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第418話

「いらっしゃいませ。お2人ですね。お好きなお席どうぞ」 威勢の良い店員さんの声と店の雰囲気に懐かしく感じた。 4人席用の席に座り、メニューを見てる拓海君と店の中をキョロキョロ見てる俺。 「どうしたんですか?」 「あっ、ごめん.ごめん。めちゃくちゃ懐かしくって。学生の時に来てたなぁ~って」 「ここ安いし品数も多いからね。良く俺もダチと来ますよ」 メニューを見ると昔と余り変わらない、益々懐かしくなった。 「何、飲みます?食べ物は適当に頼んじゃって良いですか?」 「レモンサワ-で。食べ物は、拓海君にお任せ~」 店員を呼び、慣れた仕草で注文する拓海君。 パンケ-キを食べた後、特に買う物は無かったけど洋服を見て歩きブラブラした。 「この後、どうします?行きたい所あります?」 「特には」 「じゃあ、体動かしに行きませんか?体を動かせば腹も空くでしょ?ボ-リングと卓球どっちが良いですか?」 「どっちでも良いよ~」 「……ここからだと…ボ-リングにしますか?」 「うん。ボ-リングも久し振りだ~。学生以来かも」 「じゃあ、だいぶ鈍ってますね」 「どうかな?結構、良い線いってたけど…」 「じゃあ、どうせなら夕飯掛けて勝負しましょう。負けた方が奢るって事で」 「良いよ~。負けないから」 「俺もです」 ボ-リングに行き2ゲ-ムした合計で結果は……俺が負けた。 拓海君の提案で、居酒屋で飲みながら食べたいと言われ居酒屋に来た。 注文していたレモンサワ-と生ビールがきて 「「乾杯~」」 体を動かしたお陰か?喉が乾いてゴクゴクッと飲んだ 「あ~美味い。やっぱ体動かすとビールも美味い」 「本当だね~。俺も喉乾いてたみたい」 「ボ-リングの時、ムキになってやってたからね?」 「ムキになって無いよぉ~。久し振りだから感を取り戻すのに必死だったんだよぉ~。でも2ゲ-ムめは、結構良い線いってたよね?」 「確かに2ゲ-ムめの方が点数も良かったし。でも、俺には及びませんけどね。美樹さん、案外運動神経良かったんですね?」 「良く誤解されるけど、迷惑掛けない程度には運動神経ありますから」 「ですね。見た目だと……運痴そう」 「誰が運痴だって~。言ってた卓球も程々には出来るし」 「じゃあ、今度は卓球対決って事で」 「今度こそ負けないから」 注文してた料理がどんどん運ばれ、テ-ブルの上は一杯になった。 シ-ザ-サラダ.唐揚げ.焼き鳥の盛合せ.枝豆.ポテト.イカリング.チャ-飯……。 サラダを食べてると拓海君が俺の小皿に唐揚げ.ポテト.イカリングを少しずつ取り分けて、チャ-飯も別皿に少量取り分けて渡された。 「枝豆とサラダばっかり食べないで、この分は美樹さんが必ず食べて下さいね、ノルマですから。みんな少しずつだから食べられるでしょ?体動かしたんだからこの位食べないと。焼き鳥とポテトは適当に食べて下さいね」 そっか~、ボ-リング誘ってくれたのも体を動かせば少しでも食べられると思ったからだったんだ。 無理しない程度に少量ずつ取り分けた小皿に拓海君の優しさを感じた。 「うん、ありがとう。拓海君のお陰でお腹空いてるから食べる」 唐揚げを食べ、久し振りに油っぽいものを口にした様な気がした。 「うん、美味しい~」 体を動かした所為なのか?拓海君と一緒に食べてるからなのか?凄く美味しかった。 一口食べたら、急にお腹が空いた気がして次から次へと口にした。 食欲が出てきたのか?美味しそうに食べてる美樹さんを見て安堵した。 ボ-リング誘ってみて良かった。 体を動かせば気分転換と食欲も出てくるか?と思ったが正解だった。 目の前で美味しそうに笑ってる顔を見てそう思った。 ボ-リングもムキになってる所が可愛かったし、スペアを取れば喜びハイタッチしストライクの時なんかは大喜びで抱き着くから、俺の方はドキドキしていた。 スペアを取らない時はトボトボと戻って来て解りやすく落ち込み、結果的に負けた時はガックリ項垂れて庇護欲を唆られる。 今日は笑ったり落ち込んだりと、新たな一面を見れて良かった、もっともっとこの人の事を知りたい。 また会いたくなる。 今日で’さよなら’したくない。 俺はどうにかして美樹さんと会う口実を探していた。

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