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第428話
シャワ-を軽く浴び体を拭き髪を拭いて、久し振りに満たされた幸せな気分に浸っていたら、フッと波瑠の事を思い出した。
「やべぇ、波瑠に今日泊まる事言ってねぇ~」
仕事行く前に飯を食べて来ると話したが、ミキに会う前にスマホの電源を切っていた。
「飯食うだけのつもりだったからな」と言いつつ心の底では、ミキ次第では泊まりたいと思っていたが、波瑠の事も気になり朝言えずに来てしまった。
ミキに触れたら離れられなくなるのは、解り切っていた。
「もしかしてアンディから連絡来て、一緒に帰ってるかも知んね~し。一応、波瑠に連絡するか」
髪を軽く手櫛で撫で付け浴室を出て、ベットの下に脱ぎっぱなしにしていたパンツを履く。
寝返りを打ったのか?ミキの寝姿は俯せだった。
白い肌の背中に赤いキスマ-クが散らばり小さい尻が見えて、また欲情を誘う。
目に毒だと、掛布団を肩辺りまで掛けてやり、窓側を向いてる寝顔を覗くと、ス-.ス-と寝息を立て幸せそうな顔をしていた。
俺もミキを抱きしめて寝るか、その為には、波瑠に連絡しないとな。
久し振りにミキを抱きしめ寝られると笑みが零れる。
「さて、鞄.鞄?」
キョロキョロ辺りを見回すと、点々と服が脱ぎ散らかしドアの辺りに2つの鞄が放っりぱなしだった。
「どんだけ余裕無かったんだよ」
苦笑し、自分のス-ツとミキのス-ツを拾い集めハンガ-に掛け、鞄をベット近くに持って来た。
ベットの縁に座り、鞄からスマホを取り出し、電源を入れると着信が数件とラインが数件入っていた。
「波瑠か」
全て波瑠からのものだった。
ラインを開くと ♪*遅い♪* から始まり ♪*早く帰って来て♪* ♪*帰って来るよね?♪* ♪*寂しい♪*と入っていた。
アンディから連絡無かったのかと直ぐに理解し、どうするか?とラインを眺めて考えてると♪♪♪♪~♪♪♪♪~…電話が鳴り、ミキが起きると思い慌てて電話に出た。
「波瑠か?」
声を掛けると泣きながら捲し立て、黙って聞いていた
'いつ帰って来るんだ?’ ‘早く帰って来て’ ‘1人にしないで’ ‘寂しい’と散々言われ、泊まるとは言えなくなってしまった。
「……悪かった。そんなつもりは無い」
「xxxxxx………xxx xxx……」
「……解った.解ったから、もう泣くな」
「 xxxxxx xxx…… xxxxxx xxx xxx……… xxx」
「そんな訳無いだろう」
「 xxxxxx……… xxxxxxxxx xxxx xxxxxx…」
「……好きに決まってるだろ。泣くな、直ぐに帰るから」
「 xxx xxxxxx…… xxx」
「解ってる。帰るから、側に居るから。じゃあ切るな」
真っ暗なスマホを見つめ、泣き喚く波瑠を1人に出来ない。
寝ているミキの背中を見つめ、久し振りにミキを抱いて朝を迎えられると思ったが……今は、自分の事より波瑠が心配だと着替える事にした。
「はあ~」
ス-ツの上着を着て溜息が出る。
寝ているミキを起こすのは可哀想だと、置手紙を書きベット下に落ちていたミキのパンツを拾い畳みサイドボ-ドに置き、その上に置手紙と眼鏡を置いて寝ているミキの寝顔を近くで見た。
「悪いな」
一言話し寝ているのを確認して、そぉっと起こさないように離れ、鞄を持ち部屋を後にした。
エレ-べ-タ-でロビーに降りフロントで会計だけし、ホテルを出てタクシ-に乗り泣いて待ってるだろう波瑠の元に帰る。
タクシ-の中で流れる車窓を見ながら、ホテルの部屋に置いて来たミキの事を思っていた。
起きた時に、俺が居ない事にガッガリするだろうな、明日にはフォローしとかないとな。
そして帰ったら泣いてる波瑠を宥めてやらないと。
今度はどう波瑠を宥めるか考えていた。
やはり今の波瑠を1人にするべきじゃ無かったかもしれないと、自分を優先した事を少し後悔していた。
部屋で1人泣いてる波瑠を考えていたが、俺が部屋を出てミキが1人でベットで泣いてるとは、思わなかった。
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