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第432話
昼飯はトンカツ屋に決め、俺はトンカツ定食.美樹さんは少なめな定食にすると言って、エビフライとクリ-ムコロッケの定食にしたが、半分を初めから俺に分けてそれから食べ始めた。
それでも「美味しいね」って、笑顔を見せるが相変わらずの少食に、俺はまた何かあったんじゃ無いか?と思ったが口に出さなかった。
折角のデ-トだし、雰囲気を壊したく無かった。
今はデ-ト中だし、帰り際?そうだな夕飯食べながら、それとなく聞いてみよう。
悩みがあるなら一緒に解決口を探すのも良いし愚痴を聞くのも良い、それまではこのデ-ト気分を満喫したい
ゆっくりと少しずつ口に運ぶ美樹さんを見て、そう心に決めた。
「…樹さん.美樹さん」
名前を呼ばれハッとした。
「さっきから呼んでるのに、どうしたの?」
「ごめん。ボ-としてた」
「まあ、良いや。それより、これからの予定なんだけど。良かったら大学リ-グのバスケの試合やってるんだけど、観に行かない?」
「えっ、部外者でも大丈夫なの?」
「全然OK。それに俺もうちの大学の試合じゃないけど見に行くし」
「バスケか~。初めて生の試合観るかも。大学の時は野球かサッカーなら友達に誘われて観に行ったけどね」
「じゃあ、食べたら観に行こう。絶対に面白いから」
「うん。解った、楽しみ~」
拓海君に誘われて、大学リ-グのバスケを観に行く事になった。
電車移動の中で、拓海君が中.高と部活でバスケをしてた話しと、大学ではがっつりやるバスケはせず仲間内で楽しく3on3をしてる話しを聞かせてくれた。
バスケの話を楽しそうに話す拓海君は、本当にバスケが好きなんだと思った。
「楽しくするバスケも解るけど、中.高って頑張ってたのに勿体なく無い?」
「ん~、部活頑張り過ぎて膝やられて、でも走る事や普段の生活も全然大丈夫なんだけど、やっぱハ-ドなトレ-ニングにはついていけないから。でもバスケ楽しいし、ストリ-トの方が新しい仲間も出来るから」
「ごめん。変な事聞いちゃった」
「全然気にしなくって良いよ。それにプロになる訳じゃ無いし、観るのも好きだし、今はそれなりに楽しいから」
好きなバスケができなくなる辛い事を前向きに考え乗り越えて、それに代わる新しい事を始めてる拓海君は偉いなぁ~と思った。
それに比べて、俺はイジイジとネガディブに考える自分が嫌になる。
また伊織さんの事を考えていた。
「…さん.美樹さん?」
「あっ、ごめん。拓海君はポジティブに考えて凄いなぁ~って思ってた」
「そんな事も無いけど、考えてもなる様にしかならないから、それなら良い方に考えた方が良く無い?」
「……そうだね。俺もそうする様に頑張る」
「もう、次で降りますからね」
「うん」
電車を降りて試合会場まで歩いた。
会場の中は、既に熱気が溢れていて応援にも力が入っていた。
試合は始まっていて、空いてる席に座り周りを見渡す
「熱気が凄いね」
「でしょ。まだ1クオ-タ-始まったばっかりだから、これからだよ。点数も互角だし」
暫く試合を見てると動きは速いし、点数もガンガン入れ展開が目が苦しく変わり、どんどん試合が進むに連れ引き込まれいく。
時々、解らないプレーは、拓海君に聞いたり拓海君も解説してくれバスケの面白さが解った。
「ほら、抜けよ」「あ~、惜しい」「よっしゃあ~!」「イケるって~」「ファ-ルすんなよぉ~、ったく」
隣で熱く興奮して応援する拓海君に感化され、俺も声を出して応援を始めた。
「入れ!」「早く、戻って」「時間無いよぉ~」
ピー! 試合終了。
互角の戦いは、俺と拓海君が応援していたチ-ムが僅差で勝った。
「やりぃ~」「やった~」
ハイタッチで喜びを分かち合う。
「良かったね~。もう、僅差の戦いで目が離せなかったよ~」
「でしょ?最後の最後まで何があるか解んないからバスケって面白いんだよ」
「そうだね。ねぇ、拓海君の知り合いのチ-ム?」
「えっ、知らない人達だよ。どっちか応援してた方が盛り上がるじゃん」
「本当~。あんなに熱く応援してるから、てっきり……」
クスクスクス……
「拓海君らしい~」
明るく爽やかで楽しい事が好きな拓海君らしく笑ってしまう。
「そうかな?どうします、次の試合も観て行きます?」
「うん。面白かったし拓海君と来ないと、こういう所にも来れないから観る」
「良かった。美樹さんも楽しんでくれて。自分の好きな事を相手にも知って欲しいし一緒に楽しみたいからね」
「良いと思うよ。拓海君の趣味とか好きなものを相手に知って貰うの。スポ-ツ苦手な人でも観戦なら楽しめるしね」
そうだった、偽デ-ト中だったんだ。
そんなの関係無く楽しんじゃった、ちゃんと拓海君のデ-トプランの感想とか話さないと……俺には楽しめるプランだったけど。
次の試合は、周りの熱気と会場の雰囲気にも慣れ、前の試合より俺も楽しんだ。
拓海君と付き合う人は楽しい事がたくさん待ってるだろうな。
拓海君の想いが成就して欲しいと、拓海君の応援してる姿を見てそう思った。
今の俺には拓海君の想い人が、羨ましく感じていた。
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