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第374話

「やりぃ~、また1番!」 そう叫ぶのは、祐一だった。 何度やっても祐一が1番か2番に上がり、逆に真琴君が最下位になる事が多い。 真琴君以外は気づいているが、真琴君は顔に出やすい ババが手元に来るとしかめっ面をしババを抜きそうになるとニコニコし始め、その様子を見て隣を抜くとあからさまに、ガッガリした顔をするからだ。 祐一は人間観察が趣味だけあって、こういうゲームになると些細な事も見逃さないし、心理戦が好きだ。 さすがに何度も最下位で凹んでる真琴君に、耳打ちでアドバイスしている。 「マコ、無表情でやれ。もしこれで最下位なら今夜お仕置きな」 パッと祐一の顔を見て、直ぐに赤くなり俯く真琴君を俺と龍臣は見て、祐一が何を言ったか大体解った。 俺と龍臣は祐一を見てニヤニヤすると‘何だ!’と睨まれた。 そのアドバイスが効いたのか真琴は、それから最下位になる事は少なくなった。 祐一は少し残念そうにしていたのは、気の所為なのか? ババ抜きから大富豪に代わり、大いに盛り上がった。 そんな中で、沙織がまた言い出した。 「ねえ.ねえ。今度、ディズニーシィ-にハロウィンの時期に行こうって話してたじゃない?」 あ~あ、沙織の趣味を兼ねての仮装な。 「そう言えば、そんな事言ってたな」 「言ってました.言ってました。沙織さん、楽しみにしてるんですよね?」 ミキと真琴君はシィ-には行きたいが、女装が待ってると解って複雑な顔をし、覚悟を決めてても、沙織が楽しみにしてると聞いて引き気味だ。 「そう.そう。凄~く、楽しみ~♪ それで、折角だから、龍臣さん達も行かない?行きましょうよ、優希さん」 「皆んな行くなら行きたいなぁ~。ディズニーなんて十年位行って無いかも。シィ-なんて行った事すら無い」 「優希、混んでるぞ」 面倒だと言うのが顔に出てるぞ龍臣。 「え~、こんな機会でも無いと行かないじゃん。行ったの尊が小さい頃だよ~」 「「行きましょう」」 ミキと真琴君が龍臣にお願いしてる、多分、一緒に行きたいのもあるんだろうが、女装仲間を増やしたいんだろう。 優希さんとミキ達が話し込んでる内にと、俺と祐一は目で会話をし、龍臣に小声で話し掛ける。 「おい、龍臣。優希さんの女装姿見たく無いか?」 「何だよ~、いきなり」 「いいから、見たいか見たく無いか?どっち何だ」 「……見たい」 「なら、我慢してシィ-に付き合うんだな」 説明が無い祐一の話では、龍臣も何なのか解らないようだ。 「詳しくはまた話すが、掻い摘んで説明すると沙織は子供の頃から着せ替え人形遊びが大好きで、ミキと真琴君にリアル着せ替え人形する事にハマってる。だから、シィ-でハロウィンだろ?もう、解るよな」 「は~ん、成る程な。頼んでも自分からは絶対しない優希でもハロウィンと美樹君と真琴君が一緒なら……。一生に1回見れるかどうかだな。こんなチャンスねぇ~な」 「だろ.だろ」 「沙織が話すまで女装の事、今は取り敢えず黙ってろよ。絶対、初めは‘嫌だ’って言うはずだ、後はお前の説得次第だ。祐一も真琴君を説得して女装させたしな」 「予想より、断然可愛かったぞ」 「バカが、ミキの方が可愛いかった」 「優希の女装か~。良いかも」 龍臣は優希さん達の会話に割込み 「優希が行きたいなら、シィ-に皆んなと行こう」 「良いのか?龍臣、人の多い所とか嫌がるじゃん」 「まあな。俺が嫌だからって優希を連れてってやって無かったし、折角、こうして皆んなと遊びに行く事もなかなか無いし」 「沙織さん、龍が一緒に行っても良いって~。楽しみ~♪ 初めてのシィ-だ~♪」 「本当~、良かった~♪」 手を取り合って喜んでる優希さんと沙織。 優希さん以外は‘沙織さんの餌食が1人増えた、知らぬは本人ばかりと今喜んでる優希さんを見て‘可哀想に'と心の中で皆んな思っていた。 アスレチック.BBQ.トランプ大会と腹いっぱい食べ.飲んでワイワイと騒いだ。 皆んなほろ酔い加減で陽も沈みかけ片付けをし、龍臣の所の運転手が迎えに来て車の心地良い揺れで、車の中では皆んな爆睡していた。

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