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第345話
「もう、そろそろ着くぞ」
「天気も良いから、人がたくさん居そうですね?」
「そうだろうな」
近くの駐車場に車を止め
「忘れ物するなよ。荷物は持つからな」
「お願いします。お弁当とレジャ-シ-トだけです。お前達、良い子で待っててね」
ドナルドとデイジーの頭を撫でて話し掛ける姿が可愛い過ぎだ。
キッチンから追い出され、弁当作りを終えたミキが塩むすびと卵焼きの切れ端を持って「朝食代わりです」と言われ、食べた塩むすびはシンプルだが塩加減が絶妙で美味かった。
「旨い。塩むすびなんて何年振りかな~。こんなに美味かったかな~」
「お腹空いてると、何でも美味しく感じるんですよ」
「いや、ミキが作ったからだな。食べたら出るか?」
「はい。行き先決めませんか?当ても無くドライブも良いですけど、お弁当作ったし、その方が現地でゆっくり過ごせますよぉ」
「そうだな。公園無かったら、折角の弁当を車の中で食べるのも味気ないし、どこか行きたい公園とか良さそうな所あるか?」
スマホ検索し
「代々木公園か井の頭公園とかかな~。井の頭公園は時間掛かりそうだから、今回は代々木公園にしませんか?広いし散歩にも良さそう。へぇ~、葛西臨海公園は、公園の他に水族館も隣接してるんですね。楽しそう~。今度、行きた~い♪」
「今度、連れてってやる。今日は代々木公園で我慢しろ」
「代々木公園も充分ですよ。伊織さんと散歩して木陰でレジャ-シ-ト敷いて、お弁当食べるのも楽しみです♪」
本当、贅沢しない。
そんな些細な事で喜ぶミキが可愛いと、頭をぽんぽんした。
「俺もだ。じゃあ、行き先も決まったし行くか?」
「はい」
こうやって俺達は代々木公園で過ごす事に決まった。
代々木公園の敷地は、広く散歩するのにはもってこいだ。
「うわぁ~、何年振りだろう。学生の時以来かも。伊織さんは?」
「俺もだ。公園なんて、なかなか社会人になると行かないからな」
広い敷地を歩き人が多いが、皆んなそれぞれ好きな事をして楽しんでる。
ジョギングする人、サイクリング、犬の散歩、演劇や音楽.ダンスの練習をしてる者もいた。
「皆んな思い思いに楽しんでますね。散歩しながら、見て歩くのも楽しい~かも」
「本当だなぁ。俺達が学生の時は、こんな感じじゃなかったけどな」
「そうなんですか?俺達が学生の時も、こんな感じだったような気がします。音楽やダンスの練習してる人.大道芸の練習とか」
「欧米っぽいな」
「あっちに人だかりあるから、行って見ましょう」
「おう」
行ってみるとギター片手に歌を歌っていた。
アンプとか使え無いから、バンドとかは居ないが個々にギター片手に歌っている。
懐かしい歌やオリジナルの曲を織り交ぜ、なかなか飽きさせない様に工夫していた。
「上手ですね」
「そうだな」
暫く聞き、また歩き出す。
大学生がダンスの練習をしていたり、なかなか本格的で見応えがあった。
噴水広場の周りを見て歩くのも楽しかった。
「そろそろ場所見つけて、お弁当食べますか?」
「そうだな。結構歩いたな。あっちに木陰ありそうだ、行こう」
人が少なそうな木陰を選びレジャ-シ-トを敷いて弁当を開ける。
握り飯と唐揚げ.卵焼き.ウインナ-.サラダと急な割には、きちんと弁当になっていた。
「今度は、中身が入ってたな。ツナか?旨い」
「後、こっちは、おかかですよぉ」
「旨い。急だったから買い物にも行けなかったのに良く出来てる」
「そうですか?今度は前もって言ってくれれば、もう少しましなお弁当作ります。今日は我慢して下さいね」
「いや、充分だ」
お握りもおかずも全て旨かった。
木陰の中に日差しが差し込み気持ちが良い。
こういう健康的なデ-トも良いなぁ~。
腹がいっぱいになると眠くなる。
「腹がいっぱいだ。少し横になるか?」
レジャ-シ-トの上でゴロンと横になり、ミキも手招きし横になれと誘う。
「でも…」
周りを気にしてるミキの腕を引っ張り横にならせ、脱いでいたジャケットを上から掛ける。
俺の胸に顔を埋めてるミキの頭まですっぽり覆い被せる。
「こうすれば良いだろ?」
「伊織さん、頭良い~。イチャイチャ出来て嬉しい~♪」
「余り悪戯するなよ」
「どうしようかな~」
「襲うぞ」
「しません」
クスクスクス……
そんな遣り取りをし、いつのまにか温かな日差しとお腹も満たされ少しだけ寝ていた。
それから、また歩き出しドッグランを見つけ、動物好きのミキに付き合い暫く眺めて、野外のバスケットコ-トでバスケを見て、広い公園だと思っていたが見る所が結構あり、ただ歩いてるだけでも楽しく過ごせた。
「お天気も良かったし、結構歩きましたね」
「久し振りに、こんなに歩いたかもな。結構見て歩くのも楽しかったな。また、来ような」
「はい、その時もお弁当持って来ましようね。そうだ、今度は前に沙織さんが言ってたバ-べキュ-出来る公園もあるようだから、調べて皆んなで来ませんか?」
「…そうだな。まぁ、その内な」
皆んなでワイワイとするのも良いが、やはり2人っきりの方が俺は良いと、少しだけ返事に詰まってしまった
「こっちからわざわざ言わなくっても、沙織が話してたって事は、その内また黙ってても言い出すだろ」
「そうですね。沙織さんってバイタリティ-がありますからね。皆んなでバ-べキュ-も楽しみ~♪」
「俺は2人っきりの方が良いがな」
本音をチラリと話す。
「もちろん、俺もです」
「そうか。じゃあ、今度は葛西臨海公園に行くか?」
「わぁい、水族館も久し振りです」
嬉しそうなミキを見て絶対行こうと決めた。
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