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第402話

出前が届いて、久し振りの日本料理に「美味しい.美味しい」と、嬉しそうな顔で舌鼓を打っている波瑠斗。 話は、食べ終わってからで良いかと、暫く嬉しそうな顔を見ていた。 コ-ヒ-を入れてやりソファに並んで聞く体勢を取ると何かを感じたのか引き攣る顔をした。 やはり、何かあったな? 「さて、話を聞こうか?日本に来る事は事前に連絡が来てたが、ここに急に何の連絡も無しに尋ねてきた事に訳があるのか?」 「……実は…アンディの仕事の都合で日本の会社と合同研究の…3週間位滞在する予定だから…一緒に着いて来たんだけど…1週間経つけど…毎日遅いし…土曜日も出勤したり…日曜日はどこも出かけないで…パソコンに向かってるし…全然構ってくれないから……喧嘩して…出て来た」 言いにくそうに、ポツリ.ポツリ話し始め、話すうちに泣き出しそうな顔になる。 「そうか。でも、仕事なら仕方無いだろう?仕事って解って着いて来たんだろう?日本に滞在して居られるうちに、色々詰めて置きたいんだろう?構って貰えないからって、それは波瑠の我儘じゃ無いのか?」 「…解ってるんだ。でも…一緒にいる時位…責めて日曜位……久し振りの日本を一緒に観光したかった…のに」 「謝って帰るんだな?」 「帰らない。帰ってもまた同じだし…伊織の所に居るいいでしょう?僕、誰も頼れる人が居ない…ヒック.ヒック…伊織だけ……ね…いいでしょう?ヒック.ヒック…ここに居ても」 等々泣き出してしまった。 波瑠の我儘だって解っているが、こいつの泣き顔には弱いのをこいつも知っててやる所がある。 「……仕方ねぇ~な。アンディの仕事が終わるまでな。あと2週間位なんだろう?」 「…たぶん」 「解った。アンディには連絡して置く、迎えに来るまで居て良い」 「本当~♪ やっぱり伊織だ~。僕の事を解ってくれるのは伊織しか居ない♪」 泣いた何とやら…だな。 「伊織.伊織。明日と明後日どこか連れてって~。僕がいた時とはだいぶ変わったから。ねぇ~良いでしょ?行きたい所たくさんあるんだぁ♪」 「おい.おい、明日.明後日は休みだから良いが、俺も平日は仕事だぞ。アンディと一緒だと思うが……」 「平日は適当に出かけたり部屋でDVD見たり暇潰してるから良い。でも早く帰って来てね」 「今の時期はそう忙しく無いから、そんなに遅くならないとは思うが、当日になってみないと何とも言えん遅いと思ったら、コンビニでも近くの店もあるから適当に食えよ、出前でも良いし」 「やだ~、一緒に食べるぅ~。伊織と一緒に食べる」 「……解った。そんなに遅くならないようにする」 「やっぱり伊織、優しい~。大好き~」 抱き着く体を受け止め頭を撫でてやる。 「大体の話しは解ったし先に風呂入れ、疲れただろう?」 「一緒に入る?」 「馬鹿な事言って無いで、サッサと入れ。客間に布団敷いて置く。客間使え」 「え~、伊織と寝る。一緒の部屋で良いじゃん」 「そうもいかん、客間だ。それと寝室には入るな。それは約束だ、良いな?」 「チッ…解った」 渋々ながらも了承したようだ。 キャリーバックから部屋着と下着を出したのを確認して、浴室に案内した。 ザ-ザ-…ジャバジャバ…… 浴室から聞こえるシャワーの音を確認し、今のうちにアンディに電話する事にした。 厄介な事になった。

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