店主と店員1人のこじんまりとした店だが、料理も旨いし酒も揃っていて、中々居心地は良かった。 「本当に、今回は伊織さんにお世話になっちゃって」 「ああ、足した事はしてない。返って同居してからの方が、ミキに負担掛けたかも知れん。掃除.洗濯と家事全般して貰った。それに朝も夜も飯を作ってくれてたしな」 「そんな事は無いです。どうせ俺もご飯食べるんだしそれに誰かの為にご飯作ってるの楽しいし、1人より2人で食べた方が美味しいから」 「そうだな。ミキが居てくれて、明るい部屋に帰るのが楽しみだった」 「でも、俺寝ちゃってたけどね」 ニヤって笑い耳元で内緒話をするように、顔を近づけて話す。 「それに関しては俺も悪かった。丁度、決算月で間が悪かった。残業ばかりになって、ミキを抱いてやる事が1回だけだったからな。本当なら毎日抱きたかったんだが」 くっくっくっくっ…… 本音と冗談を交えて話すと、頬を染め軽く睨まれ 「もう、そんなの無理だから。体、持ちません。その1回だって……」 「ん、何?」 ニヤニヤしてしまう。 病み上がりの体と言う事と残業もあり、中々チャンスが無く貴重な1回をねちっこく激しくシタ自覚があったからだ。 「もう、良いです。ほら、食べましょう」 そう言いながら、照れてグビグビ…誤魔化す様に飲んでいた。 可愛い奴。 楽しく飲み食べ、美味しかった焼き鳥をテイクアウトして店を出た。 夜道を2人で歩き、ミキはふらふらしながら 「伊織さ~ん。白線だけ歩いて帰るぅ~」 何故か白線の上だけを歩いて帰る事になった。 良く解らんが、ミキに付き合って俺もミキの後ろを白線の上だけを歩いて帰る羽目になった。 部屋に入って、俺は冷蔵庫にテイクアウトした焼き鳥を入れてると 「伊織さ~ん」 可愛い酔っ払いに呼ばれ側に行くと 「暑いから脱がしてぇ~」 これはお誘いかと思い、ふらふらのミキの服を脱がして下着だけにし、抱きしめキスしようとすると俺の腕を擦り抜け、寝室にふらふらと行き危ないと後ろから着いて行く。 「う~、お布団気持ち良い~」 ベッドにダイブし、気持ち良さそうにゴロゴロ転がっていた。 「おい、パンツ1丁で、そんな事してると風邪振り返すぞ」 「は~い」 俺に注意されて可愛い返事をし、布団に潜り込み 「2人でくっついて寝れば暖かいも~ん。早く~伊織さ~ん、来てよ~」 片方の布団を巻り俺を待っている。 誘ってるよな?絶対誘ってるよな?可愛い酔っ払いのミキの行動に、その場で手早く服を脱ぎ捨てミキの布団に潜り込んだ。 「やっぱ、くっついて寝ると暖か~い」 スリスリ…と寄り添い、酒も入ってる所為かミキの体も暖かい。 ギュッと抱きしめ 「本当だな?暖かいな」 「……ん」 「あの店の焼き鳥美味かったな。ミキも結構食べたな、酒の種類も揃ってたし、穴場だな。また、行こうな。」 「………」 返事が無い?まさかと思い顔を覗き込むとス-ス-…寝息を立て俺にしがみ付き寝ていた。 酒も入っていたと言え早い。 「その気にさせて置いて、それは無いだろう。この小悪魔」 期待して兆しを見せていた俺のモノはどうすりゃ良いんだよぉ~と、可愛い小悪魔の寝顔を見て呟いてた。 「明日は、覚悟しろよ」 安心しきって寝ている額に唇を落とし、ミキを抱いたまま眠りについた。

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