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第368話

スタートダッシュは、龍臣の方が僅かに早かった。 1つしか無いロ-プに捕まり、木の壁を登って行く龍臣を背後から声を掛ける。 「おい、早く登れよ。後が詰まってるんだからな」 「うるせぇ!」 やっと登りロ-プを離した、引き離されては、堪らないと慌ててロ-プを手に取り登って行く。 次は縄ばしご.高さのある所での隙間のある板を渡り、岩を登り横に張られた網縄を手と足で横に渡り、傾斜のある所での網縄を下から上に登り、ロ-プでぶら下がってる細い丸太を不安定な体勢で、次から次へと渡る 似たようなアスレチックをしながら、少し先に居る龍臣の姿を見ながら追う。 なかなか龍臣を抜けないのも、狭く1人がやっとのアスレチックが多い為だ。 「くそぉ~、抜けそうで抜けない」 チャンスは必ずあると信じ、遅れは摂らない様にしていた。 「伊織~、やはり俺の方が先にゴ-ルだな~」 「バカが。まだ、序盤だ。それに今は狭い所が多かったから譲ってたんだっつ-の。情けをかけてんだ」 「負け犬の言い訳か~」 はははは…… 高笑いしてるのも今のうちにだ、見てろよ~と闘志に火が点いた。 傾斜を使った網縄やロープで岩登りとゆらゆら揺れる不安定な綱渡りと、思っていたよりハ-ドだった。 アスレチックも残り僅かなってきた。 山道を走る時に並んだ。 「そら~」 「おら~」 2人の掛け声で網縄に飛び移ると、俺は上手く網縄を掴み足も上手く乗せたが、龍臣は勢い余って足を突っ込んでしまった。 そんな龍臣を見て 「お先に~」 「こらっ、待てぇ~」 不安定な態勢で足を抜いてる龍臣を後目に、先に登り降りた。 最後は高さのある所からロ-プを手に取り足を細い丸太に乗せて、タ-ザンの様に降りてゴ-ル。 2つあるロ-プの1つを手に取り降りて行く。 先にゴ-ルしたのは、俺だった。 直ぐに龍臣も降りて来た。 「はぁはぁ…くそぉ~、負けた!はぁはぁ…」 「はぁはぁはぁ…結果は、勝負の前から解ってたけどな…はぁはぁ」 「はぁはぁ…その割には、息上がってんじゃねぇ~か…はぁはぁ…」 「お互い様だろ?はぁはぁ…歳かねぇ~」 「だな」 はははは…… そんな話をして、地面に座り息を整えた。 暫くして 「まだ、来ねぇ~な」 「結構、アスレチックの数あったよな。思ったより傾斜キツかったり高かったり、不安定な場所もあったし」 龍臣の言葉に不安になってきた。 「……ミキ、大丈夫かな?落ちたりしてねぇ~だろうな」 「大丈夫だろ?」 「……お前に煽られて、ミキを放っといて来た。ヤバイッ。心配になってきた」 「ったく。心配性だな。たかがアスレチックだぞ。小学生でもゴ-ルするって」 「バカッ。ミキはそこら辺の野生児達とは違うんだ! やっぱり迎えに行く!」 「やれやれ。仕方ねぇ~な。優希も一緒だろうから、お前だけ迎え行って俺が行かないのも後で何て言われるか解んねぇ~からな。俺も行く」 なんやかんや行って、なかなか来ない優希さんが心配なんじゃねぇ~か? 「んじゃ、姫達を迎えに行くか?」 「だな」 どこかで会うと思って、来た道を逆戻りする事にした

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