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第411話
「お帰り~♪」
リビングに入って直ぐに抱き着く波瑠の頭を撫でて、やはり家に明かりがあるのは良いもんだと思っていた
「ただいま。今日は何してた?」
「伊織~、褒めて.褒めて~。あのね、荷解きして洗濯と掃除した~、お風呂も掃除したからね」
「おっ、ありがとうな。夕飯は?」
「朝、パン食べて何にも食べてな~い。夕飯も伊織と食べようと思って待ってた~」
「おい、朝からパンだけか?出前でもピザでも取れば良かっただろう?取り敢えず、今日は出前取るか?」
「うん。1人で食べるの寂しいもん」
「好きなの選んでろ。今、着替えて来るから」
リビングに残し、寝室の鍵を開け締めクロ-ゼットに向かい着替え始めた。
やはり早く帰って来て正解だった。
あいつは几帳面な性格な所があるから洗濯や掃除はするが、料理が俺と同じレベルかそれ以下かも知れないからなぁ。
腹が空いても俺が帰って来るまで、一緒に食べようと我慢してたんだろう、いじらしい所がある。
そんな事を思いリビングに向かう 。
「伊織~、かつ丼食べた~い」
「解った、じゃあ俺も同じ物にする。注文するから待ってろ」
「は~い」
ソファで寝そべって雑誌を見て寛ぐ波瑠を見て、少しは元気になってきたかと安堵した。
それから出前が来て2人でかつ丼を食べ「やっぱ、かつ丼美味しい~」「伊織と一緒に食べるからかなぁ?」とか言いはしゃいでいた。
1人で寂しかったのかも知れない、わざと明るくはしゃいでいるように見えたが、何も触れず黙って波瑠の話を聞いていた。
それから波瑠に俺が居ない時にも、飯だけは食べる事を約束させ、ピザ.出前の電話番号や取り方を教えた。
「あっ、そうだ。これ渡しておく」
ずっと部屋に閉じ篭ってる訳にはいかないだろうと、仕事帰りに合鍵を作って来た。
「え~、良いの? 伊織~、嬉しい~」
「合鍵なきゃコンビニも行けないだろう?それに俺が仕事の時に遊びに行っても良いし」
「ありがとう。大事にする~。伊織、大好き~」
合鍵位で大喜びして俺に抱き着く。
また頭を撫で「今日は早く上がれたが、残業になる事もある。気にせず夕飯は食べろよ。残業になる時は、一応連絡するようにする」
「うん。でも成る可く早く帰って来てね。寂しいから」
こいつに‘寂しい’と言われると辛い。
「解った」
こうしてこの週は成る可く早く帰るようにし、残業しても1時間程にして切り上げ、波瑠と成る可く夕飯を食べるように心掛けた。
波瑠もどんどん甘えて我儘を言ったりと、少しずつ俺に執着を見せるようになってきた。
俺も波瑠が情緒不安定だと解っているから、そんな波瑠に付き合ってやった。
そうする事で、ミキとはプライベートの時間は殆ど取れず、寝る前に電話やラインだけになったが、2週間程の辛抱と思っていた。
そんな生活が続き、出前やコンビニは飽きたらしく。
「どこか美味しいお店で食べた~い」と言う波瑠の我儘で、週末の金曜日に仕事帰りに待ち合わせて寿司屋に連れて行った。
それが俺の知らない所で、ミキにまた1つ不安を与えるとは思わなかった。
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