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第404話

どれくらい明かりも無い部屋でボ-ッとしたんだろう。 スマホの明かりでハッと気が付き手に持つと、伊織さんからのラインが入っていた。 直ぐに既読し返信を返すと *♪済まない。急にアメリカから知り合いが来た。明日と明後日は観光に連れて行くから会えない。悪い*♪ ラインを見て、落胆と同時にやはり知り合いなんだと思った。 取り敢えず、既に会った事を知らない様なラインの内容に、俺から言えずに知らない振りで返信をした。 最後におやすみラインをしたが返信が無かった。 スマホの画面を暫く眺めて、やっと頭が回り始めた。 どんな知り合い?誰?俺を紹介できない人なの? アメリカからって言ってたのは、あの人も言ってた。 グチグチと考え込むのは俺の悪い所だ、やはり伊織さんに誰か?どんな知り合いかだけでも聞こう。 あの人が言ってた事が本当なら怖いけど……そんな訳無いと言い聞かせ勇気を出して伊織さんに電話を掛けた。 ♪♪♪♪~♪♪♪♪~… 暫く鳴った後に出た電話に 「あっ、伊織さん。さっき…」 話し始めた途端に遮られ、伊織さんじゃ無い声が電話口から聞こえた。 「何?しつこいねぇ~。伊織ならお風呂入ってるよ。今からラブラブな時間なんだから邪魔しないでよね! 伊織に久し振りに抱いて貰えるんだから楽しみ~♪ 伊織って絶倫だからなぁ~。明日、観光に連れてってくれるって言ってたけど、動けるかどうか不安なんだよねぇ~と言う事で、もう電話掛けてくるの止めてよね~。さっきも言ったけど僕が帰っって来たんだから、あんた用無しだから。さようなら~」 話す暇も与え無い程捲し立てられ勝手に切られてしまった。 なぜ?伊織さんの電話に勝手に出たんだろう?そのくらい気を許してる相手なんだろうか? 言われた事を全部は、鵜呑みにしてる訳じゃ無いけど……伊織さんが絶倫なのは本当だ、それを知ってるって事?前に付き合ってた人なんだろうか?伊織さんが帰国して忘れられずに…でも伊織さんは、アメリカでは付き合ってる人は居ないと言ってたし…。 頭の中で色んな事がグルグルと回って整理が出来ない でも…ドア越しに見たあの人は綺麗な人だった。 綺麗に手入れされた眉と大きな目で勝気な印象で、鼻は小さく口元は少し大きめだけどそれがセクシーだった…背は少し俺より高い位で腕組みしたから解らないけど、たぶん手足も長くスタイルが良かったと思う。 ほんの少し見ただけだけど…綺麗な人って印象だった、伊織さんのタイプなのかも…アメリカで……昔の事だ…俺にも過去はあるし…けど……。 さっきまでは何も考えられずいた事が、嘘の様に考えだしたら止まらなくなり、涙が溢れスマホの画面がボヤけて見えた。 涙が止まらない。 ポタッポタッ……落ちる涙を拭うのも忘れて暫く泣き続けた。 もう、色んな事が一気に起こって、今日は考えたく無い。 徐に立ち上がりベットに潜り込み、布団の中で丸くなって声を出さず泣き続けた。

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