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第373話
俺と龍臣と矢島君は、炭に火を付けグリルを温める係だ。
ここは矢島君が率先してやってくれたので、俺と龍臣は矢島君の指示に従って動いていた。
「矢島君、手際が良いなぁ~」
「結構、火を起こすのは、一苦労するんだが」
「大学時代にサ-クルの皆んなで、ワイワイBBQを近くの公園とか川原でしてましたから」
両手に軍手をしてトングを使い、上手く火を満遍なく加熱させていく。
殆ど、俺と龍臣のやる事は無くなった。
近くで、ミキと優希さんは切って来た野菜やら焼きそばの準備をしている。
テ-ブルの方では、沙織と真琴君が紙皿.紙コップ.割り箸を用意したり、ツマミに買って来ただろうチ-ズやサラミ.お菓子を並べてセッティングし、その側で真琴君に話し掛けながら酒.ジュ-スを用意している祐一の姿があった。
それぞれが分担して支度したお陰で、直ぐBBQに有り付けられそうだ。
「こっちは用意出来たわよぉ~。もうお肉とか焼ける?」
「沙織さん、こっちも大丈夫です。いつでも焼けますよ」
「じゃあ、焼こう.焼こう」
「「わ~い」」
「龍、お肉出して」
ミキと真琴君は嬉しいのか大はしゃぎだ。
優希さんの指示に従ってアイスボックスから、肉を取り出して来た龍臣が得意顔で話す。
「ほら、奮発してA5ランクの肉だぞ~」
「「わ~い」」
「凄いですねぇ、刺しが」
「高そう~」
「美味しそう」
「早く、食べた~い」
賛辞の言葉が次々出て龍臣も嬉しそうだ。
「じゃあ、焼こうっか?」
「「「は~い」」」
優希さんと真琴君は肉を、ミキと沙織は野菜.ウインナーを焼き始めた。
粗方、グリルを敷き詰めて直ぐに肉の焼ける良い匂いが立ち込める。
取皿.箸.ビ-ルを手に、グリルの周りに集まり出した。
「凄~く、良い匂い♪」
「早く、食べた~い♪」
「軽く焼けば良いから、食べよ」
龍臣が調達して来たタレを付け、肉を皆んなで頬張る
A5ランクだけあって、噛まなくとも柔らかく肉汁が口に広がっていく。
龍臣が「美味いタレだ」と言うだけあって、タレも絶品だった。
「言うだけあって、旨いな」
「噛まなくっても良いっすね。あ~、マジ美味しい」
「う~、美味しい~♪」
「肉汁がやばいよぉ~♪」
「本当、美味しい~わ。これ食べただけで、BBQ来た甲斐があるわね」
矢島君が次々と焼いてくれ、美味しい物を食べると皆んな幸せな顔をしていた。
「矢島君、代わるよ。食べて.食べて」
「焼きながら、食べてますから」
「まあ、良いから」
「じゃあ、すみません」
そう言って沙織の隣に陣取り、楽しそうに話し始めた
1番年下と言う事で、何かと気を使ってくれる矢島君と交代し、肉や野菜を焼いていく。
少しすると俺の側にミキが来て
「伊織さん、お腹いっぱいになると食べれなくなるから、隣で焼きそば焼いて良いですか?」
「ああ、良いぞ。ミキ、沢山食べたか?」
「はい。もう、頬っぺたが落ちそうな位に美味しかっです♪ 伊織さんは沢山食べました?」
「ああ。でも、ミキの焼きそばは、食べれるぞ」
「美味しく作りますね」
話をしながらも、手をテキパキと動かし野菜を炒め焼きそばを入れて混ぜていく。
アッと言う間に出来上がった焼きそばを箸で取り、熱いからとフ-.フ-して味見をするのかと見てると
「は~い、伊織さん」
俺の口元に焼きそばを持ってきた。
俺もいつもの事だと口を開け、焼きそばを頬張る。
「ん、塩焼きそばか?さっぱりして旨い」
「BBQでお腹いっぱいになっても塩焼きそばなら、食べれるかと思って。じゃあ、俺も」
自分で味見をする為にフ-.フ-しながら食べる。
焼きそばをフ-.フ-し頬張る姿が子供みたいで可愛いなぁ~と自然と笑みが出た。
そんな俺達にとって日常的な事だったが、皆んなが俺達を微笑ましく見てたり‘またか’と呆れて見ていた様だ。
そんな中で口火を切るのは、やはり沙織だ。
「何.何。焼きそば?」
「はい。もし、まだ入るなら食べて下さい」
勧めると塩焼きそばを取り食べ始めた。
「さっぱりして美味しい」「これならお腹いっぱいでもいける」「BBQには、焼きそばも欠かせないよね~」
皆んな美味しそうに食べるのを見て「良かった~」と嬉しそうに笑顔を見せていた。
沢山あった肉.野菜.焼きそばとビ-ルでお腹もいっぱいになり、ベンチで休憩とばかりに皆んなで座り始めた
粗方食べたBBQと焼きそば。
今度はベンチで、ゆっくりとツマミを食べながら祐一が用意して来たワインを飲み始め、さっきのアスレチックの話をされ、俺と龍臣は沙織と祐一にバカにされたり揶揄われたりし、俺と龍臣は反省してますとばかりにシュンとした。
一通り俺と龍臣を揶揄って満足した沙織が、リュックからトランプを取り出した。
「何も無いかもと思って、トランプ持って来たからやろう?」
「「「「やろう」」」」
直ぐに反応したのは、ミキ.真琴君.矢島君、以外にも祐一だった。
いや、祐一はこの手のゲームは大好きだったなと思い出した。
トランプ大会が始まり、ババ抜きをする事になり、定番の冗談を言う。
「ババ抜きなら、沙織抜きだな?」
龍臣.祐一以外、ミキまでもが白い目で俺を見た。
おい.おい、定番の冗談だろう?
「伊織、何か言った?」
「伊織さん、言って良い事と悪い事がありますよ」
ミキにも怒られ助け舟を…と龍臣と祐一を見ると、我関せずと優希さんと真琴君と話してる。
この薄情者~。
「いや、ミキ。冗談.冗談。でも、すまん」
「沙織さん、良くある軽いジョ-クですよ。そんな目くじら立てる事では有りませんよ。沙織さんは変わらずいつまでも綺麗です」
「んもう、大ちゃんったら~」
矢島君のフォローで、沙織の機嫌も治ったようだ。
流石、矢島君。
沙織の扱いは、お手の物だ。
矢島君に目で感謝し、沙織の機嫌も治りババ抜きを始めた。
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