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第360話

そんな話をしてるとは思わず俺とマコは、優希さんに伊織さん達の高校の頃の話を聞いて笑っていた。 優希さんは話が上手で面白可笑しく話してくれる。 「でね、体育祭の時に成宮と龍臣が、どっちが1番でゴ-ルするか?賭けてて」 「え~、どうなったんですか?」 「どうなったと思う?」 「もちろん、伊織さんが先にゴ-ルしたんですよね?だって伊織さんの方が速そうだもん。龍臣さん、体が大きいから重そう」 「そうかな?龍臣さんの方が速いかも、体は大きいけど足がその分長いし」 「マコ! 伊織さんが足短いみたいじゃん。伊織さん、すっごく足長いし腹筋割れて良い体してるんだからね~」 楽しくって飲んでたから少し酔ってたのに気付かず、いつもなら言わない事を平気で話してた。 「ミキ?少し酔ってる?」 「全然~、酔って無いよ~。優希さんの話が面白くってそれで、結果は?」 怪しいと言う顔でマコが見ていたのにも気付かずにいた。 「結果は………一緒に走る人の中に陸上部がいて、2人とも1番じゃ無かった。バカだよね~、周り見てないんだから」 キャハハハ…… 「で、1番じゃ無かったけど、どっちが勝ったんですか~?」 「龍臣。僅差で、3番が成宮」 「え~、残念~」 「龍臣、あの体で逃げ足だけは速いからね」 ハハハハ…… 「祐さんは?」 「桐生は、バカだなぁって見てたよ」 「祐さんらしい」 「後は.あとは?」 「そうだねぇ~、あっ、その体育祭でクラス対抗で騎馬戦があって、龍臣がヒ-トアップして相手を殴っちゃって、成宮と桐生も加勢したもんだから、騎馬戦処じゃ無くなって大乱闘になって、主犯格の6人が罰として体育祭終わってからグランド10周してたよ。直ぐに熱くなるのが龍臣の悪い癖なんだよね~。成宮と桐生もいつも巻き込まれてるって言うか、自分から巻き込まれに行ってるからね。バカだよねぇ~」 ケラケラ……と楽しそうに笑う優希さんが、少し羨ましく感じた。 始めは、伊織さんの高校の時の話聞けて嬉しかったけど、段々と一緒に高校生活したかったなぁ~と思うようになった。 「伊織さん、友達思いなんだ~」 「本当に、美樹君は良い子だね~」 俺の頭を撫でてくれる。 「でも、優希さんが羨ましいです。伊織さんの高校の頃を知ってるし〜、一緒に過ごして~。俺も出来れば一緒に過ごしたかったなぁ~」 「ミキ、僕もそう思う」 優希さんの話を聞いて、やはりマコもそう思ったみたいだ。 「そう?でも、私も教師であって同じ学生では無いからね」 「優希さん……その…祐さん、やはり男子校だけど……モテましたよね?」 聞き難そうにマコが聞いた。 俺も聞きたいけど、聞いて良いものか?どうしようかと迷ってたからマコに乗っかって聞いた。 「実は俺も気になってて、聞いて良いのか聞かない方が良いのかと……。伊織さんはモテたとは思ってますし、伊織さんからも何人か付き合ってた人は居たと聞いてます」 「やはり、気になるよね?全部知ってるわけじゃ無いけど……。男子校だし、半分は寮生で半閉鎖的な所もあるからね。思春期の年頃だから近場で擬似恋愛に陥る子も居たよ。それに……元々、成宮も桐生も恋愛対象は男だからね。解る人は解るんじゃ無いのかな?モテていたのは確かだよ、相手にしてたかどうかは解らないけど。成宮は正統派な男前だし、桐生は寡黙な男って感じで、タイプは違うけどモテてたよ」 「「やっぱり」」 「ん~でも、成宮は何人かと付き合ってたのかな?龍臣達とは、別に一緒に帰ってる子見た事あるし、桐生も大っぴらにはしてないけど、それなりに居たと思うよ成宮と龍臣は隠さ無いからね。桐生は余り人には自分の事見せない所あるからね」 「祐さん。僕と付き合う前もそんな感じで、なかなか本心を見せないんですよね。今は言ってくれたり良く笑ってくれますけど」 にっこり笑って、マコの頭を撫で 「そう、桐生がねぇ~。桐生が龍臣達以外にも本当の自分を見せられる子が出来たって事が嬉しいよ。真琴君のお陰だね」 「えへへ……」 「昔の事を聞いても良い気持ちしないからね。気になるのは解るけど……まあモテたって事ぐらいで勘弁して。私なんか龍臣の事は付き合う前から色んな事目の当たりにして、知りたく無い事も知らざる得ない状況だったから、それはそれで辛い事もあるんだよ。だから、知らなくって良い事や本人が聞かれたく無い事もあるだろうし、それはそっとしておいた方が良いんじゃないのかな?言いたかったり聞いて欲しい時は言うだろうしね。今は2人共幸せなんでしょ?」 「「はい」」 「そう、良かった。恋人が幸せなら本人達も幸せなんだよ。いつも笑ってれば良いんだよ。私はいつも龍臣には笑ってるようにしてる。その方がいつのまにか龍臣も自然に笑ってるから」 「はい。心掛けます」 「僕も祐さんが疲れて帰ってきても笑って‘お帰り’って言う!」 「2人共、良い子だね。成宮や桐生には勿体無いね」 俺とマコの頭を撫で話す優希さんの癖なのかも、でも凄く心地良い。 「俺、伊織さんは動物で例えると、百獣の王ライオンかと思ってましたけど、龍臣さんがライオンですね。伊織さんは精悍なトラって感じ」 「え~、祐さんは?」 「祐さんは…えっと、黒豹って感じ?」 「黒豹って……カッコいい~。祐さんっぽい」 「ほんと面白い子だね、美樹君って。龍臣を動物に例えるんだもん。確かに龍臣は動じないし威圧感が半端無いしね、そういう点ではライオンぽい。成宮は似てるけど、もっとシャ-プな感じだからトラって感じするし、桐生の黒豹は合ってる.合ってる。影から狙ってるって感じで~」 はははは…… 伊織さん達が俺達の事を花で例えてるとは知らず、こっちはこっちで伊織さん達を動物に例えていた。 優希さんの諭すような優しい話し方は、素直に聞けて相談事もし易いと感じた、もっと仲良くなりたいと話していてそう思った。 もっとたくさん話聞きたいけど……あ~眠い。

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