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第367話
東京の郊外の奥多摩のキャンプ場に、都内からでも1時間半程で着いた。
龍臣が用意した運転手付きの車から続々と降り辺りを見渡し「自然がいっぱい」「空気がうまい」「アスレチックあるよ~」それぞれ感想を述べていた。
「お~い、荷物を車から下ろすぞ」
龍臣の声で皆んな車に集まり、荷物を下ろして行く。
荷物をBQする場所まで手分けして運び、俺達は少し休憩とばかりにベンチで一休みしていた。
龍臣と優希さんが運転手の若者に「悪いな、休みの日に。また、夕方5時位に来てくれ。これで昼飯でも食ってくれ」
「ありがとう、助かった。運転、気を付けね」
「どうせ、暇なんで気にしないで下さい。それにドライブみたいで楽しかったんで。じゃあ、5時頃に、また迎えに来ます。社長、ご馳走になります。楽しんで下さい」
そんな遣り取りが聞こえ、俺達も「すみません」「ありがとうございます」お礼を言い「気になさらないで下さい。じゃあ、皆さん楽しんで」
挨拶し、車を発進させて行った。
「わざわざ運転手付きで車出させて、悪かったな」
俺達の側まで来た龍臣に声を掛ける。
「いや、車は送迎用のデカイのがあるから丁度良いと思ったし、どうせなら皆んな飲みたいだろ?声掛けたら暇な奴が居たからな。ま、これで、気にせず飲める」
横暴で強引な所があるが、こういう気遣いが出来るのが龍臣の良い所だ、本当にギャップがあって憎めない
「う~ん、どうする?まだ、BQには早いし」
「沙織さん、野菜も粗方切って来たので」
「本当に、ヨシ君は偉い。助かるわ」
「良い子.良い子」
子供の様に褒め頭を撫でてくれた。
「じゃあ、荷物も置いたし。あっちの方にアスレチックがあるから、運動してお腹空かせましょう」
「アスレチックだってぇ~、楽しそう」
「マコ、気を付けてね」
「運動なんて、久し振り」
沙織の言葉にミキと真琴君.優希さんは楽しそうに口々に話すが、俺と龍臣と祐一は気付かれないように‘面倒臭いな’と目で会話をしたが、恋人達の楽しそうな顔を見て‘仕方無い.付き合うか?’と、また目で会話をする
「大ちゃん、行こう」
矢島君を伴って歩き出した沙織の後を皆んなでズラ.ズラ~とアスレチックを目指し歩いて行く。
散歩を兼ねて暫く歩くと目の前には、山の傾斜を利用したアスレチックがあった。
「へえ~、割と種類ありそうだな」
「伊織。運動不足で急にやると、明日には筋肉痛だぞ~」
「はあ?誰が運動不足だって?俺はマンションのジムでトレーニングしてるし、龍臣こそ、社長だからって椅子に踏ん反り返って運動不足なんじゃ無ぇ~のか?な、祐一、そう思うだろう?」
「……2人共、筋肉痛には気を付けろ」
「何だってぇ~。じゃあ、どっちが先にゴ-ルするか競争しようぜ」
「受けて立つ! 龍臣の悔しがる顔が目に浮かぶ」
「はあ~。悔しがるのは、てめぇだろ?」
「はい.はい」
俺と龍臣の言い合いに`また、始まった’と呆れた声で話す祐一、その背後の方では「伊織さん」と小さい声で話すミキと、やれやれと呆れた顔の優希さん。
我関せずと真琴君が祐一の側に行き「祐さんは競争しないの?しないなら、一緒に行こう」と誘う。
「マコと行くに決まってるだろ。こいつらのバカバカしい争いに付き合ってられねぇ~し」と真琴君の頭を撫でてイチャつく。
「バカじゃないの?ねえ、大ちゃん」
「俺は沙織さんとアスレチックしたいんで」
「もう、大ちゃんったら。バカは放っといて、楽しみましょう」
沙織達もイチャつく。
そんなの御構い無しで、ミキと優希さんを放ったらかし、その時は勝負に勝つ事で頭がいっぱいだった。
「先にゴ-ルするのは、俺だ!」
「バカが。ゴ-ルした時に、吠え面かくなよ!」
「「祐一、合図頼む」」
「はい.はい。位置に着いて。ヨ-イ.ドン!」
「おら~」
「負けるか!」
俺と龍臣は一斉にスタートを切った。
そんな俺達の事をミキは心配し、それ以外の5人は呆れた顔をして見送っていた事は、勝負の事に集中して知らなかった。
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