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第420話

日曜の11時に、お台場で待ち合わせてパスタを食べ、約束していたスポッチャに拓海君と来ていた。 昨日の夜に伊織さんからのラインがきた事で、少し気分は上昇していた。 その傍、心の中では、いつまであの人は伊織さんの所に居るんだろう?この状態がいつまで続くんだろう?と、不安が広がっているのも事実だ。 今日、拓海くんと約束して無かったら、また1人でグチグチと悩んで過ごして居たかも知れない。 俺にとって、拓海君と出掛ける事が良い気分転換になっていた。 「さて、何から勝負します?」 「軽めのからいく?」 「バスケのスロ-イングは?どっちがより多く入れるか?」 「うん。良いよ~」 「じゃあ、美樹さんからどうぞ」 「OK」 1投目はゴ-ル枠から外れ、2投目はスポッと入り気を良くし3投目.4投目……結局10回投げて6回入った、俺的には満足だ。 「へえ~、結構やりますね」 「ちょっと自分でもびっくりしてる。今度は拓海君ね」 入れ替わりに拓海君がボ-ルを持ち投げた。 綺麗なフォームでスポッ.スポッ……スポッ全てゴ-ルに吸い込まれていくボ-ル。 「俺の勝ち~」 「……拓海君……バスケやってた?」 「中.高とバスケ部でした。今はダチと3on3やったりします」 得意顔で話す拓海君。 通りで綺麗なフォームの筈だ。 「ずるい。バスケやってたって言わなかったからノ-カウントね」 「え~、そりゃあ無いよ~」 「だめ~」 「……解りました。ノ-カウントにします」 「じゃあ、次キックタ-ゲットね。まさかサッカーは?」 「体育の授業か遊びでやる位」 「じゃあ、俺と一緒だね」 先に拓海君がやる事になった。 ゴ-ル.ゴ-ル……ゴ-ル鳴り響くゴ-ルコ-ル。 端を2か所残し全部ゴ-ル。 「はい。美樹さんの番」 カシャン.カシャン…ゴ-ル.ゴ-ル…カシャン.カシャン…ゴ-ル… ゴ-ルの枠に当たったりで、なかなか難しい。 俺は9枚の内4枚だけだった。 「俺の勝ち~、今度こそ俺の勝ちで良いですよね?」 「……拓海君、運動神経良いよね?苦手なスポ-ツある?」 「結構、何でもそこそこ出来ます」 「……じゃあ勝負にならないじゃん。それにその得意顔、ムカつく~」 爽やかな拓海君の両頬をムギュッと軽く引っ張る。 「美樹さん.美樹さん、痛ッ。やめて~」 「爽やかイケメンが変な顔~」 クスクスクス…… 「手、離して~」 頬から手を離して 「拓海君、勝負は止めて純粋に楽しもう」 「そうします。また顔、引っ張られたら堪りませんから」 はははは…… クスクスクス…… それから2人で、テニスしてりバトミントン.1on1.バレ-ボ-ルと純粋に楽しんだ。 拓海君は野球は少し苦手なのか?バッティングの時だけは豪快に空振りしたり、そうかと思うと良い当たりをしたりと斑(むら)があった。 余り速く無いスピ-ドボ-ルを隣で打っていた俺も人の事が言えず空振りばかりだった。 でも、空振りする度にお互い冷やかしたりとそれはそれで楽しかった。 「少し休もう」 「そうだね。喉も渇いたし」 拓海君に連れて行かれジュ-スを買い、コミックコ-ナ-でリクライニングする椅子で一休みする事にした。 本棚の前を見回して 「結構、漫画本充実してるね。何か読もうかな」 「じゃあ、俺も」 今は雑誌を見る事が多くなり、漫画なんて殆ど読まなくなった。 学生の頃はスポ根ものやアクション.バトルものをよく見てたなぁ~と、懐かしく感じた。 色々見て周り、昔読んでた漫画を数冊持ち元居た場所に戻ると、拓海君も漫画を数冊持って来ていた。 2人で横になりながら漫画をパラパラ読み出す。 懐かしい漫画に夢中になって読んでるとフッと隣を見ると、拓海君は漫画を胸に置き目を閉じて寝ていた。 「疲れたんだね。はしゃぎ過ぎだもん」 目を閉じてる拓海君の寝顔は、眉も綺麗に整えられ鼻筋が通って程良く高く、唇は薄く整ってると解る。 「へぇ~、拓海君って目を閉じると印象が変わるんだ」 2重で大きめな目が閉じてるだけで、全然印象が違った 目が涼しげで爽やかな印象を受けるんだ、拓海君のチャ-ミングポイントなんだ。 ちょっとあの目でジッと見られたら、女の子なら誰でもドキッとするだろうな。 そんな事を思いながら拓海君の寝顔を暫く眺めていた

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