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第419話

「たく…拓海君?」 「あっ、何?」 「考え事?」 「いや。美樹さん、食欲出てきて良かったぁ~と思って。で、何?」 「拓海君のお陰でね、ありがとう。拓海君、モテるって言ってたけど、彼女いるの?」 定番の話をしてみた。 「彼女?ああ、3ヶ月前に別れました。今、フリ-です」 俺の事、少しは興味持ってくれたのかなぁ?それだったら嬉しい。 「そうなの。でも、直ぐに拓海君ならできるよ」 「俺、前にも言ったけど、自分が良いなぁ~と思わないと付き合わないから」 「どんな子がタイプなの?」 「タイプねぇ~。可愛い系より綺麗系。でも第1印象かな?その人の持ってる雰囲気とか、あと性格って顔に出てると思うんですよね」 はっきり言って俺の理想のタイプは目の前の人だ。 でも……残念な事に男だ。 黙って居ると整い過ぎて、気高く綺麗で近寄り難い印象があるが、俺と初めて会った出会いが出会いだけにそんな感じは受けなかった、あの時、美樹さんはフラフラ状態だったからな。 もしあの美樹さんじゃ無かったら、俺も近寄り難く通り過ぎていただろう、今、こうして美樹さんと居る事は奇跡に近い。 知れば知る程に、綺麗と言う第1印象より可愛い~と思う方が多い。 「美樹さんこそ、彼女いるんですか?」 どさくさに紛れて聞いてみた。 「俺?うん、恋人いるよ」 美樹さんの返事に‘やっぱりな’ ‘こんな綺麗な人に居ない訳が無いよな’と思ったが、はっきり言われると何だかショックだった。 この人と並んで歩ける女(ひと)って、相当レベル高くなきゃ無理だろうな、いや逆に普通の子なのか?聞いてみたいが、何だか癪に触るから止めた。 それでも平然とした顔で話を進める。 「ですよね。でも、休日に俺と出掛けて大丈夫なんですか?」 恋人がいるなら無理に誘ったのかも知れない。 「……今、アメリカから知り合いが来てるらしく観光とか付き合ってるみたいで……会って無いんだ。それで今、ちょっと落ち込んで…」 ちょっとだけ愚痴を言ってしまった。 全然関係無い拓海君だから言えたのかも、誰かに本当は愚痴りたかったんだ。 「そうなんですか?それじゃあ、アメリカに帰国するまで会えないんですか?寂しく無いですか?」 「……寂しい。今までずっと休日は一緒に過ごしてたから……部屋に1人で居たく無かった」 美樹さんに会えるチャンスなのかも知れない。 俺はこのチャンスを見過ごさない。 「じゃあ、明日も暇ですか?」 「……うん」 ‘良し、キタ~’ 心でガッツポ-ズを作った。 「俺も暇なんで迷惑じゃ無かったら、明日も遊びませんか?昼前に会って、今度は軽く一緒に食べて…そうだ、スポッチャ行きません?また体動かしたら腹も空くでしょ?」 少し強引に話を進め、俺は明日の行先も決め断れない状態にした。 「……拓海君は、友達と予定無いの?」 「無いです。友達とは平日も遊べるし美樹さんとは、中々予定合わないと思うから遊べる時に遊ばないとね」 「俺は嬉しいけど…迷惑じゃ無い?」 拓海君は最初の印象からなのか?俺が1人だと食べないと気にしてくれてると思っていた。 「全然。俺の方が美樹さんを誘ってるんですよ。迷惑な訳無いじゃないですか」 遠慮がちに話す美樹さんがいじらしい、こういう所、庇護欲が唆るんだよなぁ。 「迷惑じゃなきゃ俺こそ一緒に遊びたい」 明日また1人で居なくてよくなった事にホッとし、自然と笑みが出て拓海君に感謝した。 「また、明日の午前中にラインしますね」 可愛い~笑顔が見れて、明日も会える事に俺も喜んだ。 「うん、待ってる。スポッチャも楽しみ~♪ それも学生以来かも」 「明日も対決しましょうね」 「今度は負けないからね」 「俺も負けるとは思ってませんから」 「その自信満々な鼻をへし折ってやるからね~。覚悟してね」 クスクスクス…… 「どうぞ.どうぞ」 ははははは…… 拓海君と居ると気持ちが楽になる。 どんどん打ち解け合い冗談まで話す仲になり、距離が確実に縮まってきていた。 こうやって俺は明日も美樹さんと会える事になった。

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