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第409話

「はあ~、楽しかったなぁ。やっぱり出掛けて正解だった。拓海君のお陰だな」 部屋に帰ってから、今日の出来事を思い出していた。 拓海君とカフェを出てパスタを食べに行った時も、お腹に何も入れて無い俺を気遣い「中華とか?お粥があるし」と言って、俺を優先する優しさに良い子だなっと思った。 「俺の事は気にしなくって良いよ?拓海君の好きな所に行こう」 「んじゃあ、近くに美味しいパスタ屋があるから、そこに行こう。確かス-プパスタとかもあったから」 良いって言っても、俺の事を気遣う優しさに感激した お勧めのパスタ屋さんは言った通り美味しかったけど半分程残した俺のス-プパスタを拓海君は気にせず食べてくれた。 人懐っこいなぁ~と、距離感の縮め方がさり気ない。 それから渋谷の街をブラブラし、良さそうなお店があったら店内に入り、あ~でも無い.こ~でも無いと2人で服を広げて話した。 ‘服を見るのが好きだ’と言うだけあって、拓海くんの着てる服もお洒落だった。 服やアクセサリーが好きだと言う事もあり、益々距離が近くなった。 その内笑って話したり、拓海君も大学の友達の面白い話をしてくれて笑い疲れる程だった。 ある1軒の店で拓海君が手に取ったTシャツをジッと見ていた。 「カッコ良いね。拓海君に似合いそう」 「俺も良いと思ったんだけど…」 それ程高く無い値段だったけど、もしかして持ち合わせが足りないのかもとお礼を兼ねてと思い 「もし良かったら、俺出すよ?助けてくれたお礼に」 「いや、買うなら自分で買う。お礼ならこんな安い物じゃ無く……美樹さんの体調が良くなったら焼肉ご馳走になりたい」 「焼肉?良いけど…今日、食べて帰る?」 「今日は行きません。美樹さん、余り体調良くないでしょう?どうせ食べるなら、2人でガツガツ食べたいから。そうだ、今週の木曜か金曜は?その間に少しずつ食べて胃袋大きくして置いて下さい。そうだ、連絡先交換しません?」 「良いけど……。高い所は、無理だからね」 言われるままスマホを取り出し連絡交換した。 「大丈夫。俺、焼肉好きだからすっげえ~食べるから、食べ放題の所でお願いします。その方が遠慮無く食えるんで」 学生らしいのと何だか弟みたいで可愛いかった。 「それで良いなら」 「やりぃ~。当日めっちゃ腹空かして行くんで。あっ、これやっぱ買って来ます」 支払いしに行く拓海君をクスクス…笑って見ていた。 何だか若いなぁ~、毎日楽しそう~。 連絡先交換したけど……良いよね?お礼の夕飯位奢っても…会うのもその日だけだろうし。 それから打ち解け合い話も弾み‘ゲ-ムをしたい’と言う拓海君に付き合ってゲ-ムセンターに行って、余り来た事無いと話すと俺でも出来そうなゲ-ムを教えてくれた カ-レ-スで競争したり、太鼓の達人で出来無い俺を笑われたり、リズム系やボ-ル系とやって見ると楽しかった。 拓海君と居ると学生に戻ったような錯覚になった。 180cmと背は高くスタイルも良く、顔も爽やか系イケメンだ。 並んで歩くと、伊織さんよりちょっとだけ低くけど俺からの目線は一緒だ、隣に歩いて時々肩とか触れたりすると伊織さんを思い出した。 そんな時は、拓海君が俺が元気無くなるのを感じたのか?明るい話題を話したりニコニコと笑い掛けて明るい雰囲気にしてくれた。 「今日、拓海君が居てくれて良かった。ありがと」 拓海君の事を考えてるとラインが鳴った。 「伊織さん?」 スマホを開いて確認すると、別かれたばかりの拓海君からだった。 *♪美樹さん、無事帰れました?*♪ 「もう~、幼稚園児じゃ無いんだから~」と言いながら顔はラインを見て自然と笑みが零れ、直ぐに返信をした。 *♪帰れるに決まってる😊幼稚園児じゃ無いんだよ?😅*♪ *♪今日の出会いが出会いだけに心配で🥺帰り倒れてるんじゃ無いかなって😣*♪ *♪ありがとう😊拓海君とご飯食べたから丈夫だよ~。今日は楽しかった*♪ *♪俺も楽しかったです。焼肉の件、忘れないで下さいよ*♪ *♪OK*♪ *♪その前に、また連絡します*♪ *♪OK、待ってる*♪ *♪じゃあ、また*♪ *♪は~い*♪ わざわざ心配してラインしてくれた事に‘良い子だなぁ~’と改めて思った。 拓海君のお陰で気分も上向いてきたと思っていた所に伊織さんからの電話が鳴った♪♪♪♪~ 慌てて出ると、少し小声でいつもの伊織さんとは違うと感じた。 「ミキ。今、何してた?」 「えっと、お風呂にでも入ろうかと伊織さんは?」 「そうか。俺は今日は浅草とかに観光に付き合って疲れたからゆっくりしてた所だ」 「浅草とか人が多く無かったですか?」 「ああ、やはり外国人も多かったな。ミキは?今日は何してた?」 「えっと、たまにはブラブラしようと、ウインドゥショッピングしてました」 「そうか、何か良い物でも見つかったか?それとも買ったのか?」 「何も買いませんでしたけど、服を見たりアクセサリー見たりしました」 話をしていて、今なら聞けるかも…。 「あの~、伊織さんの所に…」 聞こうと話始めた時に、伊織さんの部屋の中から声が聞こえた。 「伊織~、お風呂空いたよ~」 ‘あの人の声だ’と遠くから電話越しに聞こえたと同時に、伊織さんが慌てて電話を切ろうと話出した。 「ミキ、悪い。また明日会社でな。じゃあ、おやすみ」 「……おやすみ…なさい」 通話の終了した画面をジッと見て、あの伊織さんの慌てように不信感を抱いた。 俺との電話してる所聞かれたく無いのかな? また考えだし、折角、拓海君のお陰で気分が上昇してたのがまた下降していった。 「伊織さん…信じて待ってて良いんだよね?あの人が言った事は過去の事だよね?」 本人に聞かけなかった事を、誰も居ない部屋でポツリと呟いた。 、

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