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第413話

「「乾杯~」」 グビッと一口生ジョッキを飲み肉を焼き始めた。 ‘俺が居ない時には2人っきりで飲むな’って、言われてたけど……良いよね、1杯位……。 そう言ってくれる伊織さんは、あの人の世話で忙しそうだもん。 ネガディブになりそうな気持ちの中、ジュウジュウ…肉の焼く音と良い匂いが立ち上がる。 俺は仕事帰りに待ち合わせて、今、拓海君と約束していた焼き肉屋さんに来ていた。 焼きあがった肉を、俺と自分の小皿に取り分けまた肉を乗せる拓海君を見て、結構マメなのかも知れないと思った。 肉を口に頬張って話し始めた。 「それにしても今日の美樹さん、誰かと思いましたよ。この間会った時とは別人なんで、声掛けられなければ解りませんでした」 「これは仕事用。出掛ける時は気分も変えたいし、普段の俺はあっちかな?プライベートでは眼鏡もしてないし髪も下ろしてないからね。もしかして、この格好だと一緒にいるの嫌だった?」 「いや.いやそんな事は無いです。どっちの格好してても美樹さんは美樹さんでしょ?」 「そう言ってくれると嬉しいなぁ~。俺、実はクォ-タ-だから、余り仕事では目立ちたく無いんだ。目とか良く見ると青っぽいでしょ?ほら」 前髪を手で上げ顔を近づけて来て、目を見つめられドキドキした。 すげぇ~、綺麗な目だ。 本当だ、良く見ると青味掛かってるけど…何だか吸い込まれそうな感じだ、眼鏡で隠してるのが勿体無い。 「うわぁ~、本当だ。良く見ると青味掛かってますね」 「でしょ。祖母がイギリス人なんだ。俺はそこまで掘りとか深く無いから、けど肌とか白いし髪も栗色って感じ?」 本当だ、肌も白いとは思ってたがクォ-タ-なら納得だ この間会った時に、白い肌に栗色のふわふわした髪だったし、顔は小さく目が大きく鼻筋が通って、小さく唇の形も綺麗だった事を思い出した。 そうなんだよ、俺が気になってたのは、この人の雰囲気と顔と体のバランスの良さ、もちろん顔は申し分無い程綺麗だ、逆に欠点を見つける方が難しいと思う、今日、改めて会って解った。 この人は、俺の理想的な人なんだ。 チクショ-、男なのが残念だ。 この顔で男は無いだろう、どんな綺麗な女でも霞むに違いない。 「何だか男にしておくのは勿体無いですね。世の女性は白い肌と栗色の髪目指して努力してるっつ-のに」 「本当だよねぇ~。女の子達に申し訳ないって感じ」 クスクスクス…… 可愛く笑うなぁ~。 本当に男ってのが残念だ、女なら直ぐに口説いてる所だ。 「笑い事じゃないですよ~。それより俺ばっか食べてるじゃ無いですか?ほら、食べて下さいよ。今日は美樹さんの奢りなんだから食べなきゃ損ですよ」 「そうだね。食べよ.食べよ」 肉を焼いては、俺の小皿に乗せ自分も豪快に頬張る拓海君を見てると何だか気持ち良い。 「あの後、ちゃんと食べてる?倒れたりしてない?」 「ありがと。朝は何か口に入れてるし、夜は友達とご飯行ったりしてるから大丈夫だよ~」 眉を寄せ「朝は、何食べてるの?」と聞かれ 「う~ん、コ-ヒ-とかヨ-グルトかな?」 まだ、食欲は湧かず朝は殆ど食べられない。 夜は1人で部屋に居たく無い理由で、マコを誘ってご飯行ったり大将の所に行ったりするけど、昼ご飯食べ過ぎたと言って軽い物しか口にしなかった。 「それじゃあ、また倒れるよ。ほら、食べて.食べて」 小皿が肉で山盛りになった。 「拓海君、盛り過ぎ~。ちゃんと食べるから~」 「やべぇ~、ついダチのノリで」 クスクスクス……。 年も離れてるのに友達のノリって良いなぁ~。 そう言ってるけど、さり気無く俺の事心配してるのが良く解る。 顔も今風のイケメンだし、明るいしマメだからモテるんだろうなぁ。 「拓海君ってモテるでしょ?」 「どっちかって言うとモテる。自分が良いなぁ~と思ったら、積極的にいっちゃうかな?付き合ってみないと解んないしね。それとタイプじゃない子に告白されても、きちんとお断りもする。無駄に期待させる断り方はしない。じゃないとその子も諦められず次に進めないじゃん。その方が返ってさっぱりして、友達とかになっちゃうんだよね」 「そう言う所がモテるんだろうね」 「ま、俺、外見も性格もイケメンですから」 はははは…… 「………自分で言うの恥ずかしく無い?」 「いや、ここは笑う所ですよ~」 「あっ、ごめん.ごめん。空気読めなくって…」 「だから、謝る所じゃ無く笑う所だって~」 はははは…… クスクスクス…… 何だか放っとけねぇし、それに笑うと可愛い~し素直な人だ。 良く気がつくし、一緒に居て楽しませてくれる良い子だなぁ。 2時間の食べ放題を豪快に食べる拓海君と楽しく話し笑い過ごし、この食事で打ち解け合いお互いの印象がまた良く感じた。

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