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第341話
決算月も終わり忙しい日々から、やっと解放され4月に入った。
「今日、外出する者は、いるか?」
「内勤です」
「近場を回り午後には、戻ります」
「私も内勤します」
「そうか。佐藤が戻り次第、少しだけ会議するぞ」
「「「はい」」」
佐藤が外回りから戻って来たのは、3時だった。
上野さんに留守をお願いし、会議室に集まる。
「よし、皆んな集まったな。会議って程でも無いが、先日役員を含めての決算会議の報告と課としての今期の話しをしようと思ってな」
「「「はい」」」
先日の役員を含めての決算会議の大まかな報告をした
「それで、今年度も籠バッグの売上も好調そうだし、アメリカ限定色も出す事で前半は、ある程度売上は見込めると思うが、現状に満足しないで後半も何らかの形で売上に繋がる事をそれぞれ考えておくように。業者との話しでヒントを得てもいいし市場調査も欠かさないように」
「「「はい」」」
「佐藤は、どうせ合コン今年も頻繁にするだろうからリサ-チしとけよ」
「はい。任せて下さい、田口さん。俺の合コンも役に立つ事が解ったんで、今年もガンガン頑張ります」
「お前なぁ~、程々で良いんだよ。ガンガン頑張るのは仕事、し.ご.と」
「……両方頑張ります」
佐藤さんと田口さんの遣り取りで笑いが起き、和やかな雰囲気になった。
「それと、今年は新入社員はうちの課では、取らない事にした。事務はどうしょうか迷ったが人が増えないなら必要ないかと上野さんに確認した所、上野さんも大丈夫だと言うから、今年もこの人数でいく。少人数の方が伝達も早いし何よりうちの課は団結力があるからな。少数精鋭って事で、今年度も宜しく頼む。香坂には悪いが、また今年も下っ端だな」
「いいじゃないですか。今の課の状態は、非常にバランス取れてるし。香坂も時期に佐藤を超えますよ」
はははは……
「田口さん、冗談になってませんから。香坂、いつまでも先輩を立ててくれよ」
「勿論です。佐藤さんには教えて頂く事が、まだまだ有りますから」
「やはり、香坂だな。素直な所がお前の良い所だ」
ミキの肩に腕を回し、ガシガシと髪を撫でる姿にムッとする。
「変な事は、学ばないようにな。香坂」
「はい、田口さん気をつけます」
「おい、そこは素直になるなよぉ~香坂」
また、肩に腕を回すのを見てムッとした。
「それと会議の時に、2課で中国支社を今年中に作るらしい。多分、早い段階で中国支社が出来るようだ。それもあって新入社員は、海外事業部ではアジアに何人か入るだけだ」
「そうなんですか?中国に本腰入れるんですね」
「らしいな。機会をずっと狙ってたようだが。うちの課もうかうかしてられ無いぞ」
「「「はい」」」
「4月中旬出荷予定のアメリカ限定の籠バッグと国内に渡す籠バッグの在庫も確認頼む」
「「「はい」」」
「俺からは、以上だが何かあるか?」
「特には今の所ありません」
「そうか。何かあれば直ぐに報告.相談はいつでもしてくれ」
「「「はい」」」
大体の会議と言うより俺の報告が終わると雑談に入った。
「新入社員は別に良いが、事務の子は欲しかったかな~」
「佐藤、そんな事言って上野さんに怒られるぞ」
「だってぇ~田口さん。可愛い女の子良くないですか?」
「佐藤さん。上野さんは独身の時商社に勤めてただけあって英語も出来るし、事務処理も早いですし何より頼りになります。上野さんで充分ですよ」
「香坂は上野さんに可愛がられてるからな~。俺だって上野さんは凄いって思ってるけど…」
「上野さんには言わないでおくから。可愛い女の子は会社の外か他部署で見つけろ。今年も事務や経理の方に若くって可愛いのが、入って来るだろうからな」
「そっすね、そうします。田口さんもそう言って結構チェックしてるんですね?」
「お前と一緒にするな!」
頭をゴンッと叩かれ、また笑いが起きた。
やはり頼りになりつつある田口がいて、佐藤は課のム-ドメ-カ-だしミキは素直でセンスもあるし、なかなか良い部下だ。
まだ、馬鹿な話しをして揶揄われて笑ってる部下達を見てそう思った。
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