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第412話

「うん、解った。ごめんね。俺の都合で木曜日になって」 「俺はどっちでも学生だから暇なんで。美樹さんは仕事持ってるし、俺が合わせるのが当たり前ですよ」 「じゃあ、食べ放題の所にするから、沢山食べてね」 「食べ放題なら遠慮しません。それより体調どう?」 「うん。大丈夫だよ」 「それじゃあ、新宿に7時で」 「うん。遅れないようにする」 「じゃあ、また」 「うん。おやすみ~」 拓海君からの電話で約束していた‘お礼の焼き肉を奢る’と言う日程を決めた。 日曜日の夜に心配して、電話をくれてから2回目の電話だった。 成る可く1人で部屋に居たくないと、マコを誘ってご飯食べに行ったり1人で大将の所に行ったりと気を紛らわしていた。 普段通りの俺でいるように努めて、たわいの無い話で楽しく過ごすように、考えないように自分を誤魔化して過ごしている。 「拓海君から誘って貰って、助かったなぁ~」 また1人で過ごさなくって済む。 短いけど…ラインを欠かさず毎日くれる伊織さんを信じる事に決めた。 会社では、やはり上司と部下と言う事でプライベートな話は出来ないし……でも顔を見れるだけ良いのかも 休日は、あの人を観光に連れて行ったりと会えないから、平日に仕事帰りご飯位行けるのかもと淡い希望を持っていたけど……。 その時に聞いてみようとも思っていたのに。 伊織さんは定時で帰ったり残業しても1時間位でサッサと帰って行ってしまうから、誘う事も出来ず期待してた誘われる事も無かった。 そんな状況に耐えられずマコを誘ったり大将の所に行っていた。 意気地無しの俺が自分でも嫌になる。 毎日、あの人が居る部屋に帰る伊織さん……。 「何だか、自信が揺らぎそう…」 信じると決めていた気持ちが不安で押しつぶされそうだ。 ♪ピロ~ン 「ラインがきた、伊織さんからだ」 思わず笑顔になる。 ♪*お疲れ~。今日はミキが外回りだったから、顔も見れず残念だった♪* ♪*お疲れ様です。出版社に直行してました。会社戻ったら伊織さんが退社した後だったみたいで、俺も残念でした♪* ♪*そうか、入れ違いか。明日は直行じゃないんだろ?♪* ♪*はい。午前中は内勤して午後はどうするかは決めて無いです。午前中の業務の進み位で決めます♪* ♪*そうか、明日は顔が見れるな。じゃあ、明日な♪* ♪*はい、おやすみなさい♪* ♪*おやすみ♪* 何だか恋人同士なのか?上司と部下とのラインなのか?解らない内容だった。 でも、明日会えるのを楽しみにしてるって…。 こうやって毎日のラインもある…自信を無くしてる場合じゃない、信じるんだ。 毎日のラインだけが、唯一の繋がりに今はなっていた それだけだけで今は信じようとまた思う。

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