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第421話
それから20分程で、拓海君が起き出した。
「ん~ぁ、俺、寝てた?」
「寝てた.寝てた。漫画読み出して10分位で寝てたよ」
「マジ?ごめん。美樹さん、ずっと漫画読んでたの?」
「うん。昔、読んでた漫画だったから懐かしくって。拓海君の寝顔も見たよぉ~」
「えっ、恥ずかしいなぁ~。よだれ垂らして無かった?」
「垂らしてた.垂らしてた」
「嘘~」
口元や頬を手で拭く拓海君が可笑しくって小さく笑い出した。
クスクスクス……
「嘘だよ。よだれ垂らして無かったよ~だ」
「揶揄ったんですねぇ~。マジ焦った~、人前でよだれ垂らすなんてって」
クスクスクス……
「でも、目を閉じてる拓海君って、ちょっと印象が違うんだと見てた~」
「げっ、ブスッて事?」
クスクスクス……
「違うよぉ~。拓海君のチャ-ミングポイントは目元なんだね。目開けてると爽やかなイケメン?」
「へぇ~、自分じゃあ解らないけど。美樹さんにイケメンって言われるのは嬉しいなぁ~」
美樹さんに言われて、めちゃくちゃ嬉しかった。
「うん。イケメン.イケメン」
「何だか、その言い方怪しいなぁ~」
顔を見合わせ笑い出した。
この人と居ると楽しいなぁ~、何だか癒される。
もっと色んな美樹さんを知りたい。
コミックコ-ナ-を出て、今度は卓球をする事にした。
卓球を始めると、2人共似たり寄ったりの腕前でラリ-もそこそこ続いた、卓球って言うよりピンポンに近いかも知れないが楽しかった。
試合が進むに連れて段々と熱くなる2人。
「ねぇ~、最後に今日の夕飯代掛けて勝負しようよ」
「今度は、負けないからね!」
「今までは肩慣らしです。これからは、本気でいきます」
「俺も」
1:0 …2:3…5:7…8:8…接戦で2人共さっきとは別人の様に真剣になった。
10:12 後1歩及ばず、またも拓海君の勝ちだった。
「悔しい~。ジュ-スまでいったのに~」
「接戦でしたけど、ま、勝ちは勝ちで。今日もご馳走になります」
「今度は負けないからね。絶対にリベンジするからね」
「はい.はい」
「やだなぁ~、その返事~。‘はい’ は、1回でしょ?学校で習わなかった?」
「は~い」
「拓海く~ん」
はははは……
悔しがる美樹さん.拗ねる美樹さん、本当に俺より年上なのか?って思う程可愛い~。
リベンジすると言って、自然と次の約束をする美樹さんが嬉しかった。
それからセグウェイとロ-ラ-スケ-トをして、楽しかったスポッチャを後にした。
施設を出ると、外はもう暗く夕飯にしようと結局、拓海君のリクエストでまた居酒屋になった。
又もや、学生が良く利用する洋風居酒屋で値段も手頃だし、俺の為にツマミ系をたくさん取ってくれる心遣いをしてくれた。
拓海君と居酒屋に来るのも2度めだし、この間も1杯だけ飲んだ、今日も1杯だけ付き合おう。
拓海君と居ると、何だか自分も学生の時に戻った様な錯覚がして、あの頃の懐かしい感じとノリで一緒に居て楽しい。
その位、拓海君に心を許していた。
笑ったり拗ねたり悔しかったりと、今日もまた色んな顔を見せてくれた美樹さん。
綺麗な外見なんだけど、可愛い~んだよなぁ。
それに素直に思った事を話すから、俺はドキッとする場面が何度もあった。
この人と、もっと話しがしたい.もっと会いたい気持ちと、どんどん嵌っていく様な気がして、会ってはダメだと思う気持ちが俺の中で鬩ぎ合う。
……でも、また会いたい。
目の前で楽しそうに笑い話す姿を見てそう思っていた
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