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第397話
あの後、疲れを癒す様に、ゆっくり露天風呂で浸かり話をして居たら、ミキの返答が怪しくなり目を擦り始め「眠い…」と言い出し、使われて居ない方のベットで、今は、俺の腕の中でス-ス-…寝息を立て眠る綺麗な寝顔を眺めていた。
「随分、無理させたな」
3回立て続けにした後、露天風呂で悪戯心で‘あわよくば’と思っていたが、いやミキの弱い所を攻め、ミキからの懇願と言う形を取り卑怯な手を使った自負はあった。
ミキの裸を目の前にしてシナイという選択肢は無かったし、知らない土地で解放感もあった。
明日は名一杯ミキの好きな事をしようと決め、腕の中のミキを抱きしめ俺も眠りに就いた。
旅館を出て車で ‘鬼怒楯岩大吊橋’に到着した。
「へえ~、結構高いな」
「思ったより高いですね。吊橋ってどんな感じかな?揺れる?」
「どうだろうな。行って見るか」
「はい」
人が擦れ違う事が出来る幅があり、真ん中位で自撮りしてる人もいた。
先に歩いて行くと俺の服の裾を引っ張る。
「ん、どうした?」
「……揺れる」
「ああ、人が歩いてるからな。振動と風だな。怖いのか?」
「高いのは、平気なんだけど…」
「遊園地なんかは平気だろ?それよりは楽だと思うが?」
「遊園地は勝手に動くし…吊橋って揺れてるのに、自分で歩かなきゃいけないから足が竦じゃう」
「止めるか?まだ引き戻った方が早い」
「…折角来たから…行く。けど、伊織さんのここ持ってて良い?」
「服なんかより手を繋ごう」
ミキの手を取り繋いで歩き出した。
遊園地の方がよっぽど揺れるんだが……何だか可愛い~。
‘揺れる.揺れる’と独り言を話し何とか渡り終えた。
少し広場になってる所で写メを撮り、吊橋を渡る事位しか何も無いのでまた吊橋を渡って戻る事にした。
引き返す時も手を繋ぎ歩いた。
ただ吊橋を渡るだけだったが、思い掛けず手を繋いで歩いた事が思い出になった。
「次は‘花いちもんめ’だったか?」
「はい。花で癒されます」
くっくっくっ…
「笑い事じゃないです。結構、揺れてました」
「解った.解った。じゃあ癒されに行こう」
ったく、面白いな~。
結構、意外性があるんだよなぁ~。
ほんと、一緒にいて楽しい~。
ミキといる方が花なんかより癒される。
また車で目的地に出発した。
直ぐに‘花いちもんめ'に着いた。
「うわあ、敷地広~い」
パンフレットを見ると「4000坪もあるらしい、花も600種類あるんだと。すげえ~な。来る度にその時期の花が咲いてるんだろうが。流石に広い敷地は見て歩くと時間が掛かる。少し見てから温室の方を見よう。温室の方が1年中花が咲いてるらしい」
「はい。今の時期どんな花咲いてるのかな?楽しみ~♪」
「行って見よう」
「はい」
植物園と言う事で、余り人は居ないのかと思ったら結構観光客が多い。
広い敷地に行って見ると、辺り一面に色々な花が咲き乱れていた。
白.赤.ピンク.黄色.青……
クレマチスの花がジュ-タンの様に咲いていた。
「すげぇ~な」
「綺麗♪ 同じクレマチスでも品種によって微妙に違いますね。この花、初めて見ました」
「今の時期はクレマチスで、冬はパンジーに変わるらしい」
他にもペチュニアやツツジなども咲いていた。
花の名.原産地.科目などの説明書きを見ながら暫く見て回った。
色彩りどりの花が遠くまで見渡せ何だか癒される。
周りでも花々の景色を背後に写メを撮ったり景色や花々をカメラに収めていた。
「折角の絶景だ。俺達も写メ撮ろう」
「撮りたい.撮りたい♪」
花に負けない位綺麗なミキ、いや花が霞む程だな。
花に囲まれたミキの写メは、どこかの広告のモデルかと思う程綺麗に写っていた。
スマホの壁紙にしたいが……無理か。
気を付けていても誰かに見られる可能性がある。
すげえ~綺麗に撮れてるのになぁ~と思いながらも壁紙にする事は断念した。
それからも色々な花々の前で写メを撮り歩いた。
それから温室に向かう事にした。
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