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第431話
「美樹さん!」
手を振って俺を待ってる拓海君を見つけ、今日は拓海君の為に嫌な事は忘れて過ごすんだと思って来たけど何だか拓海君の姿を見たら俺の方が救われた気持ちになった。
こんな時だけど、拓海君と約束してて良かったかも……いつも、ありがとう拓海君。
「ごめんね。待った?」
「……いや、俺も今来た所だから」
美樹さんの目が少し赤い、何かあったのか?
気が付いたが、その事には触れなかった。
「それで、デ-トプランは決めて来たの?相手は年上だっけ?好きな事とか、どんなものに興味がある人なの?」
「え~と、実はあんまり知らなくって。何回か話した事がある程度なんで。オ-ソドックスに映画か遊園地か水族館かな?美樹さんなら、どこ行きたいですか?」
「ん~遊園地って言いたい所だけど…。初めてのデ-トなら映画が無難かな?映画なら緊張してても暗いし、その後に映画の話題で話しが盛り上がるんじゃない?」
初デ-トなら妥当だろうと思った。
「そうですか。じゃあ映画にします。美樹さんは、どんな映画好きですか?」
出掛けるのは初めてじゃ無いけど、一応話しを合わせて初デ-トと言う事にした。
美樹さん、遊園地好きなんだな、案外子供っぽい所もあって可愛いな。
「俺の好きな映画見ても仕方ないんじゃ無いの?相手は、どんな映画好きそうなの?」
「良く解んないんですよ。で、今日は、偽デ-トでも相手は美樹さんなんですから、美樹さんの好きな映画見ようよ」
どんな映画が好きなんだろう?ファンタジ-系か恋愛ものかな?スプラッタ-系は無いだろうけどホラ-系で怖がって抱きつかれたりも良いなぁ~.どさくさに紛れて手を繋げるし~、あ~妄想が止まらない。
「ん~、ホラ-とか無理だけど…。後は、大体観れるかな。でも…恋愛ものは、今はちょっと…ごめんね、それ以外なら大丈夫だよ」
今の俺には、ハッピ-エンドでもアンハッピ-でも恋愛映画は辛い。
「じゃあ、映画館行って決めよう」
恋愛がダメって?彼氏と上手くいって無いのか?会った時も目が赤かったし、たぶん泣いたんじゃ無いのか?これってチャンス?
「うん。それで良いよ」
近くの映画館まで歩いて行った。
映画館で、上映時間や内容的なもので災害パニック映画ものになった。
館内で飲み物を買い並んで座り、暫くすると薄暗くなり映画が上映された。
映画の内容は、地震でマグマが噴火しそれによって他の山々も刺激され噴火になるか?ならないか?パニック状態の住民、誰にも相手にされなかったが、噴火の予想を唯一していた人物を中心に政府関係者とこの困難に立ち向かうと言う災害映画だった。
物語が進むに連れ、真剣に見入ってる美樹さんの横顔をチラッ.チラッと盗み見て ‘横顔も綺麗だ’ と何回か見てしまう。
折角の薄暗い場所だと何回か顔を近づけ、この先の映画の展開の予想や感想を耳打ちで声を掛けた。
美樹さんが振り向いたらキスも出来る近さでドキドキするし、美樹さんから良い匂いがして、もっと近くに居たいと思った。
映画もクライマックスに近づくと、この空間と距離感が無くなる事が寂しく感じた。
アッと言う間に2時間は過ぎ、映画館を出る事になった
「ん~面白かったねぇ~」
「結構、怒涛の展開で真剣に見ちゃいました」
「俺も。で、この後の拓海君のプランは?」
「少し遅くなったけど、昼ご飯食べません?」
「うん、良いよ~。映画の話しもしたいし~」
「決まり! 俺、腹減ってるんで。がっつり食いたい」
「ん~俺…あんまり食欲無いんだけど…拓海君が少し食べてくれるなら」
「任せて下さい! 若いんで食べられます」
「ん~じゃあ、任せた!」
クスクスクス……
可愛い笑い顔だな~。
このギャップが良いんだよなぁ~。
一見綺麗過ぎて近寄り難い雰囲気なのに、話してみると話し易いし、仕草とか笑い顔が可愛いんだよなぁ~。
会う度にこの魅力に引き込まれ、次もどうやって会おうか考えてしまう。
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