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第422話

「すみません、美樹さん。仕事の方は、大丈夫でした?」 「うん、大丈夫だよ。拓海君から相談なんて言われて俺なんかで役に立つか不安だけど…」 「美樹さんにしか話せないんです。先に、メニュ-決めませんか?俺はこのチ-ズハンバーグとライスで」 「俺もチ-ズハンバーグでライス無し」 「美樹さん、飯も食べないと……」 「でも、残しちゃうから」 「仕方無いですね。注文しますよ」 店員を呼び 「チ-ズハンバーグ2つで1つライス付けて。ドリンクバー2つ」 「畏まりました。ドリンクバーは、あちらで」 店員が去り、2人でドリンクバーに行き飲み物を持って来て、やっと拓海君に話し掛ける。 「ねえ、拓海君の相談って?」 「……美樹さん。俺の話し聞いても引かないで下さいね」 「うん。引かない.引かない。約束する」 言い辛い話し?何だろう? 「絶対、引かないで下さい」 「解った.解った。約束する」 「実は……」 話そうとした拓海君のタイミングで、店員が料理を運んで来たから1度遮られた。 店員さんが去って「美樹さん、温かいうちに食べましょ」と言って、食べ始めた拓海君に気になって仕方無い俺は「ねえ、食べながらで良いから相談事って聞いても良い?」 「……実は、俺…今、気になってる人が居て」 恋愛相談かぁ~。でも、何で俺? 「恋愛相談なら友達の方が良くない?だって拓海君の事良く解ってるでしょ?」 「ダチには出来ないんです……気になってる相手が……男の人なんだ」 目を見開いて驚いた、だって拓海君、女の子にモテるって話してたし、男の人には興味無い感じだったから……だから友達に相談出来ないんだ。 相手は大学の人なのかな?だから大学とは関係無い俺に相談したのかぁ~。 妙に納得した。 「そうなんだ。正直ちょっとびっくりした。だって拓海君、女の子にモテるって言ってたし付き合ってた人も女の子でしょ?男の人には興味ある素ぶり無かったから。相手は大学の友達?とか」 「俺も今まで女の子としか付き合った事無かったし男なんて興味無かったから……今、自分でもすっげえ~戸惑ってるんです。相手は……まあ年上です」 「先輩なんだ~。どんな人?大学で知り合ったの?」 詮索するのはどうかな?と思ったけど、聞かないと相談に乗ってあげられないからなぁ~。 「偶然知り合ったんですが……俺、第1印象で決めるタイプだって言ったじゃない?初めて会った時に、男か女か解ん無いぐらい綺麗な人で、俺の理想がそこに居たって感じ。男って解った時はガックリきたくらい」 「それで?話し掛けたり誘ってみたりしたの?」 「それが……会えば話し掛けたり話もします…あとは出掛けるのも皆んなでって言うか…」 ここら辺は濁して話した。 「そうなんだ。聞き辛いんだけど、拓海君って男の人と付き合った事は?」 たぶん無いとは思うけど、一応聞いてみた。 「無いです.無いです。今まで考えた事も無いですし、男に興味も無かったんで戸惑って、こうして美樹さんに相談してるんじゃ無いですかぁ」 「そうだったね。拓海君はどうしたいの?付き合ってみたいの?」 「それが良く解らないんです。話しをしても楽しいですし、会えば可愛い~所がどんどん目に付いて、目が離せ無いって言うか」 「ふ~ん。会えないとその人の事考えたり会いたくなる?」 「はい」 「解らないって言ってるけど、今のが答えなんじゃ無い?でも、男の人を好きになるって事を認めたくないとか、付き合うって事に踏み出す勇気が無いのかもね」 「そうかも知れません。その…俺にとっては未知数の世界なんで……怖いのかな?」 拓海君が勇気を出して俺に相談してくれてるのに……俺も隠さず拓海君の為になるならと正直に話す事にした。 「拓海君……実は、俺の付き合ってる人って男の人なんだ。初めて男の人と付き合ったのは大学の先輩だった。それまでは女の子としか付き合った事無かったから、拓海君みたいに戸惑ったし勇気も必要だったけど…。その先輩が '人を好きになるのに男も女も無い。俺は正直に生きたい’って言われて、それもそうだなって。この世の中に、何億人っている中で出会えるのは一握りで、その中でお互いが好きなら良いのかもって思ったんだ」 正直に話したけど拓海君がびっくりした顔をしてた、そうだよね、いきなりこんな話し聞かされたら驚くよね。 「美樹さんって、どっちもイケルんだ?」 美樹さんが男もイケルと知って喜んだ。 彼氏がいると言ってたが、男に興味あるなら兎も角、俺にもチャンスはあるって事だよな。 「う~ん。どうだろう。今、付き合ってる人と出会う前は 3:7 で男の人が多かったかも」 「付き合ってしまえば、男も女も変わらないって事?」 この人なら男も女も放っとか無いだろうな。 「どうかな?女の子には女の子の良さがあるし…。ちょっと厳しい事も話すけど……男の人と付き合うのは少し覚悟がいるよ?昔より認知されたって言っても、まだまだ世の中では白い目で見られたりするし、実際俺も隠してるしね。なかなかオ-プンには出来ないんだよ。好きだからって、女の子と付き合うのとは、ちょっとそう言う意味で違うかも。出来れば拓海君には、そう言う想いさせたく無いし明るい恋愛して欲しいな」 この爽やかな拓海君をわざわざ人に言えない恋愛をさせたく無かったから現実を話した。 「……そう言うのもあって、俺も踏み込め無いのかも。………美樹さん、1度男の人とのデ-トしてみたいです……あの、その、その人と2人で会って、この気持ち確かめたいので、誘う前にシュミレ-ションしてみたいんです…ダメですか?」 「ん~別に良いけど……その人がどんなものが好きとか映画観るなら映画の趣味とかもあるじゃない?俺で良いの?」 「取り敢えずデ-トコ-スを周りたいんで」 「解った。拓海君には散々お世話になったし、俺で協力出来るなら」 「美樹さんにしか相談出来ないし、お願い出来ません」 「解ったから」 俺の事を頼ってくれる拓海君が凄く嬉しかった。 「じゃあ、今度の日曜どうですか?」 「……うん。良いよ、デ-トプランは考えて来てね」 伊織さんからは、あの人がいつ帰国するとも聞いて無い、また、土日は1人だろうし……。 「はい、任せて下さい」 少し間があったが、彼氏と上手くいって無いのか?ここ最近、休日は俺と過ごしてるし、どっちにしろ一緒に過ごせる。 このチャンスを生かす。 チャンス?俺の中では……決まってるのか? この人に会いたい。 ……そうか、好きなんだ。 でも、この人が話すように厳しい世界だとも解ってる……未知の領域で、俺には好きでも踏み切れないのが本当だ……でも、目の前で笑う顔を俺だけに見せて欲しいとも思う。 自分の気持ちを含めてどうするか?日曜日に賭けてみよう。 俺はこうして、日曜日に美樹さんとの約束を取り付けた。

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