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第407話

「酷い顔。今日は、どこにも出掛けられ無いな、こんな顔を他人に見せられない」 昨日、泣き疲れて寝てしまい朝起きて洗面台の鏡を見たら、目が赤く腫れて顔も青白い。 昨日の言われた事を思い出し、また涙が出てきた。 「どれだけ涙って出るのかなぁ?」 赤い目に涙が溜まり、頬を伝うのを鏡の中の自分をジッと見るだけだった。 結局、またベットに舞い戻り体を丸めて 「考えたく無い。伊織さんは何も言って無いし……伊織さんはそんな人じゃない。信じる.信じる」 信じると何回も口にして自分に言い聞かせる。 考え無い様にしても昨日言われた事が頭に浮かんでは消してを繰り返した。 その日は何もせず食欲も無く何も食べず過ごした。 伊織さんから昨日の夜にラインがあって、少しホッとし気分も上向いた。 俺からは電話もし辛いし、会いにも行きづらいから……。 短いラインのやり取りだったけど、俺の事忘れずに必ずくれる‘おやすみライン’が嬉しかった。 昨日は観光に行ったらしい、久し振りの日本に喜んでいたと、その日の出来事を教えてくれた。 俺も部屋に閉じこもってると変な方向に考えてしまう 「気分転換に久し振りに街をブラブラしようかな?」 別に何を買う目的も無いけど…ウインドゥショッピングでも良い、ここに1人で居るよりましかも……うん、出掛けよう。 出掛ける為に支度をし、玄関に向かう時にフラッと立ち眩みした。 「…危なかった~」 そう言えば金曜の夜から何も食べて無かったと思ったが、食欲も湧かず「ブラブラ歩いてればお腹も空くかも…」と考えて、そのまま部屋を出た。 最寄り駅までどこに行くか考え、人が多い渋谷に行く事に決めた。 人が多い方が気が紛れると思ったからだった。 電車の中で、責めて牛乳位飲んで来れば良かったかな?と、駅での登りの階段でゼイゼイ…息が上がった自分が情け無く思った。 電車の中から流れる景色を見て楽しい事考えようと、気分を変える為にわざと明るめの服を着て外見から変えてみた。 どこに行くか?アクセサリ-も見ようかな?と考えてると渋谷駅に着いた。 ドォ~ッと降りる人混みに紛れて降り、階段を登り始めて途中でフラつき、頭を振ってまた登り始めたが「あっ、だめかも……」とクラッときて、そのまま落ちるかも……覚悟した。 「おっと、危ねぇ~」 背後から抱きしめられ落ちる事は免れた。 まだフラつく頭で、お礼を言う為に振り返って見ると若い男の人が居た。 「すみません。危ない所、ありがとうございます」 お礼を言って立ち去ろうと1歩階段を登るとフラッとし今度は腕を掴まれ助けられた。 「……ねえ?1人じゃ危ない。たぶん、貧血?それか低血糖かもしれない。登った所にカフェあるからそこで休んだ方が良い」 「えっ、でもご迷惑をお掛け…」 言い終わらないうちに腕を引かれ、階段を登りカフェに向かう。 それが彼との初めての出会いだった。 この時は、今日1日を彼と過ごす事になるとは思わなかった。

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