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第399話

「おい、田口。ちょっと良いか?」 「はい」 俺のデスクに呼び、パソコンの売上状況の数字とグラフを見せた。 「GW前から畳サンダルの売上げが徐々に増えていたんだが、やはり売上げが上がってる」 「本当ですか?」 「ああ、アメリカ支社にも問い合わせたが、健康志向の人々の間で口コミで広がってるらしい。手軽に履けて畳の肌触りと通気性も良いって、それに和風テイストがお洒落だと受けてるらしい」 「何だか‘やっと’って感じです。上手く嵌れば籠バックと対で買って貰おうと考えてたんですが…現実は籠バックに注目集まって売上状況も良かったんで…サンダルの方はそこそこって感じだったので、どうしようか考えてた所です。ホッとしました」 「まあ~、時期的にも夏場に近づくしな。畳サンダル業者にも連絡して、少し増産掛けて置こう」 「はい、喜びます」 「俺の方からもアメリカ支社に連絡しておく」 「宜しくお願いします」 自分のデスクに戻り、早速、業者に電話する田口の顔が嬉しそうだった。 GW明けで2週間程様子見ていたが、これから夏に向けて畳サンダルは売れてくると見込んだ、その分新色以外の籠バックは一応の落ち着きを見せている。 在庫はある程度ありそうだし、一応工場長に連絡するか。 10代.20代向けの女性誌に掲載した事で、国内では注文が殺到してるようだし……。 工場長に連絡し、新色以外の籠バックは増産掛けず、その分国内の方に回すようお願いし長話しにも付き合った。 この時期は、俺的にはまだ忙しく無い。 8月頃には9月仮決算の資料作りをしたりと早めに準備を進める予定にしている。 これもミキと夏休み.土日を確保する為だ。 「さて、少し色々資料集めてみるか」 パソコンに向かい旅行の時に、ヒントを得た事を検索し始めた。 俺の考えてる事が、新たなプロジェクトになるかどうか思案する為に。 仕事も順調だし、ミキも今の時期俺が忙しく無いと解っている為、平日も気兼ね無く泊まりに来る事が前より多くなった。 明るい部屋と美味い料理、ミキが待ってる部屋に帰るのが今の俺にとって幸せのひと時だ。 その代わりミキが来ない日は落胆が大きいが。 今日は泊まりに来るのか?来ないのか? そんな事を考える事も幸せだ。 仕事中でもミキの事が頭の片隅にいつもある。 あ~、早く一緒に住みたい。 この時はそれから暫くミキとは会社以外会えなくなるとは思いもしなかった。 ヒタヒタ…ヒタ…と、俺達の幸せな時間にヒビが入る事が起こるとは……まだ解らなかった俺だった。

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