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第386話

「りさん…伊織さん」 「ん、はよう」 隣で寝ているミキに声を掛けられ、まだ半分は夢の中だ。 「そろそろ起きないと…。旅行に行くんですよね?」 「……何時だ?」 温もりが感じられ抱きしめたまま話す。 「えっと、8時です」 「まだ早い。近いから高速で行けば2~3時間で着く。10時出発だ。朝昼兼用でどこかのサ-ビスエリアで食べよう。もう少し寝よう」 また、ギュっと抱きしめてた。 「解りました。じゃあもう少し」 何かミキが言ってたが、心地良い温かさで夢の中に吸い込まれていく。 「伊織さん、伊織さん」 「ん……」 ミキがベット脇に座って声を掛けてきた。 「ねえ.ねえ、伊織さん」 俺の肩を揺すり起こす。 流石に目覚めたが、まだベットの中に居たい気持ちとミキが今度はどうするか楽しんでいた。 「9時30分です。もう、起きないと」 「………」 「伊織さんったら。ねえ、起きて」 パフッと俺が寝てる布団の上に覆い被さってきた。 余程楽しみにしてるらしいな、可愛い~。 そろそろ起きてやるか? ミキを下から布団ごと抱きしめて 「ああ、そんな時間か?あ~良く寝た~。ん、ミキ?もう支度済んだのか?」 「30分程前に起きちゃいました。俺はいつでも出れますけど。そろそろ伊織さん、起きて下さいよ」 「ん~、解った。起きる前に、おはようのキスは?」 ミキが顔を近づけチュッと可愛いキスをくれた。 「よし、起きる。コ-ヒ-入れてくれ。コ-ヒ-ぐらい飲む時間あるだろう?」 「はい。用意しておきますね」 抱きしめていた手を離すと、ベットから降り寝室をウキウキとした足取りで出て行くのが解った。 楽しみで仕方無いって感だなぁ。 あのウキウキしてる所が、子供が遠足を楽しみにしてるのと同じだな。 可愛い過ぎだろ。 あんなに素直に喜ばれたら、またどこかに連れてってやりたくなるな。 夏休みもどこか行くか?やはり海がある所が良いだろうか?と考え、寝起きのボ-とした頭でまだまだ先の事を考えていた。 これから楽しい1日が始まるのに。

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