479 / 858

第480話

普通の業務と並行して進め始めたプロジェクトの2回目の会議が始まった。 「よし、揃ったな」 「「「はい」」」 「今日は料理研究家の先生を呼んで一緒にレシピを考えて貰うつもりだが、まだ到着してない。上野さんには着いたら会議室に通す様に話してある。先生の紹介はその時にするとする。で、前回の宿題はどうだ?」 それぞれパソコンで検索しプリントした資料や本をコピーした物を提出してきた。 「結構、頑張ったな」 思ったより資料が多く、これならいけると感じた。 「佐藤や香坂はパソコンで検索すると思って料理本を図書館で借りてコピーしました。色んな角度から見た方が良いかと思って」 「私はパソコンで豆腐.こんにゃくレシピで検索しました。思ったよりレシピ多く驚きました。店に出させそうな物をピックアップしました」 「私も佐藤さんと同じでパソコンです。カロリーの低いレシピとか四季折々の日本料理とかで検索しました」 資料をパラパラと捲り 「被りそうで被らなかったな。このまま先生に見せてレシピは決めていこう。今のうちにプロジェクトの担当を決めとくか。ん~、料理できるものは?」 ミキができるのは解ってるが、一応知らぬ振りで聞くと誰も手を挙げない。 佐藤はする訳ないが田口は一人暮らしも長いだろうから、そこそこはすると思ってたが…。 「田口は?」 「私は簡単なものしか作れませんよ。王道のカレーとかチャ-飯とか野菜炒めぐらいです」 「そうか、割としそうかと思ったが」 「この中だと香坂が1番出来そう」 「香坂は料理は?」 「一応、自炊はしますけど、お店のレシピ何てとっても無理です」 「私は自炊もしません」 「佐藤、課長はお前には始めっから聞いて無いだろう自炊何て、お前には無理.無理」 「当たってるけど酷いっす、田口さん」 「まあまあ。誰も出来ないんじゃ話が進まない。俺が決める! ………香坂は先生とレシピ担当。田口は元々G&Kの器担当だからそのままヘルシー食の器も担当しろ、器も先生と相談する様にな。佐藤は出来たレシピを纏めて解り易い資料にしてくれ。田口も佐藤も香坂のフォローを頼む。俺はアメリカ支社とG&Kの窓口になる。それでプロジェクト進める!」 「「「はい」」」 「香坂、余り重く考えなくって良い。先生との窓口だと思えば良い」 「はい、頑張ります」 「香坂、俺も佐藤もフォローするからな」 「ありがとうございます。田口さん、佐藤さん」 コン.コン。 「料理研究家の先生がいらっしゃいました。こちらで宜しいですか?」 「上野さん、ありがとう。ここで良いです」 上野さんが先生を連れて来た。 「どうぞ」 「すみません、ありがとうございます」 上野さんにお礼を言い会議室に入って来た。 なかなか礼儀正しいと好感を持った。 「すみません、時間に遅れて。思ったより雑誌取材が長くなって」 「いや、こちらこそ忙しいのに申し訳ありません。課の者を紹介します」 「皆んな、こちらが料理研究家の池谷宗次郎先生だ。テレビでも活躍してるし料理本も何冊も出してる。忙しいのに協力して頂ける事になった」 「先生。田口と佐藤.香坂です。人数は少ないですが、その分纏まりのある課ですから遠慮なく言って下さい」 「田口です。ヘルシー食の器を担当しますので、その際はご相談させて下さい。宜しくお願いします」 「佐藤です。レシピの纏めや資料作りを担当します」 「……香坂です。ヘルシー食のレシピ考案担当です。ご指導宜しくお願いします」 それぞれ自己紹介が済むと先生の方からも挨拶があった。 「池谷宗次郎です。編集者の方からお話し頂いた時に面白そうだと興味があったので今回参加させて頂きました。短い時間ですが宜しくお願いします」 男性の料理研究家だけあって優しそうだ。 清潔感と優しそうな雰囲気で、女性にモテそうだと思った。 「最後になりましたが成宮です。一応、この課を纏めてます。早速ですが、課の者達が各々のパソコン検索したり料理本で調べたレシピがここにありますので、使えそうなレシピ見て頂けますか?」 「はい、解りました。結構有るんですね。早速、拝見させて貰います」 会議室の椅子に座り、レシピを見始めた先生はパッパッと選り分けていた。 やはり専門家は凄いなと感心していた。 その時、香坂が先生を輝いた目で見ていたのが気になった。 先生が会議室に入ってきた時から、チラチラと見ていたのは知っていた。 まさか…な。

ともだちにシェアしよう!