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第495話
朝礼の際、ミキに池谷さんとの会食で感じた事や気が付いた事を報告させた。
「それじゃあ、小鉢じゃ無く少量の物はお膳で出す事にして、後は何品か別の器って事で業者に連絡してみます。撮影当日までに、お膳も器も何種類か持って行きます」
「そうだな。料理の見栄えもあるからな。それで頼む」
田口に指示し、朝礼は終了した。
各自席に戻り、佐藤が羨ましそうにミキに聞いた。
「なあ.なあ、香坂。美味かったか?」
「凄く美味しかったです。池谷さんに料理の説明して頂いて勉強になりました」
「良いなぁ~。高級料亭?」
「いいえ、池谷さんの知り合いのお店でした。なんでも、池谷さんに外国観光客相手に日本料理を出した方が良いとアドバイスされて成功してるようです。外国人が多いお店で勉強も兼ねて、そこに連れてったのかも知れませんね」
「ふ~ん。香坂は真面目だなぁ~」
「そこがお前と違う所!」
「酷いっす。俺だって……やっぱ、俺食べてばっかかも」
「そうだろ?だから香坂を連れてったんだと思うぞ。まあ、お前も旨そうに食べるから、そう言う点では連れて行きがいがあるが」
「ですよね~。じゃあ、今度、田口さんの奢りで♪」
「バカ! たまに奢ってるだろ?」
「え~、ファミレスとか居酒屋じゃないっすか。今度は高級料亭で」
「お前なぁ~、俺の給料知ってるだろ?無理無理! お前にはファミレスで充分。ファミレスも嫌なら、もう奢れないなぁ~」
「俺、ファミレスで充分です!」
「調子良い~奴」
クスクスクス……
ははは…ははは……
話がずれていったが、佐藤が居ると笑いが絶えない、奴の良い所だな。
「おい、そろそろ仕事しろよ」
一段落したようだから、一応声を掛けた。
「「「すみません」」」
そそくさと仕事を開始した。
それぞれ良い所がある、どう伸ばしてやるかは俺次第か。
俺も頑張んないとな。
そんな事を思いながら、俺も仕事モ-ドになる。
金曜日の仕事終わりに、おやじの店に向かった。
また、沙織達も来てんだろうな?
本当に、沙織も真琴君も優希さんもミキが好きだよなぁ~。
そう思いながら、店の扉を開けた。
ガラガラガラ…
「おっ、おやじ。やはり沙織達も来てたのか?」
「良いじゃない。ねえ、マコちゃん」
「成宮さんだけ、ミキを独り占めなんてダメですから」
「成宮、お疲れ~」
「優希さんまで?龍臣は大丈夫なのか?」
「龍は大丈夫.大丈夫。この間、美樹君のエプロン姿見せたら喜んでたし、ここなら何も言われないからね」
「勝手に、ミキのエプロン姿見せないでくれるかなぁ~」
沙織の横に座り、チラッとカウンター越しにミキを盗み見た。
エプロン姿が可愛い~♪
龍臣の奴、デレデレして無かっただろうな?
まあ、優希さんの前じゃしないか。
「何それ~。伊織、独占欲強過ぎ~。エプロン姿位良いじゃないの。ねえ?」
「本当だよね~」
「成宮って、独占欲強かったんだ~。へえ~。やっぱ変わったね」
「はっ! 独占欲強くって悪かったな! ミキ限定だっつ-の!」
黙って聞いていたミキが慌てて止めに入った。
「い、伊織さん!」
「おう、ミキ。どうだ?」
「‘どうだ’ じゃありませんよ」
「何が?」
「恥ずかしいから、止めてください!」
「本当の事言ったまでだが?」
「んもう」
「ねえ.ねえ。そこでイチャイチャ止めてくれない?」
「煩え~な。沙織こそ矢島君に嫌われるぞ」
「あら~、大ちゃんは私の事だ~い好きだからご心配無く」
「あ~そうかよ。人の惚気聞くのアホらしい~、勝手にしろっつーの」
「お前が言うな!」
「成宮さんが言えるの?」
「成宮が言える立場じゃ無い!」
3人3様に言われ疲れた~、こんな時はミキの顔を見て癒されよう。
「ミキ、ビ-ルとお勧め何かくれ」
「はい。今日は胡瓜の和え物とお刺身.アスパラ豚巻きがお勧めです」
「じゃあ、それ貰う」
「はい。大将、注文入りました~」
「あいよっ」
おやじとミキの息があった会話に、すっかり店の看板娘?いや看板息子?いや看板孫だな。
くっくっくっ……
「はい、どうぞ」
目の前にビ-ルジョッキと胡瓜の和え物が置かれ、ビ-ルを飲みミキのお勧めの胡瓜の和え物を口に入れた。
「ん~旨い~」
「でしょ.でしょ。大将に教えて貰ったんです。胡麻油が効いてすっごく美味しいですよねぇ~。でも、凄~く簡単に作れるんですよ~。今度、家でも作りますね」
ニコニコしながら話すミキに俺も笑顔で応えた。
「おう、頼む。これなら酒のツマミにもなるしオカズにもなるし、幾ら食べても飽きない。ん、旨い」
確かに胡瓜も旨かったが、俺はミキの ‘家でも作れる’ って言った言葉が凄~く嬉しかった。
俺の部屋をミキも自分の部屋だと思ってくれた事に。
「あと、これも食べて見て」
聞くと大根と鶏肉の飴色煮らしい、箸がス-ッと入り柔らかいのが解る、口に入れても柔らかくほろほろ解れる。
「大根も味が染みてるし鶏肉も柔らかい。旨いな。ミキが作ったのか?」
「はい。これも大将に教えて頂きました」
「ヨシ君は飲み込みが早くって筋が良い」
「ここに来て、益々腕上げたな」
「まだまだです」
「ミキ~、こっちにもその煮物ちょうだい」
「食べた~い」
「私にも」
「は~い♪」
嬉しそうに働くミキを見ながら俺も楽しくなる。
それから常連さんが次々と店に入って来たから、ミキもおやじの指示に従い忙しそうだ。
その間、沙織達共話したり働くミキを見つめたりと飲んで笑って楽しく過ごした。
そのまま2人っきりの週末を過ごす為に、もちろん帰りはミキを俺の家にお持ち帰りした。
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