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第387話
鬼怒川まで高速を使って、3時間程で着いた。
途中のサービスエリアで朝昼兼用で飯を食べ、館内をウロウロし「お土産、買いたい」と言うミキを「今から買ってどうする。現地の土産屋もあるんだから」と言い含め止めた。
飯時間を合わせて40分程居たと思うが、やはり鬼怒川は近いなと感じた。
これなら土日休みの時も来れるな。
「ミキ、そこの公園の駐車場に車停めるから、少し駅前を探索するか?俺達の宿は、もう少し奥になるからな。ここまで歩いて来るのはキツイと思う。今のうちに色々見ておこう」
「はい」
公園に停め歩いて駅前まで行く。
「へぇ~、駅前に足湯がある」
「行きたい♪行きたい♪」
「解った.解った。そう焦るなって、結構人が居るから順番だな」
俺の服の裾を引っ張り‘早く.早く’とはしゃいでいる、子供みたいだ。
近くまで来るとやはり混雑していたが、暫く待ってると空いたので靴と靴下を脱ぎ裾を捲り、足湯にゆっくり入れていく。
「く~、気持ち良い~。少し熱いか?」
「はあ~、気持ち良い~。足湯が無料なんてやっぱり温泉地ですよね~。これだけで体が温まってくる~」
「だな」
駅前の足湯だけあって駅から人がどんどん出て、直ぐに足湯に向かってくる。
暫く足湯を堪能し、人が増えて来た事もあり足湯を後にし、駅前の土産屋をぶらぶらと歩いて回った。
駅前から少し離れた所を散策していると‘鬼怒川ライン下り’と看板を見つけた。
「ミキ、見てみないか?結構、テレビとかでも見た事あるが、実際見た事無いから行ってみよう」
「うん。行ってみた~い」
近くまで見に行くと鬼怒川を船頭さんが巧みな櫂(かい)さばきで奇岩.怪岩を上手く避けて下って行っているのが上から見えた。
「へえ~、もっと凄いスピードなのかと思ったが、結構ゆったりで景色も見られそうだな」
「一応、救命胴衣も着けてるんですね。落ちたりする人いるのかなぁ?」
「外国のとは全然川の流れが違うから、早々落ちる奴は居ないだろう。念のためだろう」
「川から見る景色も、また違うんでしょうね?」
興味ありそうだな、俺も1度位どんなものか乗ってみたかったから丁度良い、こんな機会も無いしな、誘ってみるか?
「乗ってみるか?俺も1度乗ってみたかったからな」
「乗ってみたいけど……。今から宿行くのに濡れちゃわないかな?」
「少し位は水飛沫浴びるかも知れんが、投げ出されて水に浸かる訳じゃあるまいし、多少なら大丈夫だろ?それに今日乗った方が、宿で干しておけるし」
「……そうですね。うん、乗ってみた~い♪」
「手続きしに行こう」
「はい」
直ぐ近くにある管理室に向かい料金表や発船時刻を確認し手続きする。
「10分前から船乗出来ますから、20分前には受け付けをお済み下さい」
「解りました」
予約を受け付けに済ませ、パンフレットを見ているミキの元に戻る。
「予約して来たぞ。15時10分発のにした」
「大丈夫だったんですか?急だから無理かと思ってました」
「たまたまその時間だけ空きがあった。つくづく俺は運が良い」
「本当ですね。強運の持ち主♪」
「まあな。俺は運も自分で引き寄せるからな」
「そう言う所って伊織さんらしいです。自信家って感じ?」
「本当の事だ」
クスクス……
笑ってるミキの顔を見ながら、俺の人生で1番の強運だったのは、ミキと出会えた事だなと思っていた。
「ほら、笑ってないで。まだ、船乗には少し時間ある他も見て回ろう」
頭をポンポンし「行くぞ」と歩き出した。
川沿いの道を散歩し、土産屋があれば足を止め店内を見たり店先で蒸した饅頭を食べたりと船乗までの時間を楽しんだ。
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