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第406話
「伊織、起きて。朝だよぉ~」
「……もう少し寝かせてくれ」
「出掛けるんだよね?早く~起きてよぉ~」
揺り動かす手を捕まえ体を抱きしめ
「ミキ」
「ミキ?」
誰だろう?寝惚けてる?
俺はつい、いつものノリで朝の生理現象で勃ち上がってるモノをミキの腰に擦り付けた。
「ギャ~、い.伊織~」
てっきり隣に寝ているのはミキだと勘違いし、いつもの朝を過ごした。
「…大声出して、朝から元気だな?」
眠い目を開けて隣を見ると……。
そこにはミキじゃ無く波瑠斗が居た。
あ~そうだった、昨日の夜から波瑠が……ここ1年位ミキと出会ってからは、隣で寝て一緒の朝を過ごすのはミキと決まっていた……忘れてた。
「……伊織……どうしてもってなら……僕は……良いよ」
「???」
何の事をしどろもどろと、言いにくいそうに話してるのか初めは解らなかった。
「何の事だ?」
「その……アレが……僕の…腰に……」
顔を赤く染め恥ずかしそうに話す波瑠。
見当が付き慌てて腰を引いた。
「悪い。朝の生理現象だ、気にするな。朝から悪ノリした」
冗談で済まそうとしたが
「伊織がシタいなら……僕は…」
‘冗談じゃ無い’と話しを遮る様に明るく話す。
「ははは……冗談。そんな事より今日は浅草行くんだろ?出掛ける支度して出よう」
「…うん」
まだ言いたそうな波瑠を置いて、自分の寝室に着替えに向かった。
クロ-ゼットを漁りながら
「ヤバかった、ついミキだと思った。これからも気を付けないとな」
着替えてリビングに行くと波瑠も支度を済んで待っていた。
「ねぇ.ねぇ。スカイツリー楽しみ~♪」
さっきの事が無かった様に振る舞う波瑠にホッとした俺も何事も無かったように合わせた。
「浅草で美味しいものでも食べてフラフラしながらスカイツリーまで歩くか?」
「うん.うん♪」
嬉しそうに笑う顔が可愛いと頭を撫でてやった。
やはり泣き顔や怒ってる顔よりこっちの方が良い。
電車で浅草まで行き‘雷門’まで歩き人の多さにげんなりするが、波瑠は浅草に来れた事に大喜びだ。
「ここは全然変わらな~い。昔のままだ~」
「そりゃあそうだろう。寺なんだからな。ただやはり観光客が多い。逸れるなよ」
「うん♪ 伊織にくっ付いて歩く~♪」
雷門から入って仲見世を見て歩く。
「浅草きびだんご食べた~い」「人形焼買って~」「雷おこし買う~」とあっちこっち買っては食べ、忙しそうだ。
「あっ、このTシャツ日本土産に買って行こうかな?どう思う伊織」
外国人受けしそうな漢字がプリントされてるTシャツを指差して聞かれたが、書かれてる漢字が‘浅草’‘将軍’‘雷門’と日本人なら絶対買わないが……こう言うのは外国人好きだからなぁ~と思いながら
「良いんじゃねぇ~。外国人はこう言うの好きだからな」
「うん。じゃあ買う~。あとは、女の子には、このシルクの扇子も買う~」
「帰りに買えば良い。今、買ったら荷物になるぞ。スカイツリーでもお土産あるだろうし、そっちも見てから決めろよ」
「一応、決めて置いて伊織の言う通りにする」
「ほら、もう少しで浅草寺だ。お参りしてからスカイツリー行こう」
「うん。御守りも買う~」
「解った。解った」
お賽銭箱前に並んで浅草寺で手を合わせた。
御守りを見に行き沢山あるなか悩んで ‘身体健全’の御守りを2つ買っていた。
支払いしようと金を出すと「自分で買う」と言って御守りだけは、自分で金を出して買っていた。
2つ揃いの御守りは波瑠とアンディのだろうと予想したが、今の状況の中アンディの話は避けた。
「さて、遅くなったが、どこかで昼飯を食べてスカイツリー行くか?」
「うん」
「浅草なら、天丼か?鰻か?どぜう鍋か?後は、蕎麦か?」
「う~ん、蕎麦にするぅ~」
「解った。美味しい蕎麦屋があるから、そこ行こう」
「やった~。日本蕎麦♪日本蕎麦♪」
蕎麦ぐらいでこんなに喜ぶとはな。
可愛い~奴だ。
昼は蕎麦にし「蕎麦はやっぱり日本で食べる蕎麦が1番♪」「美味しい♪美味しい♪」と連呼して食べていた。
スカイツリーまで腹ごなしの散歩がてら歩いて行く。
「うわぁ~、凄~く高い~。ここは僕がいる時は無かったなぁ~」
「ここ数年で出来たからな。中に行って見よう」
「うん。楽しみ~♪」
色んな店を見て歩き展望台までのエレベーターの速さにも驚き、展望台から見る景色にまた驚いていた。
「凄~い♪ あんな遠くまで見える、あれ富士山?
凄~い♪ 下を見るの怖~い」
怖いが見たいと目に手を当て隙間から見ていた。
その仕草が小学生みたいで可愛く笑い出しそうになるのをグッと堪えた。
暫く展望台を堪能し、プラネタリウムで一休みするつもりで、説明付きの星空をリクライニングしながら見た。
この間行った鬼怒川で見た夜空に輝く星を思い出し、薄暗い館内で星空の下ロマンチックな雰囲気だ。
ここにもミキと来たいなぁ~と心の中で思ってると、波瑠が俺の手を握ってきた。
波瑠の好きな様にし手を握ったまま星空を見ていた。
東京ソラマチ内の店を見て、また浅草寺に戻り当初に買おうと決めていたTシャツ.シルク扇を日本土産に買い、浅草で有名な天丼屋に行って夕飯を食べて帰路に経った。
浅草で疲れていた俺は昼近くに起き、はっきり言って今日は部屋でゆっくりしたかったが、結局、波瑠が行きたいと言う‘お台場’に付き合う事にした。
波瑠が日本に居た時とはガラッと変わった街並みに目をまん丸くし驚いていた。
半日では周りきれない程のイベントやテ-マパ-ク.大型ショッピングセンターなどがあり「伊織が遅くまで寝てるから~」と拗ねられた。
「また来りゃ良いだろう?」
「また、連れて来てくれるの?嬉しい~♪」
「解った.解った」
拗ねては喜び忙しい奴だと苦笑し、頭を撫でてやる。
アクアシティお台場でショッピングを楽しみ、お台場海岸公園を散歩して帰る事にした。
急に現れた波瑠に観光.案内をし、こうして俺の休日は終わった。
ミキとは会えなかったが、波瑠も久し振りの日本を堪能して喜んでたし……ま、良かったか。
それでも土曜、日曜と波瑠が風呂に入ってる時や波瑠の目を盗んで、こっそりミキに‘おやすみライン’をする事は欠かさ無かった。
プライベートで会えずともラインしたり会社で会えると、その時の俺は楽観視していた。
この楽観視していた事が後々後悔する事になるとは……俺は馬鹿だった。
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