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第351話

♪♪♪♪~…… 「んん…何?」 スマホの電話で起きたが切れた。 スマホを取り時間を見ると11時半過ぎだった。 「ヤバッ。寝すぎた~」 電話の相手を確認すると伊織さんからだった。 「お昼前には、伊織さんの所に着いてるようにしようと思ったのに~」 直ぐに伊織さんに折り返しの電話を掛ける。 ♪♪♪♪~ 「もしもし、ミキか?悪い。今、どこ?何時頃来れるかと思って電話した」 「すみません。今、起きました。直ぐに出ますから」 「そうか、慌てなくって良いから、気を付けて来いよ」 「はい」 電話を切って、すぐに身支度して部屋を出た。 昨日の夜に、紐皮ブレスレッドを製作していて初めてにしては、上手く出来たと調子に乗って作って12時を回ってしまった。 ベットに入っても、今度はどんな風に作ろうか考え出したら眠れなくってしまった。 電車の中で、反省と早く着かないか焦る気持でいっぱいだった。 午後とは言ってたが、昼には来るのかと早く会いたいと我慢できず、いつ来るかだけ確認しようと11時半頃に電話したが出ない。 寝てるのか?それともこっちに向かってるのか?気になるが、何度も電話するのもどうかと考えていた所にミキから連絡あった。 ただの寝坊と聞いて安心した。 直ぐに出ると言っていたが、もう着いても良い頃なのにまだ来ない。 もう、1時過ぎだ。 「どこか寄ってるのか?待ってると時間進むのが遅く感じるな。早く来い」 スマホに手を掛け電話を掛けるか迷ってると ピンポン♪~ 「やっと来たか?」 玄関まで迎えに行きドアを開け 「遅かったな?」 「ごめんなさい。昨日、夜更かししちゃって寝坊しちゃった。予定では、お昼頃には来る予定してたのに。お昼は?」 「軽く食べた。ま、中に入れ」 部屋の中に入ると 「まだ、少し食べられますか?来る途中ス-パ-に寄って来たので、昼用にお握り買って来ました。夕飯はハンバーグで良いですか?」 「ス-パ-寄って来たのか?」 「はい。夕飯の材料とか」 「そうか、じゃあお握り貰うか」 「インスタントだけど、お味噌汁出しますね。座ってて下さい」 キッチンで湯を沸かしお握りはレンジで温めて、その間に買って来た食材を冷蔵庫に仕舞っていた。 「はい、お握りとお味噌汁です。コ-ヒ-も置いときますね」 ソファのテーブルの上で軽い食事をしながら、ここ最近のミキの事をさり気なく聞いてみる事にした。 「何だか最近良い事でもあったか?ウキウキしてるようだが?龍臣達と会うって決まってからだよな?」 お握りを頬張りながら 「ふふふ…解ります?」 何だ意味深な笑いだ。 「田口や佐藤には解らないと思うが、どんな些細な事でもミキの変化は俺には解る」 「流石、伊織さんですね。やはり、恋人は違いますね~」 「そりゃ当たり前だ。で、何だ?」 「ご飯食べてからね」 2つ目のお握りを手に取り食べ始めた、俺も2つ目を手に取り早く話しを聞きたいと頬張る。 食べ終わりコ-ヒ-を飲み一息ついて 「もう、そろそろ良いだろう?教えてくれ」 「これ見て下さい」 バックから可愛らしい紙袋を取り出し、そこから2つのブレスレッドを手渡しされた。 「買ったのか?」 「ふふふ…買ったと思います?」 「そうじゃないのか?」 「実は、これ紐皮ブレスレッドなんですけど、俺が作ったんです」 「ミキが?」 2つの紐皮ブレスレッドは、薄茶と黒でお揃いの感じがした。 薄茶の紐皮と銀の細いチェーンを一緒に編み込んでいるブレスレッドと黒紐皮と金の細いチェーンを一緒に編み込んであるブレスレッドだった、どう見ても色違いのペアだ。 「上手く出来てる。買ったと言っても解んねぇな。それでウキウキしてたのか?」 「はい。優希さんと龍臣さんに何か俺が出来るお礼を考えていて、アクセサリー雑誌見てたら紐皮ブレスレッドが載ってたので、前から皮製品に興味あったので会社の帰りに皮製品を扱ってるお店探して聞いてみたら、紐皮ブレスレッドなら基本さえ解れば結構簡単に出来るって聞いて、お店の人に教えて貰って材料買って昨日の夜に作ってみたんです。初めてにしては自分でも上手くいって、次どんなの作ろうか考えたら寝れなくなっちゃって、寝坊しました。すみません」 てっきり俺とミキのかと思った。 「優希さんと龍臣のか?食事代出すだけでも充分なのに。全く、ミキらしいな」 「お金出すだけってのも味気ないかなって。俺の趣味も兼ねて。お陰で革紐ブレスレッドが作れるようになったし、凄く楽しかったです。作ってると楽しくって時間忘れちゃうんですよね」 「ミキらしいな。それにしても上手く出来てる」 「でしょ.でしょ。この幅も絶妙に良い感じだし、やっぱ三つ編みより四つ編みにして正解だったな。重量感が出て凄く良い。後、このチェーンと一緒に編み込んんでるのは、アレンジしてるんですよ~」 楽しそうに俺には三つ編みも四つ編みも解らんが、本当にアクセサリー作りが好きなのが解る。 「お世辞じゃなくチェーンがまたお洒落だ。高級感も出てる」 褒めてやると「そうでしょ.そうでしょ」と嬉しそうに微笑む。 「優希さんのイメージが白って思ったんですけど汚れる事考えて薄茶にしました。龍臣さんは会った事ないけど、話しのイメージで黒にしましたけど…合ってます?」 「合ってる.合ってる。優希さんは線が細いが芯はしっかりしてるしな。あの龍臣を手の平で転がしてるくらいだからな。龍臣は腹黒いから黒で合ってる」 くっくっくっくっ…… 「もう、伊織さん口が悪いですよ」 クスクスクスクス…… こんな所が人を惹きつけて離れられなくなるんだよなぁ。 優しさと人との絆を大切にするミキらしいと思った。

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