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第410話
「x x x……。今日の朝礼は終わりだ。皆んな仕事に戻れ」
月曜の朝礼が終わり、席に戻るミキを目で追い、先週の休日に会えなかったがこうして必然的に会う事ができ、同じ会社だと悪い事もあるが良い事もあるもんだと思っていた。
首を回し肩を叩き、やはり休日の2日間、波瑠に付き合って観光に行って歩き疲れた。
殆ど休みらしい休みは取らず波瑠に振り回されたが、楽しそうにしてたから‘良し’とするか。
平日は俺も仕事だし我儘は言わないだろうが、やはり1人で部屋に居るのは可哀想だと、今日と明日位は早めに帰ってやるつもりだ。
「良し、その為にも仕事するかっ」
残業にならないように仕事を始めた。
そんな俺をミキは不安そうな目で見ていたとは、思わなかった。
休日に会えなかったとしても、電話やラインを欠かさずしてると安心していた。
目が覚め起きてリビングに行った。
「もう、伊織、仕事行ったんだ~」
時計の針は10時を回っていた。
「あ~あ、伊織が居ないとつまんない」
テ-ブルに食パンが置いてあるって事は、これを焼いて食べろって事か?
食パンを焼いてコ-ヒ-を飲みながら、改めて伊織の部屋の中を見回した。
来た時は、機嫌も悪く気分も良く無かったし、昨日と一昨日は観光に行ったりとバタバタしていたからなぁ
綺麗に整理された部屋だけど、所々に伊織以外の人の気配を感じる。
テ-ブルに置いてあるアロマ.玄関先に飾ってる貝殻とポプリ.キッチンにあるオレンジのエプロン.洗面台には今日は1本だけだったけど、歯ブラシが2本あったのは見逃して無い。
これまでの伊織の部屋には無かった物や伊織の趣味とは思えない物がそこかしこにある。
誰かと暮らしてるようでは無いけど……泊まりに来る人は居るみたいだ。
伊織の事だから、誰かに本気になる筈が無いのは知ってる。
「……伊織の事だからなぁ。程の良いセックスフレンドの1人や2人いるのかも知れない。……伊織も男だし……どうせ割り切った関係だ。今までだって、何やかんや言っても僕を優先してくれてた…そうだよ、伊織だけは僕を見捨てない」
綺麗に片付いてる部屋だけど、暇だし…僕の荷物を荷解きしてから掃除と洗濯しよう。
そうと決まれば客間に置きっぱなしにしていたス-ツケ-スを開きクロ-ゼットを開けると、良い匂いがして細身のス-ツが2着ぶら下がっていた。
2段程のタンスの上段に下着が数枚とTシャツやパ-カ-などの部屋着とお洒落な服が何枚か入っていた。
「へえ~、結構趣味良いじゃん。お洒落な人なんだ。ふ~ん」
どんな人か気になるけど、どうせ一時的な相手なんだからと追及する事はやめた。
「下の段、使おうっと」
暫くお世話になるしと、服を掛けたりタンスに入れたりして荷物を片付けた。
「良し、終わった~。次は洗濯してお風呂も掃除しちゃおっと」
洗濯機を回し、その間にお風呂の掃除をし部屋の掃除に取り掛かろうとしたが、ちょっとだけ伊織の寝室を覗いて見たくなった。
ドアノブを回すと……鍵が掛かっていた。
「チェッ。前は寝室にも入れてくれたのに~」
諦めて部屋の掃除に取り掛かかった。
綺麗な部屋は直ぐに掃除も終わってしまい、これからどうしようか考えた。
「あっ、そう言えば伊織って、たくさんDVDあったよなぁ」
テレビ台の中を探したら、アメリカにいた頃に見た事があるDVDや、まだ見た事無いDVDもあった。
「これにしよう」
午後から伊織の部屋にあったDVD見て暇な時間を過ごした。
早く伊織、帰って来ないかなぁ~。
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