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第485話
やっと、ミキを背後から抱きしめ部屋で寛いでいた。
このひと時が癒される。
「はあ、会議からの懇親会で疲れたな」
「はい。あの…伊織さん。池谷さんの事なんですけど……」
俺も気になってた事だったから、ミキの方から言い難そうに話しだした事に、こちらからも聞きやすいと思った。
前回の拓海君との一件で、ちゃんと約束を守ってると感心していた。
何でも話せって、約束したからな。
良い子だと頭をポンポンとしてやると、嬉しそうな顔をする。
こんな事で……可愛い。
「どうした?何かされたか?」
「されたって言うか。そんなに大した事じゃないんですけど…」
「大した事かどうかは話を聞いて判断する。ほら、言ってみろ」
「本当に大した事無いんですよ。会議の時に、休憩したじゃないですか?」
「ああ」
その時に、何か合ったのか?
休憩は10分間だけだった筈だ。
「俺、トイレで手を洗って居たら、池谷さんがいらしゃってドアの所からジッと見られて、行き成り俺の眼鏡を外して前髪を上げられたんです。咄嗟だったので驚きました」
「なに~! そんな事されたのか?大した事じゃない訳ねぇ~だろ。ったく、油断も隙もねぇ奴だ!」
俺が声を荒げて話すと、ミキが慌てて振り向き俺の太腿に自分の太腿を乗せ跨り、向き合う体勢で話し始めた。
「ちょっと待って。俺が言いたい事はそんな事じゃなく、その後、俺に池谷さんが ‘成宮課長って、仕事出来るしカッコいい’って、仕事での褒め方じゃなく個人的に男として褒めてる感じの言い方でした。それに言って良いのか解りませんが、伊織さんには話しますけど……‘自分は女も男もイケるから’ って言ってました凄く、伊織さんに興味がある感じだった」
そんな事があったのか。
だから、休憩から戻ってきてミキが浮かない表情してたように感じたんだな。
俺に興味ある?
だが、懇親会の時にはそんな素振り無かった。
寧ろ、俺にはミキに興味あるような話し振りだった。
俺にも ‘男も女もイケる’と言っていたし、あの感じだとミキを狙ってると思ったんだが…。
どう言う事だ?
池谷さんが何を考えてるのか?が、解らない。
「伊織さん?話し聞いてます?」
「悪い。懇親会の時に、俺にはそんな素振り無かったなと考えてた」
「本当に?俺の考え過ぎかなぁ~?でも…伊織さん、気を付けて下さいね」
何だか、嫉妬してるようで可愛い。
「もしかして妬いてるのか?」
「……妬いてます。だってぇ~伊織さん、凄くモテるんだもん。それに懇親会の時にも、やけに距離近いと…ごめんなさい、ヤキモチ妬きって嫌ですよね?」
俺の方が何百倍もヤキモチ妬きだ。
ただ、ミキにはカッコ悪いから見せないようにしてるだけだ。
素直に、ヤキモチ妬きだと話すミキが可愛く愛しい。
自分がどんなにモテるか全然気付かない、自分の事には本当に鈍感なミキだ。
俺の方がいつもハラハラし、牽制しまくってるのにも気付かない。
そんなミキがヤキモチ妬くなんてな。
あ~、愛されてる。
嬉しくって頬が緩む。
「ミキからのヤキモチなら大歓迎だ。いつも俺の方が妬いてばかりいるからな」
「嘘です。俺の方が何倍も妬いてます」
「俺の方がミキの何百倍も妬いてる!」
「俺です!」
「俺だ!」
バカらしい言い合いに、顔を見合わせ笑った。
くっくっくっくっ……
クスクスクス……
「俺達似た者同士って事か?」
「ですね~」
俺の首に手を回し、顔を傾げ甘える様な仕草で話す。
「伊織さんはカッコいいしモテる俺の自慢の恋人です池谷さんや他の人にも気を付けて下さいね」
この綺麗な顔で可愛い仕草が、巨悪的に可愛い~。
ダメ出しの可愛い~ヤキモチ付きのお願いで、可愛さが何倍も増してる。
可愛い過ぎて困る。
「俺はミキ以外は目に入らないから安心しろ」
「俺も」
ミキの顔が近づいてきて、軽いキスをされた。
離れる顔を後頭部に手を当て、引き寄せ濃厚なキスを仕掛けた。
明日は休日だ。
この純真な天使のミキをゆっくり堪能しよう。
いや、天然小悪魔か?
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